■THE WORLD AT WAR ヒストリー・チャンネル 1973年:イギリス
第22話(全26話中):JAPAN 一億玉砕・日本銃後の記録
第二次世界大戦の主要参戦国5ヵ国(アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、ソ連)の関係者へのインタビューと、ドキュメンタリーフィルムを組み合わせた傑作。
10/18に観たアメリカの『汝の敵、日本を知れ』(1945)と比べると興味深い。
ナレーションに述べられていたように、太平洋戦争は、日本が、それまで10年間も続いていた日中戦争の泥沼を打開するための賭けだったと言える。ちょうどヨーロッパで、対イギリス戦に難航していたドイツが対ソ戦争を始めたのに似ている。
日中戦争は、第二次世界大戦の開始前から漫然と続いていたので、真珠湾攻撃後に第二次大戦に組み込まれたあとも、往々にして無視されやすい。THE WORLD AT WARでは、日中戦争と太平洋戦争の接点であるビルマ戦線(中国軍・イギリス軍・インド軍・アメリカ軍が日本軍と戦った)について第14話まるまる1回を費やして報道しており、貴重である。その他にも、緒戦の日本軍によるオーストラリア爆撃や、戦後の東南アジアで、連合軍の命令により日本軍戦車が警察代わりに治安維持を行っている光景など、珍しい映像を見ることができる。
日中戦争については、中国の映画やドラマは概して、芸術表現よりも反日的な定型表現による政治的制作を続けてきたと言えるが、近年、かなり様子が変わってきている。
■『鬼が来た!』は、日中戦争を題材としながらも実質はナンセンス映画と言える作品で、政治性よりも芸術性が濃い。しかしコメディタッチがいつのまにかシリアスな惨劇へ落ち込んでゆく流れは紛れもなく戦争映画。日本軍降伏後のラストシーン(中国軍司令官の演説シーン)には、戦争の不条理を社会風刺まじえて描写したかなり戦略的な手法が使われている。