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舞い上がる。

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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

映画「存在のない子供たち」観てきました。

2020-06-18 23:14:59 | Weblog


6/18(木)、T-JOY新潟万代で「存在のない子供たち」を観てきました。
新潟市内では、T-JOY新潟万代のみでの上映だったようです。





予告編はこんな感じです。



レバノンのスラム街で殺人未遂を起こした12歳の少年が刑務所から両親を告訴、しかもその理由が自分を産んだから、という衝撃作。
最初にその裁判のシーン、そこから時間を遡って過去が描かれ、最後にもう一度冒頭の(時系列的には一番未来の)裁判のシーンに戻り、その後が描かれる、という構成の映画でした。

まずとにかく、そもそも主人公とその家族が、衣食住も満足に得られないほど貧困で、でも子供が大勢いて、両親からの虐待も日常という現実が描かれます。
そんな家庭で、子供達は路上でジュースを売って(衛生的でもなんでもない使い捨てのプラスチックコップにジュースと野菜スティックを入れただけのもの)、なんとか生活費を稼いでいます。

そんなある日、11歳の妹に生理がくると、主人公はそのことをどうにかして隠そうとします。
何故なら、生理が来ることは、両親から結婚できると見なされ、強制的に結婚させられてしまうから。

しかし、主人公の努力もむなしく、彼女は何歳も年上の男と強制的に結婚させられてしまうのです。
というか、あれは売られていったも同然だし、何歳も年上の中年男性の「妻」となった幼い彼女がどういう目に遭うか…と考えたら恐ろしくなります。

そしてその裏にある、娘が結婚すれば家からいなくなり、その分家のお金がかからなくなる…という理由を考えると、さらに悲しくなります。
もうこの時点で、どうしてこんな世界が…って感じなんですが、物語はさらに続いていきます。

そんな生活が嫌になった主人公は、唐突に家出を決意。
家出をした先で移民の女性と出会い、彼女の家で、幼い子供とともに暮らし始めます。

しかし、今度はその移民の女性の不法滞在がバレて捕まってしまい、主人公の少年は彼女の幼い子供とともに路上生活を始めることとなるのです。
そこからさらに色々あって、彼に出生届も身分証もないことが問題となったため、一度家に帰って身分証を探していたところを、家族に見つかります。

そこで彼は、結婚させられた妹の死、そしてその原因となった結婚相手の暴力のことを知り、怒ってその結婚相手を刺してしまうのです。
見ていると、基本的に主人公の少年は、妹や幼い子供などをどうにかして守ろうとする、優しい性格だということが分かるんですよね。

しかし、そんな彼が貧困、差別、暴力などの現実の中でどんどんボロボロになっていくのが、見ていて本当につらかったです。
あと、両親が行っていた虐待を主人公も無意識のうちに真似てしまっていたりとか、その両親でさえもよくよく見ていくと社会の被害者であったりとか、本当に色んな視点から貧困という問題を深く踏み込んで描いている映画でした。

もう、最初から最後まで、どうして12歳の少年にこんなつらい体験ばかりが…と思ってしまうんですが、だからこそ、彼の「どうして僕を産んだんだ」という叫びが心に響く映画でした。
なかなかつらい映画でしたが、最後の最後のカットを見ると、ほんの少しだけ救われる映画でもありました。
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