昨日の夜は、ワールドカップの試合を見ながら、隙をついて童門冬二の小説『山田方谷』を読んでおりました。
幕末期の備中松山藩の藩政改革を行った山田方谷の物語です。
驚くのは、藩財政の再建を、同時期の他藩でみられた借金の踏み倒しや密貿易といった汚い手を使うことなく、僅か数年で成し遂げた点です。
著者の童門冬二によると、山田方谷は藩財政の再建にあたって、まずは備中松山藩が掲げるべき義=理念を明確にし、その義に沿った政策を正しく行えば利も帰ってくる―と考え、義に沿うようなことなら財政が逼迫していても出費は惜しまなかったそうです。
単なるコストカッターではなく、費用対効果だけで物事を考える単純な人間でもなく、増税すればいいと安易に考えず、借金を重ねて問題を先送りすることも無く、財政再建を果たしています。
治国の大方針を確立すれば、理財の道も自ずと通じる―これは言うのは簡単かもしれませんが、実行するのはおそらく物凄く難しいはずです。
また、山田方谷は明治維新で敗者の側にいた人ですが、にもかかわらず勝者に実力を認められた珍しい人でもあります。
岡山人は、この山田方谷をもっと自慢に思ってもいいんじゃないかな。
山田方谷については、矢吹邦彦 著『炎の陽明学―山田方谷伝』も豊富な資料を基に山田方谷の生涯を描いていて、面白いですよ。
童門冬二 著『山田方谷』と共にお勧めです。