

1/6(水)、イオンシネマ新潟南で(T-JOY新潟万代でも上映)「ジョゼと虎と魚たち」、観てきました。
予告編はこちら。
ジョゼと名乗る車椅子の女の子と、大学生の恒夫の恋愛映画。
原作は田辺聖子さんの短編小説で、2003年には犬童一心監督によって妻夫木聡と池脇千鶴の共演で映画化されていて、未だに根強い人気だから比べる人がいるのも分かるけど、僕はこの映画、アニメならではの表現や現代的な新解釈に挑戦していて結構好きでした。
まず、この機会に田辺聖子さんの原作小説も読んでみたんだけど、原作は二人が恋に落ちる下りをすごく短くまとめた短編なんですよね。
それだけに、そこから読み手が様々な想像力を膨らませる余地のある奥行きのある物語になっていて、まずはこの原作がすごい。
だから、その原作を映画化するにあたって、実写にしろ今回のアニメにしろ、どうやって新しい設定や展開も付け加えて物語を膨らませていくのかが大事なのであって、だから必ずしも同じものになる必要はないと思うんですよ。
そもそも、名作と言われる犬童一心監督の実写映画の時点で原作にはない展開も満載なオリジナルの物語になっているし、今回のアニメ映画でもまた別のオリジナル展開をバンバン入れているのですが、最終的に「これはこれでいい映画」にちゃんとなっていたと思います。
例えば今回のアニメ映画だと、車椅子のジョゼが電車に乗る時とか、町中で感じる不自由さがリアルに描かれていたのはすごく良かったと思います。
軽くネタバレだけど、途中で恒夫が事故に遭う下りがあって、そこで今まで健常者だった人間が当事者となり障害者の気持ちを知る、という部分まで新たに踏み込んでいたのも良かったです。
あと、今回の映画ではジョゼが絵を描くのが好きという設定があって、ジョゼが見る夢の中で、海の中を魚たちと泳ぐ映像がばーっと広がっていくのとかも、アニメながらの表現をしていて良かったです。
また、今回の映画では恒夫がダイビングが好きという設定があるので、海の中を泳ぐ夢を見るジョゼをダイビングをする恒夫に重ねて描くという描写も良かったし、しっかり虎も物語に関わる形で登場するし、「ジョゼと虎と魚たち」というタイトルの意味を独自に解釈して、オリジナルの物語の中でしっかり表現していたのも良かったと思います。
ただ、どうしても比べでしまうのは、妻夫木くんが演じた恒夫って実は人並みに遊んでいたりするちょっとチャラいキャラで、実はこっちの方が原作に近かったりするんだけど、アニメの恒夫は勉強もバイトも将来の夢も頑張るかなり理想化したイケメンに描かれていたので、そこはもうちょっと人間臭くても良かったんじゃないかなと思いました。
また、池脇千鶴さんのジョゼはマジで衝撃的に可愛いので(あれは恋をする恒夫の気持ちが分かる!そう、10代の僕は彼女にガチ恋をしていたのですが、本題から外れるので割愛します)、今回あのジョゼと比べちゃうと物足りなさが…って気持ちも正直ないわけではないのですが…!
ただ、アニメのジョゼが不器用ながらに頑張る姿を見ているとだんだんちゃんと可愛く見えてくるし、何より清原果耶さんの声優は最初はどうかなと思ったけど、これも軽くネタバレだけどクライマックスに朗読をするというオリジナルの展開があることで彼女の声や演技力がすごくハマっていたので、これはこれでアリだと思いました。
あと、原作と実写映画にはあったエロ表現が登場しないのも気になった部分ではありましたけど、ただ、前半の出会いを伏線として回収するアニメ独自のクライマックスにもしっかり感動できたので、こういう「ジョゼ」もアリだと思います!
ちなみに、実写映画の「ジョゼと虎と魚たち」の感想はこんな感じでした。
「2003年の実写映画「ジョゼと虎と魚たち」、アニメ映画化の前に見てみました。」