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舞い上がる。

日々を笑い、日々を愛す。
ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

RYUTist×スーパー・ササダンゴ・マシン「劇団ムー」観てきました。

2023-12-18 19:32:38 | Weblog


12/17(日)、RYUTistとスーパー・ササダンゴ・マシンさんによる演劇、劇団ムーを観劇してきました。
立ち上げ公演となる今回は、「古町女子高校相撲部物語」という、まったくRYUTistからは想像できないタイトル。





ちなみに今回は再演で、10月に行われた初演ではタイトルも隠されていたので、そこで初めて観た人達はびっくりしただろうな…
僕は初演は別の予定があって観られなかったので、こうして再演が観に行けて、まずはありがとうございます。



というわけで、元演劇人として真面目に感想を書いていきますが、物語は、古町女子高校の唯一の相撲部員むうたん、女子高生の極秘情報をダークウェブで販売している電子計算機研究会のハッカーともちぃ、アイドルを夢見るアイドル研究会のみくちゃんの3人が繰り広げる青春コメディ。
ともちぃの設定だけ異様にぶっ飛んでいますが、パソコンに強いともちぃと元気いっぱいのみくちゃんを、「劇団ムー」の座長でもあるむうたんがリーダーとして引っ張っていくという、基本は3人の当て書きで、現実のRYUTistの性格をさらに誇張したような面白キャラの3人のやり取りは、それだけでコントのようで面白い。

そして3人は相撲部復活のために、相撲アイドルを結成するという、アイドルであることを活かしたコメディ展開になっていて、しかもそのグループ名「Nocotta」が明らかにNegiccoのパロディなあたりも笑える。
しかし、アイドルとしてデビューするには相撲の県大会で優勝という条件が課され、特訓の末に迎えた県大会の決勝戦で最強の女子高生相撲レスラーが立ちはだかる…その役を演じるのはもちろんササダンゴさんです。

さらに、3人が相撲部の顧問を探すという展開もあるのですが、その先生を演じるのは、ラジオの「チェ・ジバラ」などでササダンゴさんと仕事をしている小林友さんで、もともと写真部の先生という設定も、小林さんが「新潟美少女図鑑」の仕事をされているのを活かした小ネタ。
物語の中で、顧問の先生とむうたんが実は親子という衝撃の展開が発覚するのですが、基本はコメディ演劇の中で、最終的には親子の愛を描くという、びっくりするほど王道の人間ドラマに着地します。



率直な感想として、基本はギャグ演劇だし、とにかくノリは軽く、何か深いテーマがあるというよりは、ただ笑って楽しんでください!というエンターテインメントだと思いました。
ただこの劇団ムー、それだけで片付けるにはちょっと勿体ないというか、確かにノリは軽いですが、深みと温かみを感じる演劇なのです。

一番好きなところは、RYUTistとササダンゴさん、それぞれの得意分野を活かして、この座組じゃないと表現できない演劇になっていること。
まず、相撲アイドルという設定なのでRYUTistの得意分野であるライブは何度も登場してそれだけでも十分楽しめるのですが、それがちゃんと物語の展開に活かされているからこそ、今までRYUTistを好きだった人にも新鮮な面白さがある。

また、物語の途中でむうたんが2人を相撲部に勧誘する場面はパワーポイント芸で笑わせ、最後の相撲の対決は相撲という設定なのに明らかにプロレスで会場を沸かせ、どちらもパワーポイント芸を使ったプロレスラーというササダンゴさんの脚本だから表現できる面白さになっていました。
個人的に一度だけ見たことのあるササダンゴさんのプロレスにあった、あの茶番と本気の境界線で全力で笑わせて盛り上げる面白さが、今回の演劇に見事に活かされていました。

そして、顧問の先生でありむうたんのお父さん役の小林友さんが、本当に予想外にいい味を出していて、なんならむうたんとの親子の場面はちょっと泣きそうになるくらいぐっとくるんですよ。
そもそも小林さんは俳優ではないわけですが、色々な経験をしてきたあの年齢の小林さんだから出せた魅力なのかなと思うし、あと個人的に僕の中で小林さんのイメージって「仕事のできる業界人」なのですが、そういう人がおちゃらけずに真面目に演技するからこそぐっとくるというのもあったかもしれませんね。

さらに、物語を支える音響や照明、そして映像もかなり力が入っていたと思います…というか、普通のローカル劇団の立ち上げ公演でここまでのクオリティって普通できないです。
普段からRYUTistのライブを支えているからこそのライブシーンの音響、照明のクオリティはもちろん、例えばみくちゃんを追い駆けるスポットライトを使ったギャグとかもあって、あんな演出、普通の劇団できないから!色んな意味で!

それと、物語の途中の展開は映像で表現することでテンポを良くしている演劇でもあるのですが、あの映像はおそらく、元「八千代コースター」でササダンゴさんと長年仕事をしてきて、最近はRYUTistやcourteseaの映像も作っている北村さんの仕事だったんじゃないですかね。
個人的に、ローカルアイドルとは思えないほどの照明、音響、映像のスタッフの皆さんのクオリティの高さってRYUTistの大きな魅力だとずっと思っていたのですが、それが確実に演劇を面白くしていたと思います。

だから、RYUTist、ササダンゴさん、小林さん、そしてスタッフの皆さん、それぞれが力を合わせてこの演劇を作り上げるという、共同創作の温かさがすごくある演劇でした。
しかも、それぞれの特技がちゃんと活かされているし、それはすべてお客さんの楽しんでもらうためという気持ちも伝わってくる。

そもそも演劇の面白さってそういう人の手が生み出す温かさだと思うので、全体的に邪道のようで実は王道みたいな演劇だったのかなと思います。
それに、アイドルやプロレスなど、とにかく色んなジャンルの面白さが詰め込まれた演劇なのですが、演劇ってそういうあらゆる分野を巻き込む力を持った豊かな文化だよなということもあらためて思いました。



そんな感じで、基本的に温かい演劇だなあというのが一番の感想なのですが、それと同じくらい思ったのは、とにかくバカな演劇だよな!ということです。
例えば、顧問を探そうという場面で、本当に演劇中に東京で仕事中の柴田聡子さん本人に本当に電話をかけている!(ちなみに、夜の回はカンケさんだったらしい)

いや、演劇中に本当に電話をかけるとか、よくそんなぶっ飛んだギャグを思いついたな!そもそも柴田聡子さんに電話できる劇団とか劇団ムーしかないから!
しかも、基本はあくまでも役として演劇をしていた3人が、電話中は素のRYUTistの3人に戻るとか、もうこれ今どういう設定?みたいな現実とフィクションがごっちゃになるメタ展開で、これもちょっとササダンゴさんのプロレスっぽさありますよね。

それから、最後にむうたんとササダンゴさんの相撲の最終対決の前には、ササダンゴさんとRYUTistがそれぞれ挑発し合う映像が流れるのですが、そこがもう、演劇の設定とか関係なく完全に素のRYUTistとササダンゴさんが挑発し合っているのです。
とはいえ、ここも当然脚本はあるでしょうが、演劇の設定どこ行った?ってくらい完全に本人達が出てくるし、しかも最近のRYUTistとササダンゴさんのことを自らネタにするような内容になっていて、とにかく下らなくてめちゃくちゃ面白い!

そんな感じで、とにかくここまでやりたい放題のギャグをやられると本当に爽快で爆笑してしまったし、下らないことを全力でやるって、本当に素敵なことだと僕は思いますよ!
でも下らないのにちゃんとクオリティは高いものにしているところも流石です。

これは完全に僕個人の話なのですが、僕が10年以上前に初めて松本でBLUESという劇団に出演した時が、BLUESの初めてのオリジナル脚本作品で、それも本当にバカな演劇で、とにかくギャグをぶち込むという内容でした。
しかも、そこで映像に違う劇団の人が突然素の状態で登場するとか、唐突に変なライブシーンが始まるとか、今思い返すと劇団ムーみたいなこと、俺もやっていたんだなあ!って思ったんですよ。

だからこそ、僕が演劇を始めたばかりの頃の、すごく大変だけれどすごく楽しかったあの頃を思い出して、ちょっと懐かしい気持ちになったりもしました。
そう考えると、なんていうか、立ち上げ公演だからこその粗削りに自由にやりたい放題やる初期衝動みたいなものが、劇団ムーにもあったよなあと思います。



そんなわけで長々感想を書いてきましたが、最後にどうしても言っておきたいのは、普段はライブやレッスンもしながら、演劇もちゃんと完成させたRYUTist、やっぱり凄いなあってことです。
短期間で作ったと言っていますが、いやいや、RYUTistとササダンゴさんそれぞれの長い活動歴があったからこそ作れた演劇だと思うし、この座組じゃないと表現できない面白さにちゃんとなっていたと思います。

とはいえ、ここまでできるなら、今回はコメディでしたが、もっと色んなRYUTistの演劇が観てみたいという気持ちにもなってしまいました(個人的には「アルプススタンドのはしの方」みたいな青春ドラマが見たい!)。
というわけで、RYUTistさん、アイドルとしての活躍と同じくらい、劇団ムーもこれから楽しみにしています!本当にお疲れ様でした!
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