会話をする時、自ら喋って場を盛り上げる者と聞き役に徹する者とがいる。
仕切っている者は自ら喋っている人と思われがちだが、実は聞き役に徹している人が「ふむふむ」とか「それで?」とか「素晴らしい!」等といった合いの手を絶妙のタイミングで入れて場をコントロールしている事のほうが多い。
私はどちらかというと聞き役にまわるほうが多いが、聞き役の達人ではない。
聞き上手の手にかかると無口な私も喋る側にまわってしまう。
先日、遠方の友人と久しぶりに電話で歓談した。
実に楽しいひと時であったのだが、後日別の友人に「○○かぁ。懐かしい! 奴は今何をしているのですか?」と尋ねられて、私は自分の事をひたすら喋っていてその友人の近況を尋ねていないことに気が付いた。
こちらの情報を吸い上げられるだけ吸い上げられて、相手の情報を何も得ていないとは。
そしてその友人が聞き上手であることに今まで気が付いていないとは。
不覚でありました。
それにしても奴め。あれほどの聞き上手であったとは。
お見逸れいたしました。
別の友人には「役に立たん奴」と罵られました。
無念であります。