蔵書目録

明治・大正・昭和:音楽、演劇、舞踊、軍事、医学、教習、中共、文化大革命、目録:蓄音器、風琴、煙火、音譜、絵葉書

「山葉ピアノ」 京都大丸 楽器部 (昭和初期?)

2012年07月25日 | 楽器目録 昭和 日本楽器、楽器製作者

 〔図版・説明など多数省略〕

 山葉ピアノに就いて

 ◆暗夜に燈明、家庭に音楽

 ◆信用ある大工場の製品

 ◆規模の大きな設備の完全なる大工場の製品なる事

 ◆創業の古い事

 ◆山葉ピアノ

  

  (日本楽器製造株式会社浜松本社工場全景)

 は敷地二万坪、建坪一万坪を占め、最新の機械と施設を完備して、従業員一千八百名資本金四百万円を有する世界有数の大工場たる日本楽器製造株式会社の製品で、明治十八年 〔一八八五年〕 創業以来二万台の山葉ピアノが上は宮内省、各宮家を始め陸海軍省、各音楽学校、師範学校、女学校、小学校等から全国一般の家庭は申す迄もなく、遠く海外に迄普及して、御愛用と御好評を蒙って居ります。是迄我国を訪れたピアニスト中最も勝れた名手と云はれて其の神技に我が楽界を驚倒させた世界的大家レオ、シロタ氏が各所の音楽会に山葉ピアノを使用して充分に其の霊妙な技能を発揮して「独乙や亜米利加の最優等のピアノと全く同格である確証を得た」と嘆賞された程でございますから山葉ピアノはどなたが御使ひになっても十二分の御満足を得られる事は間違いのない事でございます。然し未だ

 ◆舶来品

 と云へば何でも上等の様に御考への方もある様でございますが、現在我国に輸入されて居ります輸入品は百種以上もありまして、其の品質には甚しい懸隔があります。外観や構造の同じ様な竪ピアノでも七百円位の低級品から二千円位の高級品迄ありますそこで本国の値段の分らいのを幸に安ピアノに法外な売価を附けて沢山な割引をする事が行はれて居りますので一概に割引に心を引かれると飛んだ目に遇ひます。輸入品中真に安心の出来る一流品は四五種に過ぎません。其の他は殆ど二三流品でございますから矢張り製造所を御調べになる事が大切でございます。しかも其の一流品さへ中には出来、不出来のあるものがありますから数の少い輸入品では充分の御撰定の出来ない憾があります。又内地に完全な工場と販売機関の無い品は万一故障を起した場合は充分の手当の出来ない事が最も欠点であります。尚近頃は内地にも小規模な工場が簇出して

 ◆国産品

 にも色々なものが出来て居ります。中には西洋の名を付けて輸入品を装ひ殆んど価値の無いものに千円位の値段を付けて、中古と偽つて四五百円位に売り付けてゐた例もあります。何れにしてもピアノは新い中は、かなり粗製品でも或る程度までは鳴るものでございます。只夫が永続するかせぬかゞ善悪の分れる所でありますから、製品そのものゝみを見て値段相当と認めても、夫が発売されてから多くの年数を経過して種々な用途や風土の試練を経た上で定評のあるものでなければ絶対に安心は出来ません。

 ◆山葉ピアノ

 こそは国内は隈なく行き亘って遠く外国で迄有らゆる用途に使用されて、有らゆる気候や風土に遇ひ、三四十年の経験で改善に改善を加へ、舶来一流品に何等遜色のない唯一の国産品として専門家間にも定評のある品で、其の上大資本と大規模を有し、宮内省御用達迄拝命して信用此上ない日本楽器製造株式会社が飽く迄製品に対して責任を持って、万一製造上に欠陥があった場合はいつでも責任を負ふと云ふ、絶対安心の出来る品で、全国到る処に支店、出張所又は特約店がありまして誠実に御満足の行く迄奉仕して居ります。どうぞピアノを御求めの際は、以上申上げました事をよく御了解下さいまして優良、堅牢にして、しかも低廉な山葉ピアノを御撰定にならるゝ事を御薦め申上げます。

  
 
 西川

 ・竪台第百壹号 黒塗 (オーク木地塗及マホガニー塗御註文ニ依リ製作)
         七オクテーブ 鍵盤セルロイド オヴァーストラング 針金三本張 アンダーダンバーアクション
         定価 金五百五拾円 荷造費 金八円 総鉄骨
         高 四尺一寸五分 長 四尺八寸五分 深 二尺○七寸 
         重量 五十六貫五百匁 荷造重量 八十貫五百匁 荷造容積 五十九オ
 山葉
 
 ・竪台第壹号
 ・竪台第貮号
 ・竪台第参号
 ・竪台第四号
 ・自働ピアノ

 西川

 ・ニューグランド 黒塗 (オーク木地塗及マホガニー塗御註文ニ依リ製作)
          七オクテーブ四分ノ一 鍵盤象牙 オヴァーストラング 針金三本張
          定価 金壹千貮百円 荷造費 金拾五円 総鉄骨
          高 三尺三寸 長 五尺二分 長 五尺六寸八分 
          重量 八十四貫 荷造重量 百拾八貫 荷造容積 七十一オ

 山葉
 
 ・平台第壹号B
 ・平台第壹号A
 ・平台第貮号
 ・平台第参号
 ・コンサートグランド

 裏表紙には、掲載した「工場全景」の写真と次の記載がある。

 N.G.K 日本楽器製造株式会社

  株式会社 京都大丸 
         楽器部
              京都市四條高倉


「河合楽器製作所」 絵葉書 河合楽器製作所

2012年07月23日 | 楽器目録 昭和 日本楽器、楽器製作者

 河合楽器製作所(KAWAI GAKKI SEISAKSHO)製の絵葉書20枚である。〔下の写真は、その一部。〕

 ・(事務所)〔上の写真〕

        

・河合楽器製作所〔工場の全景〕 
 ・応接間(一部)
 ・材木置場(二枚続き)
 ・製材所(専属工場)
 ・製材工場(専属工場)
 ・(第一機工課)
 ・(塗工部ノ一部) 
 ・第二機工課
 ・(竪型ピアノ アクション)
 ・(平台ピアノ アクション
 ・(鍵盤仕上部)
 ・(竪型ピアノ仕上部)2種
 ・(平台ピアノ仕上部)2種
 ・竪型ピアノ(四号型)
 ・平台ピアノ(コンサート)
 ・(ピアノ荷造部)


『HORUGEL PIANO   Mason & Hamlin』 小野ピアノ (戦後)

2012年05月19日 | 楽器目録 昭和 日本楽器、楽器製作者

 Mason & Hamlin HORUGEL PIANO TOKYO ONO PIANO OSAKA

 〔口絵写真〕

 ・銀座店内
 ・銀座店内
 ・大阪店内2枚
 ・湯河原工場
 ・湯河原駅前陳列場2枚

 〔使用ピアニスト写真〕

 ・ホルーゲルピアノを賞讃された ルビンスタイン先生
  ホルーゲル愛用の ありし日のクロイツッアー先生
 ・ホルーゲル愛用の マキシムシャピロ先生
  メイソン・ハムリンピアノにて演奏中の ハンス・カン先生
 ・ホルーゲルピアノと モイセヴヰッチ先生
  ホルーゲルピアノ演奏中の フリードマン先生
 ・ホルーゲルピアノ演奏中の レオシロタ先生
  ホルーゲルピアノの伴奏にて歌ふ ありし日の シャリアピン氏
 ・メイソン・ハムリンピアノを見学に来社の際弊社製ホルーゲルピアノを賞讃される世界的ピアニスト、ギレリス先生
  いつもメイソン・ハムリンピアノを愛用される大西愛子先生 産経ホールに於て
 ・世界的ピアニスト、オボーリン先生東京体育館にてメイソンハムリンピアノにて演奏中
  東洋一と云われる杉並公会堂に納入したメイソン・ハムリンピアノCC型コンサートグランドをひかれる納入記念演奏会当日の安川加寿子先生
 ・日比谷公会堂にてポーランドより来日されたツェルニー・ステファンスカー先生御希望によりメィソン・ハムリンピアノを当日御使用戴きました
  日比谷公会堂に於て行われた芸術大学定期演奏会の際にメィソン・ハムリンピアノフルコンサート二台を連弾される伊達純先生と中山靖子先生
 ・東洋音楽大学五十周年記念青年会館にてベートーベン コンチェルトを メィソン・ハムリンピアノでおひきになる永井進先生
  世界的ピアニスト、ギレリス先生が御来日の際を記念して社長と御一緒に
 ・銀座店内にてメィソン・ハムリンピアノBB型を賞讃される井口秋子先生
  NHK納入のメイソン・ハムリンBB型グランドを賞讃される永井進先生
 ・杉並公会堂にてメイソン・ハムリンピアノを使用され、コンチェルトをおひきになるのは松浦豊明先生
  ホルーゲルピアノ演奏中のジェルマルシックス先生
 
湯河原工場技術者新陣容
                    大橋幡岩顧問
              小野社長          小野専務
         鈴木工場長                 大井技師長
      山下塗装課長                      川村木工課長
   大槻資材課長

 最高級
   ホルーゲルピアノ
   ホルーゲルオルガン

  最高級 ホルーゲルピアノ の特徴に就て

 1.一流輸入資材を使用している。 独乙レンナーアクション会社製品使用(特製)
       ブッシングクロス   英国製
       ハンマー       米国、スタンダード
       ワイヤー       独乙、レスロー青レベル
       チューニングピン   独乙、ワーグナー
 2.ハンマー製造に関し(PATENT No. 195248)の特許を有し音色が優美にして耐久力に富んでいる。
 3.譜面台に(PATENT No. 443751)の特許を有し非常に堅牢である。
 4.響板調整装置(PATENT No.114356)に依り世界最高メイソン・ハムリンの様に響板装置をしたる枠を締付けてある故音響が永久不変である。
 5.グランド前蓋の演奏時における簡便な操作。
 6.塗装の木地堅めに生漆を使用している。
 7.響板の響鳴範囲を特別な技術で広くしてある。
 8.グランドの足に特別L型の金具にて保強してある。
 9.多年経験に富んだ優秀技術者に依って特に我国風土、気候を十分考慮し極めて精巧堅牢に製作せられたもので音響の明瞭、豊富、優美なことは勿論其タッチは頗る明快にて、演奏上如何なる敏感なる繊細技巧をも自由に表現し得られ而かも其の美麗なる最新型外装と相俟って実に優秀卓越せるピアノであります。

 ジュニアースピネットピアノ

   75鍵 高サ 109糎 巾 120糎 奥行 56糎 重量 120瓩 荷造重量 180瓩 梱包費 ¥3,500 外装 マホガニー ウオルナット ¥130,000

 アップライトピアノ ♯1(スピネット型)

   88鍵 高サ 112糎 横巾 139糎 奥行 60糎 重量 205瓩 荷造重量 280瓩 梱包費 ¥5,500 外装 マホガニー ウオルナット ¥195,000

 アップライトピアノ ♯2

   88鍵 高サ 129.5糎 横巾 152糎 奥行 66糎 重量 239.5瓩 荷造重量 320瓩 梱包費 ¥5,500 外装 黒塗 ¥200,000 マホガニー ウオルナット ¥220,000

 アップライトピアノ ♯3

   88鍵 高サ 130糎 横巾 152糎 奥行 66糎 重量 240瓩 荷造重量 320瓩 梱包費 ¥5,500 外装 黒塗 ¥220,000 マホガニー
 ウオルナット ¥240,000

 アップライトピアノ特製 ♯5

   88鍵 高サ 130.5糎 横巾 152糎 奥行 66糎 重量 280瓩 荷造重量 360瓩 梱包費 ¥5,500 外装 黒塗 ¥260,000 マホガニー
 ウオルナット ¥280,000

 アップライトピアノ特製 ♯6

   88鍵 高サ 131糎 横巾 152糎 奥行 66糎 重量 280瓩 荷造重量 360瓩 梱包費 ¥5,500 外装 黒塗 マホガニー ウオルナット 特製ホルゲール アクション ¥330,000

 アップライトピアノ特製 ♯7

   88鍵 高サ 131.5糎 横巾 152糎 奥行 66糎 重量 285瓩 荷造重量 365瓩 梱包費 ¥5,500 外装 黒塗 マホガニー ウオルナット 特製ホルゲール アクション ¥480,000

 グランドピアノ ♯1

   88鍵 高サ 99糎 3.27尺 横巾 146糎 4.82尺 奥行 173糎 5.70尺 重量 320瓩 荷造重量 410瓩 梱包費 ¥7,800 外装 黒 ¥390,000 マホガニー ウオルナット ¥420,000

 グランドピアノ ♯2

   88鍵 高サ 99糎 3.27尺 横巾 146糎 4.82尺 奥行 186糎 6.10尺 重量 340瓩 荷造重量 450瓩 梱包費 ¥7,800 外装 黒 ¥470,000 マホガニー ウオルナット ¥500,000

 グランドピアノ ♯2 特製

   88鍵 高サ 99糎 3.27尺 横巾 146糎 4.82尺 奥行 186糎 6.10尺 重量 340瓩 荷造重量 450瓩 梱包費 ¥7,800 外装 黒 マホガニー ウオルナット ¥570,000

 セミ・コンサートグランドピアノ

   88鍵 高サ 99糎 3.27尺 横巾 160糎 5.30尺 奥行 220糎 7尺 重量 430瓩 荷造重量 550瓩 梱包費 ¥9,800 外装 黒 ¥624,000 マホガニー ウオルナット ¥660,000

 セミ・コンサートグランドピアノ特製

   ホルゲール・セミ・コンサートはフルコンを少々小さくしたもので従来の特性の上にスタインウエイ並びにメイソン・ハムリンの特徴を取り入れ製作されたもので堅牢にしてタッチの良い優美な音色と相俟って実に素晴らしい優秀品で学校の講堂並に中小ホールに適して居ります。

   88鍵 高サ 99糎 3.27尺 横巾 160糎 5.30尺 奥行 220糎 7尺 重量 430瓩 荷造重量 550瓩 梱包費 ¥9,800 外装 黒 マホガニー ウオルナット ¥780,000

 フル・コンサートグランドピアノ

  

   このピアノは従来の特性の上にスタインウエイ並に世界最高のメイソン・ハムリンの特徴を取り入れ製作されたもので堅牢にしてタッチの良い優美な音色と相俟って実に素晴らしい優秀品で大ホールに尤も適して居ります。

   88鍵 高サ 100糎 3.30尺 横巾 160糎 5.30尺 奥行 277糎 9.10尺 重量 660瓩 荷造重量 880瓩 梱包費 ¥13,000 外装 黒 ¥1,300,000 マホガニー ウオルナット ¥1,350,000

 オルガン ♯1型

   49鍵1列笛 ライト・ウオールナット塗 高サ 82糎 2.7尺 横巾 85糎 2.8尺 奥行 29糎 0.9尺 重量 25瓩 6.7貫 梱包費 ¥500 ¥15,000

 オルガン ♯5型

   61鍵2列低音1列笛 ライト・ウオールナット塗 高サ 99糎 3.3尺 横巾 103糎 3.4尺 奥行 38糎 1.25尺 重量 45瓩 12貫 梱包費 ¥900 ¥28,000

 オルガン ♯7型

   7古ストップ付61鍵総2列笛 ライト・ウオールナット塗 高サ 100糎 3.3尺 横巾 107糎 3.5尺 奥行 52糎 1.7尺 重量 78瓩 20.8貫 梱包費 ¥1,200 ¥55,000   

 世界最高
   メィソン・ハムリンピアノ

  世界最高 メィソン・ハムリンピアノ の特徴に就て

   メイソン・ハムリンピアノがなぜ世界で一番良くて高価であるかと申しますと、右図面の通り数十年間、乾燥をした優秀木材を使用し頑丈な主柱にて音響板を取付けてある枠を固く締め付けた上、世界中に特許を持つ Tension Resonator テンション、リソナター(共鳴器、共振器)が取付けてある故、構造の丈夫さは勿論音色に気品を持ち音量が非常に豊富にして、優雅な美しさは其の演奏効果を助け耐久は永久不変であるからです。

       

   コンベンショナル グランド スタイルB    STYLE B Conventional Grand

    ピアノ製造家の技術の最高傑作であります。普通の型、一般的なスタイル、静かな気品は永久に消える事のない名曲の様な魅力に似てその音色の優美さ、音量の豊富さと相俟って流行の変化に左右されないメイソン・ハムリンの能力を示しております。

    特製 マホガニー材 アメリカン ウオルナット 長サ 5呎4吋 横巾 58 3/4 吋 重量 685ポンド 完全ナ節度ヲ持ツタ3段ペダル マホガニー ¥2,000,000 ウォルナット ¥2,100,000

   クィーン グランド     スタイルB    STYLE B Queen Anne Grand

    王室を象徴する見事なスタイル、精妙な彫刻をほどこされた脚、アン女王時代の家具の特色を持つ彎脚、卓絶した音色の輝き、時代の霊感を感じさせるピアノ、これこそ装飾家の好みであり、又音楽家の歓びであります。

    特製 マホガニー材 アメリカン ウォルナット 長サ 5呎 4吋 横巾 58 3/4 吋 重量 685 ポンド 完全ナ節度ヲ持ッタ3段ペタル マホガニー ¥2,250,000 ウォルナット ¥2,300,000

   コンベンショナル グランド スタイルA  STYLE A Conventional Grand

    家庭向きのグランドの中では比類のないピアノ技術のたしかな、しかも荘厳な感じの傑作であります。その音色の美しさ、ボリュームと感応の良さは、名曲愛好家の切望を充分に満足させられます。クラシックな装いは一般的なスタイルにも一つの個性を与えています。

    特製 マホガニー材又は黒塗 長サ 5呎 8 1/2 吋 横巾 58 3/4 吋 重量 840 ポンド カンゼンナ節度ヲ持ッタペタル ¥2,250,000

   
   セミ・コンサート グランド スタイルBB STYLE BB Salon Grand

    セミ・コンサート・グランドはフル・コン同様堅牢さと耐久の点では世界で一番です。その上世界中に特許を持つ Tension Resonator (共鳴器、共振器)が取付けてあります故、其の優雅な音色と豊富な音量は永久不変で演奏効果を高め実に素晴らしいピアノで学校の講堂、或は中小ホールに適して居ります。

    黒塗 (特別注文によってマホガニー材) 長サ 6呎 11 3/4 吋 横巾 62 1/4 吋 重量 1,020 ポンド 完全ナ節度ヲ持ツタ3段ペタル ¥3,000,000

   フル・コンサート グランド スタイルCC STYLE CC Concert Grand

    フル・コンサート・グランドは堅牢さと耐久の点では世界随一です。その上世界中に特許を持つ Tension Resonator (共鳴器、共振器)が取付けてあります故、其の優雅な音色と豊富な音量は永久不変で演奏効果を高め実に素晴らしいピアノで大ホールに尤も適して居ります。

    黒塗ノミ 長サ 8呎11 3/4 吋 横巾 61吋 重量 1,175ポンド 完全ナ節度ヲ持ッタ3段ペダル クローム金具使用 ¥4,300,000

   フレンチ プロビンシャル センテニール コンソル スタイル MFP STYLE MFP French Provincial Centennial Console

    メイソン・ハムリンの技術者は音楽界に於ける多年の指導的地位を世界に知らせるためにこの一般的スタイルのピアノを作ったのであります。優美なラインと心地よい美しさは年と共に増して行きます。そして其の音とアクションは識別力ある音楽愛好家を楽しませてくれます。

    フルーツ ウッド仕上 高サ 3呎4吋 長サ 5呎 1/4吋 奥行 23 1/2 吋 88鍵 ¥1,110,000

   ヘツプルホワイト コンソル スタイルD STYLE D Hepplewhite Console

    音色に貴品を持ち、グランドに良く似たピアノです。細部にいたる迄優雅な装飾がほどこされ、ラインの精練さと共にこのピアノがメイソン・ハムリンの永久的な品質として美しく造られたものです。

    特製マホガニー材 アメリカン ウォルナット 高サ 3呎4吋 長サ 4呎 11 13/16 吋 奥行 23 3/16 吋 88鍵 ¥1,000,000

   シェラトン コンソル スタイルF STYLE Sheraton Console

    この一般的な親しみ易いスタイルはその艶のある音色の様に満足感を与えてくれるでせう。あらゆる細部に亘る技量の厳密さは音楽愛好家に最高の演奏をもたらすでせう。何故メイソン・ハムリンが他の立派なピアノの中にあって卓越しているかを知るために是非このコンソルをお撰び下さい。

    特製マホガニー材 アメリカン ウオルナット材 高サ 3呎4吋 長サ 5呎 1 7/8 吋 奥行 24吋

   ルイ 15 コンソル スタイルE        STYLE E Louis XV Console

    このピアノは最高のピアノ製造技術者に依って造られたものです。デリケートな木の彫刻は優美な線と魅力的なサイズのケースを強調するために手で製作されたものです。音色の良さ、外観の良さはメイソン・ハムリン独特のものです。

    特製 マホガニー材 アメリカン ウォルナット材 高サ 3呎4吋 長サ 5呎 1 7/8吋 奥行 24寸 88鍵 マホガニー ¥1,100,000 ウォルナット ¥1,150,000

   モダン コンソル スタイルH STYLE H Monderne Console

    メイソン・ハムリンは同じスタイルの中で最もスマートな型をこのピアノに依って示しています。線と細部はつややかなクロームの感触によって強調され黒つやのよく仕上げられた外観を誇張してゐます。又一流の技術者の意見を取り入れた最高の技量も兼ね備えています。

    黒塗又はマホガニー材 ウオルナット、ブロンド色 高サ 3呎 4吋 長サ 4呎 11 1/2 吋 奥行 23 5/16 吋 88鍵 ¥950,000

 小野ピアノ謹製
  ピアノ椅子及附属品 並びに ピアノの手入と保存に就て

 アフターサービスとピアノ保存に就て

 ONO PIANO CO. 東京 小野ピアノ 大阪


純正調オルガン 田中正平 (1931.6)

2011年09月24日 | 楽器目録 昭和 日本楽器、楽器製作者

 この写真は、昭和六年 〔一九三一年〕 六月一日発行の『月刊楽譜』 六月号 第二十号 第六号 に掲載されたもので、次の説明文がある。

  数十年埋れてゐた田中正平博士の純正調オルガン
  後方左が田中博士(本誌記事参照)

 下が、本誌記事中の田中正平博士の一文で、下はその最初の部分である。

 「新型純正調風琴略解」  
             田中正平

  在来の有鍵楽器(「オルガン」「ピアノ」)では、一「オクターブ」を十二等分する平均律に依り調律せられあるの結果、此の種の楽器に於て各協和音は皆純潔清浄ならず。特に西洋和声学の骨子と云ふべき三度及六度が濁化せられ居り、此の濁化は「ピアノ」の発する如き余音の少き打音にては著しき欠陥として感ぜられるも、「オルガン」の如き持続音を発するものは甚不快である。
  純正調「オルガン」では奏楽に使用する四度五度は勿論、三度及六度の音程は皆自然に與へられた其の儘であつて、協和絃は清らかに澄んで居て耳に好感を與へる。〔以下省略〕

  

 また、同号には、次の二つの文も掲載されている。

 ・「不協音」 純正調と平均律

  わが国に洋楽が移されて半世紀余、その歩み未だ遅々として華々しからずとは言へ、已に幾多の業績が数へられるのであるが、その中でも見のがし得ないものに田中正平博士の純正調オルガンの製作がある。之の楽器はすでに四十年前の古い時代に独乙にに於て作られたものであるが、爾来わが楽界の知る所とあらず、たまゝ最近に至つて世に紹介され今更の様に問題にされてゐるものである。その試演座談会が去月九日ヴイクター本社に於て行はれて、吾々は之の新型オルガンを親しく視、聴く事が出来たのであつた。純正調オルガンの事に就いては本号に田中博士の文〔「新型純正調風琴略解」〕が載る事であるから、それに詳しいのであるが、要するに純正調オルガンは東京の有鍵楽器(ピアノ、オルガン)に施されてゐる音階的合理化を出来るだけ除かうとして作られたものである。従って之の合理化を除き、各音間の振動数比を出来るだけ簡単にし、和音を美しいものにす帰すためには非常に多くの音源を必要とする。之の音源の多いといふ事が純正調オルガンの特徴である。田中博士は一オクターヴ六十三音源を以て充分とされてゐるが、現在あるものは三十六音源である。然し今度新しく作られる事になつてゐるものは四十五音源を持つはづである。
  純正調オルガンの長所は、各音間の振動数比を出来るだけ簡単にする装置が施されてゐるのであるから、その和音の非常に美しい事である。之は一度平均律に依つて作られた楽器と比べて見ると実に明瞭に聴取出来る事である。そこで考へられるのは、之の純正調オルガンが完成された時に於ける、平均律楽器の運命である。合理化の行はれない、自然音を出す様に作られた純正調楽器い依つて合理化に依る歪みを持つ平均律楽器は駆逐されるであらうか。美しい音を出す純正調楽器は、濁り、曇りを持つ平均律楽器を音楽の世界から、蹴落すであらうか。
  否である。平均律楽器の運命を悲観的に考へるのは失当であらう。自分は合理化に依つて制約を與へられてゐる平均律楽器はそれ自身充分音楽の表現に役立ち得ると思ふ、しかも高い地位を保ち続けると思ふ。
  〔以下省略〕 

   

   〔上の写真は、一九一〇年一月発行の『楽のかゞみ』掲載のもの〕

 ・「半世紀埋もれて世に出る名楽器」(田中老博士の発明)

  日本ではあまり知られず却つて外国で有名な日本人の発明も少なくないが、その昔カイゼルに讃嘆の声を発せしめた理学博士田中正平翁(七〇)の純正調オルガン(Reingetimmt Orgel)が、発明後およそ半世紀を経たこの頃、その真価が認められて世に出るといふ気持のいゝ話しー
  翁は音響学の泰斗で四十年の昔、ベルリン大学に留学し、有名な音響学者ヘルムホルツ研究所で勉学中、世界音楽史上に銘記さるべき八分音階からなる純正調オルガンを発明し、ドイツ楽壇はいふまでもなく、世界学界を驚嘆させたものである。カイゼルも博士を宮廷に招き、楽器の演奏とその説明を聴き、感嘆して田中式純正調パイプオルガンを、ドイツ一流の楽器製造会社ワルケル社に命じて造らせた。
  その発表演奏会がカイザーの勅許を得て一八九三年九月廿一日、ベルリン高等学校講堂で催され、宮廷少年唱歌隊長のアルバート・ベツカー教授が少年唱歌隊を指揮し、パウル・シュミット教授をはじめ一流楽人が多数出演し、ドイツ一流の楽人や批評家をはじめ、川上操六(当時中将)乃木希典(当時少将)両将軍や故近衛公その他ドイツに滞在中の日本人多数も列席して盛大に催され、ドイツ楽壇に一大センセイシヨンを捲き起こした
  田中式純正調オルガンは名ピアニスト、ハンス・フォン・ビユローにより「エンハルモニユーム」(Enharmonium)と命名され、ドイツでは田中博士の指導でパイプオルガンが三個造られベルリンに一つ、ミュンヘンの博物館に一つ、アーラウの天主教学校に一つ据えつけられ、このほか普通のオルガン五個が、田中式純正調によつて製造された。
  後年、伊藤博文公がドイツでカイゼルに謁見の際も、田中博士の安否を公に聞かれた程で、博士は十数年の留学を終へ明治三十二年帰朝し、日本ではたゞ一回東京帝国大学で純正調オルガンについて研究発表したが、幼稚であつた当時のわが楽壇からは顧みられず、日本にたゞ一個ドイツから持ち帰つた愛器を、博士自身奏してはその清澄な楽の音に親しみ、日本にも純正調によるオルガンの普及される日をひたすらに待つてゐた
  あたかも仏教音楽の樹立を研究してゐる仏教音楽協会では、去る一月中旬田中博士を迎へて麹町区千代田女学校講堂で仏教音楽講習会を開いたが、田中博士はこの時、門外不出のこのオルガンを数十年振りで講演会の会場に運び、上野音楽学校オルガン科学生の鳥居善次郎君が各種の楽曲を演奏し聴者に多大の感動を與へた。
  これが奇縁となつて、仏教音楽樹立の急先鋒である築地本願寺別院では、近く新築に着手するインド様式の本堂に、田中博士の純正調パイプオルガンをすゑつけようとの議が持ち上がつた。この由が東日誌上で報道されるや果然楽壇人は新たなる眼で、田中博士のオルガンに注目うるに至り、日本ビクター会社は仏教讃美歌吹き込みの伴奏に、田中博士の純正調オルガンを使用することになつた。
  これを機会に楽壇人の有志は、親しく田中博士から、純正調オルガンについての説明を聴くことゝなり五月九日午後三時、銀座ビクター会社でお茶の会が開らかれた。批評家からは伊庭孝、堀内敬三、増澤健美、野村光一、楽人からは橋本國彦、徳山、箕作秋吉、菅原明朗、鳥居つなその他数十名の楽壇関係者が集り田中博士と膝をつき合せて懇談した。
  田中博士は近く日本楽器製造会社で普通の型のオルガン五個を田中式純正調で造ることになつた、今までのは一オクターブ三十六音源であつたが今度四十五音源に増加された。田中博士の功績を永遠に表象する国産の純正調パイプオルガンが博士の数十年来の願通りに出来れば、これこそわが国が世界楽壇に誇るべき一大ピラミツトとなるであらう。

 

 田中正平博士と純正調オルガン

 田中博士の世界的楽器純正調オルガンは今度ビクターレコードに入いることゝなつた。

 上の写真と説明は、昭和六年 〔一九三一年〕 六月一日発行の『音楽世界』 六月号 に掲載されたものである。

 なお、東京オペラシティアートギャラリーの「五線譜に描いた夢 日本近代音楽の150年」で、実物を見ることが出来た(2013年11月9日)。