N邸の二階ステ-ジがいよいよできてきた。
見晴もよくなり、東の楠がなかなか良い感じになってきそうだ。
吹き抜けの丸太の太さも申し分なく一階から見上げた時安定感がでるに違いない。
材木市で4メ-トルのケヤキ8本が目に留まり、N邸の和室化粧梁に使おうと、
「1本1万円でどうです?」・・「ケヤキですよ・・欅」と売りたくて仕方がないようだった。
・・「8万円?・・・たかいやろ!」、「8万円やったら いらんわい!」
本当は、このケヤキを見たとき、いいものになる!・・とすぐにわかった。
みてくれは、曲りまくりで、ヒビも入り普通の大工はこんな癖の悪いケヤキを買わないのだが
だからこそ、値切ることができ、加工を施してやれば生まれ変わる。
曲りが大きいので、もう一度製材所に持ち込み引きなおさなければならず、
1本60キロ~70キロの重さがあり、運ぶだけでも大変!
そこで、欲しがってるのを気づかれないように交渉を始める。
・・「ひき賃いくらかかるん」
「一本5000円でしょうか」
・「じゃあ引き賃入れたら12万円?・・・たかいやん!」
「たかいですか?・・ほんなら引き賃込みで8万円でどうです?」
・「いらんいらん、予算そんなにみてへん」
・「あのな!・・このケヤキ失敗作品なんやろ?」
・「ケヤキ人工乾燥にかけたら割れるのわかってるやん」
・「これ、引き直して使えるようにするのに、いっぱい手間かかるよ!」
・「で・・・引き賃込みで5万やったら買うわ!」
「えぇ~!・・それ無茶やで!」
と言いつつも、使い道があるからこっちには価値があり、売るほうにとっては
早く処分したいはず。
そんな、こんなで軍配はこちらにあがり、5万円でゲット!
製材し、大工さんに無理をお願いし なぐり模様を入れてもらうことに。
昔はチョンナでなぐりを入れたが、いまチョンナを使える職人は宮大工ぐらいしかできないかもしれない。
なぐりを入れたこのケヤキにオイルを塗れば、それはそれは見事な仕上がりになる。