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全国一般東京東部労働組合の記録

”偽装請負”あれこれ

2006年07月04日 16時28分47秒 | 偽装請負
 先月(6月)実際に来所、電話受付した相談事例です。
 
 ①「労働形態は派遣勤務。昨年の11月に私と派遣会社A社との間で3か月の有期雇用契約を締結し、派遣先B社にてテクニカルライティング(各種製品のマニュアル作成)業務に携わっていましたところ、先月(5月)突然、業務委託契約に切り替えられました。B社の意向とのことです。でも、仕事の中身やその進め方も従来と何ら変わりはありません。新しい契約書をためつすがめつ確認してみても、何のことはない標題の”雇用”契約書が”業務委託”契約書に入れ替わっているだけのこと。そのくせ今まで加入していた雇用保険、健康保険、厚生年金保険から放り出されるは、労災の埒外になるは、労働基準法に頼れないは…。これって、無理矢理個人事業主に祭り上げられた体の良いセーフティーネット外しではないですか?許されていいことなんでしょうか?」
 
 ②「派遣会社の営業をやっています。当社のお得意様である家電量販店C社に社員Dを派遣しているのですが、全者(当社、C社及びD)合意のうえで、当初の2か月間は試用期間という意味合いで弊社・D間で業務請負契約を締結してもらっています。この期間が明ければ、正式にDと雇用契約を結び晴れてC社に派遣する算段に。何か問題あるでしょうか?」
 
 偽装請負といえば、事業会社が実質的な派遣労働の形態(派遣労働者が業務に関して雇用関係のない派遣先の指揮命令を受けること)を採用しながら、事業会社と派遣先会社との間で締結されているのは「業務請負(委任・委託)契約」、というパターンが一般的。くだんの事業会社が派遣業の許可を取得しそこねていることが一大誘引となっているようです。
 今回ご紹介した2例は、新たな偽装請負のパターン化とでも申しましょうか、この頃目立ち始めた派遣業務においての事例。
 
 派遣労働という形態は、労働条件に関して必然的に3者(派遣会社、派遣労働者及び派遣受入先)以上の当事者が複雑に絡み合うという「構造的重層的」問題を多々孕んでいます。派遣元は公的保険加入義務等のコスト面で、派遣先としても労働基準法の縛りの側面から、でき得れば「雇用」という七面倒くさい契約体系とはオサラバしたいというのが偽らざる本音でしょう。
 
 偽装請負問題は、労働者の権利の本分にもかかわる極めて重大な論点となること必定。ぜひ、この”不穏な”動きに目を逸らさぬよう皆さんでシッカリ監視を継続していきましょう。
(やっしー)



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4 コメント

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人間には労働法を! (木根川橋)
2006-07-04 22:12:53
やっしーさん、蒸し暑い中お疲れさまです。



前回の「偽装請負にご注意!」にもビックリしたんですが、さらに巧妙・悪質になっているんですね。



えせ派遣会社自体で、労働者と業務請負契約を結んで、派遣先に「また貸しされる」とは驚きです。



この論説が、時事労働問題として、クリッピングされることを期待しております。



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”不穏な”動き (kommy)
2006-08-04 14:44:08
本当に許しがたい話です。

もっと社会問題化していいはずの問題なのに、まだまだ世間から見過ごされてしまっているような気がします!

この「不穏な動き」に対して「監視の目」をもつこと、忘れないようにします!
返信する
もっと声を!! (いちや)
2006-08-19 00:17:44
自分もおそらく偽装請負の形態で働いています。

職場環境は悪くありませんが、

事故があったときの労災の絡みなどがとても怖いです。

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もっともっと大きな声を!!! (やっしー)
2006-08-21 13:55:05
 いちやさん、コメントありがとうございます。



 昨今、一部のマスコミに取り上げられるようになったとはいえ、現場の労働者が声の限りに叫び続けなければ、”偽装請負”の実態は一向に変わりません。



 偽装請負等複層的な雇用形態の横行により、労働者の受入れ側が労災や安全配慮などの「危険負担の分散化」を図りやすくなっていることはもはや歴然たる現実。

 放置しておけば、労働者の権利が無惨にも蚕食されていく構図が実現化することは必定です。



 繰り返しになりますが、現場から「偽装!違法!」との狼煙を上げ、その声の中身を人口に膾炙させることが何よりも肝要と考えます。



 偽装請負を疑う労働者の皆さん、日々悶々と懊悩するよりもっともっと声を出しませんか。

 勇気を出して。



 

 
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