人生を癒す百歳の禅語を読んで -8-
*出会いを大切に生きる「一期一会」
「会ったときが別れの時、出会い、めぐりあいを大切に」
一生涯で毎日出会っていたとしても、今日という日は今日しかない。今という時は今しか
ない。だから会った時が別れの時だと知り、出会いやめぐり合いを大切にしようという意
味です。
*人間というもの
人間の「人」という漢字は、象形文字で、左と右の字がお互いにもたれあって出来ている
ともいき(共生)共に生きる、人は一人では出来ないということをこの「人」という字が
示しています。
人間の「間」は「めぐり合わせ」広辞苑より
人は何に、どういう角度でめぐり合うかによって、その人自身が出来上がっていく。
つまりめぐり合わせによって人ができていく。
*思考し、謙遜し、希望を持つ
今の時代は考えることがまったくなくなってしまっています。 すぐにキレテしまったり
するのは、考えることがないからです。なぜ考えないかと言えば、読書をしないからでし
ょう。そのことがあらゆる犯罪の根元と言えます。
読書をしないから思考する材料が生まれない。読書しないから話題に乏しい。普通の会話
も満足に出来なくなる。つまり話のネタがないのです。
読書して物を考えれば、謙虚にならざるをえないのです。謙虚は学ぶことから始まる。
学べば学ぶほど、自分の足りないところがよく分かってくる。すると黙っていても謙虚な
姿勢になってくるのです。
*若さの照明。
マッカーサーの座右の銘であったサミエル・ウルマンの詩「青春」の中に出てくる「希望
ある限り若く、失望と共に老い朽ちる」希望を持つ事が若さの証明です。
*支えあって生きていく人間
人間は「間」という字で説明できるように、一人で生きることはできない。網の目のよう
にお互いに助け合っていかなければならない。
その助け合っていく間にもルールがあります。
物事がついている時には調子に乗らない。
幸せを独り占めにしない。
決まりだからといって厳しく守ろうとし過ぎてはいけない。
いい言葉であっても八分目にしておいて、人に考える時間を与える。
*人間が守るべき四つの戒め 「法演の四戒」中国の禅の坊さんで、五祖方演のこと。
広く一般社会になれば、初めて事業を始めるとか、商売を始めるとか、店開きをするとか、
そういう時の参考になるでしょう。
第一:「勢い使い尽くすべからず」
第二:「福受け尽くすべからず」
第三:「規矩行い尽くすべからず」
第四:「好語説き尽くすべからず」
解説
第一:「勢い使い尽くすべからず」 勢いを使い尽くすと破滅がやってくる。
金・力・政治的勢い、いろいろな勢力を持っていても、いい気になってそれを使い尽
くす、使い捲くってはいけない。あるに任せて金を使ったり、力に任せて弱い者をい
じめたり、必要以上に敵を苦しめたりするのは良くない。
又、何か物事をする時、やる事なすこと全部うまくいくという時、こういうついてい
る時にこそ気をつけなくてはいけない。調子に乗るな、乗ってしまうと、元も子もな
くす。それで結果、災いというものが出てくる
調子に乗らず、すべてに遠慮気味にしていく事が大切です。
「遠慮」は禅語です。「遠い先のことを考える」「他人の身になって考える」という意
味です。目の前の事ばかり考えてはいけない。
第二:「福受け尽すべからず」
福は幸せのことですが、幸せを全部受け取らずに独り占めしないで「お福分け」しな
さい。と言う意味です。
珍しい物をもらったら、自分の家だけではなく、ご近所とか、お隣にも福分けをする。
自分の家だけで独り占めしない。「共生き」です。
第三:「規矩行い尽くすべからず」
規は「決まり」矩は定規で、規則・法令・決まりなどを言います。
規則で相手を縛りすぎず、逃げ道を用意しておく、の意味です。いろんな規則や、
法令・決まりなどを四角四面に守って、重箱の隅を楊枝でほじるように強いてはいけ
ない。と言うことです。
第四:「好語説き尽くすべからず」
好語とは、いい言葉、美しい言葉、ためになる言葉、忠告、意見などを言う。
ためになる言葉であっても、説き尽くしてしまってはいけない。全部とことん説いて
しまってはいけない。相手に考える「間」を与える。腹八分で止めておくことです。
どんな良い言葉、忠告であっても腹の底まで全部言ってしまってはいけないのです。
八分で止めてあとの二分は本人に考えさせる。この「間」を置くことが非常に大切。
相手に考える能力があれば、腹八分で止めたことにも意味があるのです。
ただし、考えることが出来ない人間は、もう将来の見込みのない人間。考える力のあ
る人間は「なぜ?」と必ず心の中で反応を起こして、言われた事を反省します。
小言の言い方というのは大変難しい事でありますが「好語説き尽くさず、人必ず之を
易まず」となるようにすることが大切です。
簡略すれば
第一:「調子に乗るな」
第二:「福分け、お裾分けしていく」
第三:「規にゆとりを持とう」
第四:「とことんまで言わない」
人の言葉を聞いていると、心が荒れているか、穏やかであるか分かります。言葉遣いが
ぞんざいかどうかではなく、本当に柔らかな心がこもっているかどうか。心がこもってい
るならば、たとえ小言であっても、相手の心に素直に入っていく言葉もあります。