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斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

沈水について

2012年07月31日 06時45分26秒 | 水難・ういてまて
昨夜、あるテレビ局のディレクターに、複数の人がほぼ同時に溺れる時は、沈水が原因だと、解説しました。沈水とは、背が届く水底を歩いていたときに、急に深くなっている場所に落ちこみ溺れる現象です。水に陸から転落する落水とあわせて、溺水の2大原因のひとつです。

http://hts.nagaokaut.ac.jp/survival/river.htm
の、下方のビデオ「ライフジャケットなし篇」の冒頭がそれにあたります。人間は急な深みにはまると、体を垂直にして、スッと沈み、着衣泳ができないと、そのまま浮いてきません。近くの人が「どうしたんだろう」と近づくと同じようにして次々に沈みます。そして、複数の人がほぼ同時に溺れます。

沈水の初期を注意してみてください。反動で両手が上がっています。こうなると人間は腕の重みで沈み、水中で最後の呼気をしてさらに沈み、吸気をしようとした瞬間に窒息して、意識障害に至ります。この状態では肺に空気が残っていないので、体のかさ比重は1を超えて、浮いてきません。

水難学会ではこのような検証を繰り返し、根拠のあるデータで水難の真実に迫り、それを「浮いて待て」という技術にまとめています。かなしい水難がくり返されないよう、報道各社の番組・記事編成に期待します。

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