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NPO法人労働相談センター 2014年労働相談の特徴

2015年02月13日 07時00分00秒 | 労働相談

 NPO法人労働相談センターの2014年労働相談統計がまとまりましたので、ご紹介します。

1.相談件数が過去最高水準

2014年の相談件数は、過去最高だった前年8280件とほぼ同水準の8268件(月平均689件)であった。

そのうち月間相談数が800件を超えたのが2ヵ月(6、7月-7月は単月最高件数の856件)、700件超の月が5ヵ月あった。
 



2.相談ルート

相談ルートは99.1%がインターネット(ホームページ)経由であり、この傾向は2004年以来10年間ほぼ不変である。
 


3.今年も「いじめ・嫌がらせ」相談が急増、「賃金」「解雇」で3大相談を構成

 相談件数第1位「賃金」、第2位「解雇」という相談センター発足以来長く続いた構図が「解雇」第1位、「賃金」第2位に逆転したのが2008年9月のリーマンショックであった。

2010年12月ころから「賃金」、「解雇」が競合するようになり、「いじめ嫌がらせ」相談の増加・高止まりとあいまって3大相談の定着となっている。

とくに「いじめ嫌がらせ」に「辞めたいのに辞めさせてくれない」を含めた「いじめ関連」相談が今年も急増(18%→22%)。

「辞めたくても辞めさせてくれない」の増勢基調は変わらず、昨年比79件増の984件となり、1000件に迫る勢いだ。

職場の荒廃がさらに深化したことを示している。

 
4.電話相談が3分の2

 電話相談がさらに大きな比率(66.8%)を占め全体の3分の2となった。

メール相談の3割弱(27.2%)、来所による相談の6%と比較してみても、その集中度は顕著である。

相談内容が複雑でメールでは書ききれず電話による口頭での相談を望んだこと、さらに問題が緊急で差し迫っていることが、通話料はかかっても短時間で一とおりの回答が得られる電話相談を多くさせていると考えられる。

ここ数年、この比率が定着している。

 

5.500件に迫る来所相談者数

 来所相談者は前年比96件増の495件と、過去最高を記録した。

これは、相談内容の複雑化、相談者の解決への意欲向上、ひいては労働組合による解決手段の周知・浸透、さらには当センタースタッフの呼びかけ強化によるものと思われる。

 

 

6.相談者の雇用形態

相談者の雇用形態は例年の傾向だが、正社員が多く全体の64.2%。

また非正規労働者は、パート7.4%、アルバイト7.3%、派遣5.9%、契約社員7.7%、嘱託0.4%など合計28.6%で前年より微増した。

 
7.アクセス数とサイト検索、相談回答累計

 NPO法人労働相談センターのホームページアクセス数は、年末で160万件余りであり、順当な増加推移を見せている。

「労働相談」というキーワードでのグーグルのサイト検索では、労働相談センターは厚生労働省に次ぐ第2位が多かった。

厚生労働省、NPO法人労働相談センターのほか東京都、連合、全労連がベストファイブの常連である。

開設以来の相談回答の累計は9万件に迫った。

 

 
8.日曜労働相談

年間で日曜労働相談を49回開催、433人(1回平均8.8人)のスタッフ(東部労組186人、労働相談ボランティア247人)で、1556件(1回平均31.7件)の労働相談に対応した。

相談内訳は来所256件、電話1212件、メール88件であった。

労働相談見学会・労働組合加入説明会・労働相談ボランティア説明会の参加者は64件(1回平均1.3件)であった。

東部労組執行委員・組合員の延べ関与数が昨年比プラス84人で大幅増加、労働相談ボランティアの関与数はプラス7人で微増であった。
 

9.労働相談見学会、労働組合・労働相談ボランティア説明会

 2013年4月から労働相談見学会、労働組合説明会、労働相談ボランティア説明会を日曜労働相談と併行して開催しており、昨年は64人が参加した。


10.登録者数500人をうかがう労働相談ボランティア 

 労働相談ボランティアの登録人数が493人(2015.1.1現在)に達し、500人をうかがう相談応対陣容となった。

 内訳は、性別では男性271人、女性222人、年齢別では20代103人、30代177人、40代98人で、20代~40代が324人で全体の77%ほどを占める。

 今日では労働相談ボランティアの協力なしでは日曜労働相談、日常的なメール・電話・面接相談なども遂行できなくなっている。


11.「女性労働相談デー」の定例化

 昨年3月2日、国際女性デーにちなみ、一昨年に引き続き女性による女性だけの労働相談日「女性労働相談デー」を開催。

クラマエ法律事務所所属の女性弁護士4人にもご協力を仰ぎ、社会保険労務士、産業カウンセラーなどの資格を保持する労働相談ボランティアも交えて、面談7件、電話29件の相談に応対した。

今年も開催を予定しており、定例化する運びだ。


12.「夜間労働相談」と「弁護士労働相談デー」の開設

 昨年2月より、毎月最終金曜日に夜間(午後6時から午後9時)にも相談枠を設け、仕事帰りに気軽に立ち寄れる相談環境を立ち上げた。

 また、4月からは、これまで「女性労働相談デー」などで協力を仰いできたクラマエ法律事務所の所属弁護士が輪番で労働相談に応対する「弁護士労働相談デー」も、原則として毎月第3日曜日に常時開催する運びとなった。


13.「支える会」運動など

 「NPO法人労働相談センターを支える会」運動や『労働相談全国ガイドブック』の編集・刊行、労働出張講座(昨年11月17日 川崎市立川崎総合科学高校定時制で実施)などに力を入れていきたい。


14.ホームページの制作・更新の強化

 相談ルートの99%超がインターネット(ホームページ)経由であることからも、「ホームページ制作委員会」を強化し、日常的な更新作業とともに、SEO作業などHP内容の多様化、改善をはかっている。


15.相談の増加が意味するもの

 これらの相談の特徴は、長年にわたる政府・大企業の構造改革政策がワーキングプア、非正規労働者を大量に生み出し、低賃金、長時間労働、無権利などの労働環境劣化を持続させ、ますます強まっていることを示している。

さらに、昨年から引き続き、「生涯派遣」を可能にする労働者派遣法改悪、残業代ゼロ法案国会上程という安倍政権による策動が追い討ちをかける。

 とりわけ、「いじめ嫌がらせ」「辞めたいのに辞めさせてくれない」相談が毎日引きもきらず、労働者による「団結」「連帯」という組織化の基盤が確立できずにいる状況が醸し出されており、職場の荒廃がいっそう深化している。

こうした職場環境下、労働者はますます働きづらくなり、うつ病などメンタル面での被害を増やしている点も強く懸念されるところである。

 とはいえ、相談の増加は一方で、泣き寝入りせず、法により保障された固有の権利を掲げて解決を求め闘う労働者が増加していることを示すものでもある。

そこに私たちの希望がある。

 

 

 

 

 

 

 

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