死屍累々のエクバターナの城内。「おい、貴様! タハミーネはどこにおる?」役人の口の中に剣を差し込み恫喝するルシタニア兵がいた。「んん? ああッ? 何言ってるかわからんなぁッ!」ルシタニア兵はそのまま剣で口を刺し貫いた。「通路の死体を片付けろ!!」将兵らしいルシタニア兵が号令した。「ルシタニア国王、イノケンティス7世陛下の御入城であるぞォッ!!」兵は即座に死体を片し、血塗れの通路に槍を携え整列した。そこへ輿に担がれ、ルシタニアの旗を持った兵を従えた、肉塊のように肥え太った男が現れた。「ふぁわあぁ」欠伸をする肉塊。輿が血臭漂う通路を進むと、肉塊は手巾を鼻に当てた。「臭い」顔をしかめる肉塊、イノケンティス7世であった。
生き残りへの粛清と、王妃の捜索が続く城内を銀仮面は歩いていた。「ここまでは、予定通り」豪奢な飾り壺の影に現れた銀仮面とはまた違った面を付けた異様な男が語り掛けた。「ああ、餌を与えられた豚はよく踊るものだな。今の勝利を傲るがよいッ」銀仮面が壺の前を過ぎると異様な男は消えていた。「ルシタニアの蛮人供がッ!」銀仮面は吐き捨て、死体の転がる城内を進んで行ったが、床の血溜まりに足を止めた。銀仮面は何かに感付いた様子だった。
経緯は不明だが、王妃タハミーネは銀仮面に捕らえられた。「やはりあの男、心から我がルシタニアに尽くしているのだろうか?」仮の? 玉座の間でルシタニアの将軍ボードワンは同じく将軍、モンフェラードに呟いた。「どうかな? どうにも、あの仮面の下の目が不気味でな。俺は好かんよ」モンフェラードは眉をひそめた。タハミーネが玉座の間へ連れられてきた。「あれがタハミーネか」美貌に驚くボードワン。事情通のモンフェラードによるとタハミーネは最初はバダフシャーン国宰相の婚約者だった。だが、公王カユーマルスに奪われ、
2に続く
生き残りへの粛清と、王妃の捜索が続く城内を銀仮面は歩いていた。「ここまでは、予定通り」豪奢な飾り壺の影に現れた銀仮面とはまた違った面を付けた異様な男が語り掛けた。「ああ、餌を与えられた豚はよく踊るものだな。今の勝利を傲るがよいッ」銀仮面が壺の前を過ぎると異様な男は消えていた。「ルシタニアの蛮人供がッ!」銀仮面は吐き捨て、死体の転がる城内を進んで行ったが、床の血溜まりに足を止めた。銀仮面は何かに感付いた様子だった。
経緯は不明だが、王妃タハミーネは銀仮面に捕らえられた。「やはりあの男、心から我がルシタニアに尽くしているのだろうか?」仮の? 玉座の間でルシタニアの将軍ボードワンは同じく将軍、モンフェラードに呟いた。「どうかな? どうにも、あの仮面の下の目が不気味でな。俺は好かんよ」モンフェラードは眉をひそめた。タハミーネが玉座の間へ連れられてきた。「あれがタハミーネか」美貌に驚くボードワン。事情通のモンフェラードによるとタハミーネは最初はバダフシャーン国宰相の婚約者だった。だが、公王カユーマルスに奪われ、
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