あれは何年前だろうか?
35歳くらいのときだったか
もう20年たつ
柴咲コウの「月の雫」をよく聴いていた、夏で織田裕二主演の「踊る大捜査線」が上映されていた。
夏から秋5ヶ月間の出来事を聞いてください。
ある店のレジに私ははたらいていた。そこへ40代後半くらいの男性のお客さん、Mさんがレジに来て本を一冊購入された。ついで会話。そして電話番号とメルアドを聞かれたので、私は躊躇せず紙に書いて渡した。なぜ教えたかというと、会話で彼は「俺、大腸ガンで、再発して近々入院する」と言われたからである。。そのような人の頼みを私はむげに断れなかったのだ。Mさんには妻子がいる公務員だ。
それから日をおかず、私が日帰り温泉でまったりしていたとき、初めて彼からメールが届く。「今日は抗がん剤の点滴を受けている」と。私は何と返信したのかおぼえてはいないが、Mさんの言ったことは本当だったのです。
それから時をおかず、MさんはMさんの自宅近くの病院に入院。いつものように抗がん剤の点滴に来たつもりが入院となったそうだ。
時々メールじゃなくて電話がかかってくることもある。昔の話し、家族の話、仕事の話いろいろしてくれた。
しばらくして、店に奧さまと買い物にいらした。(奧さまはMさんがルルと連絡をとりあっているのはご存知ないようでした)
Mさんは痩せていた
Mさんは近くにある椅子に座っていた。辛そうだった。。
そしてMさんは食べれるようになるため、大きな病院に転院し、バイパス手術を受けることになった。メールには「熱が出た」「吐いた」「泣いた」「怒った」「娘が見舞いに来た」、、「踊る大捜査線一緒に見たいなあ」
時々電話「声がききたくて、、隠れてこっそり電話してる。踊る大捜査線、一緒に見に行けないかも、、ごめん」
いたたまれない
いたたまれない
許して
ごめんなさい
わけのわからない罪悪感
私は、私には他人事
ごめんなさい
10月のメール
「外出許可がおり、祭りにきた
体調がよくないから、あまりおもしろくない。。寒い」
とMさん
その後に長文のメールが届いた
その後にMさんから電話が鳴った
私は私は私は悪魔です
私は電話に出ませんでした
最後の電話でした
メールもなくなりました
連絡は途絶えました
私は逃げました
11月新聞の死亡覧で
Mさんの名前を見つけた
なぜあのとき逃げたのか
勝手に私は重荷を感じて耐えきれなかったのだ
ならば最初から
電話番号も、メルアドも
教えなければいいではないか
いい人になりたかったんだろ
悪魔で終わったけど
泣くな!
おまえは悪魔なんだ
善人ではない
開き直れ
悪魔のルルは
悪魔だからこそ
もう偽善はしない
いい人ぶることも
中途半端な深入りもしない
深入りしても耐えられない感傷はないから全面的に深入りする。
人間関係は深入りし、あたってくだけ散るだけさ。
20年過ぎても
ルルはあの5ヶ月は忘れない
教訓
贖罪
もう二度と逃げないし
砕け散りたい
月の雫