トランプ相場は失速した――。先週11日、トランプ次期大統領が記者会見で経済政策について言及しなかったため、株式市場は勢いを失った。
「個人投資家の腰は引けましたが、反対に海外投資家の買い意欲は高まっています。ハゲタカ勢は今まさに日本株を買いまくっているのです」(市場関係者)
東証によると、海外勢は1月第1週に2326億円を買い越した。昨年10月以降の累計買越額は2兆7304億円に達する。
「外国勢は、日本株はもっと上昇すると睨んでいるということです」(株式アナリストの黒岩泰氏)
世界最大級の機関投資家として知られる米ブラックロック(グループ運用残高は約518兆円=16年9月末)は、昨年12月に日本株の投資判断を「オーバーウエート」(強気)に引き上げた。株式を5%以上保有した際に提出義務が生じる大量保有報告書を見ると、ブラックロックの本気度が分かる。
昨秋以降、神戸製鋼所や大和証券グループ本社、オリンパス、資生堂、大成建設、三菱マテリアル、鹿島、大林組、三菱ケミカルHDなどを買い増した。今年に入ってからも、三井化学や京都銀行の大量保有報告書を提出している。
「日本株を買い漁るハゲタカはいっぱいいます。任天堂の大株主(約13%保有)であるキャピタル・リサーチはコマツや、ミニショベルで世界有数の竹内製作所を大量買いしています」(株式評論家の倉多慎之助氏)
今年に入って提出された大量保有報告書を見ると、JPモルガンは測量関連のトプコンや創薬ベンチャーのそーせいグループ、インベスコは半導体製造装置関連のフェローテック、テンプルトンは文化シヤッターなどに投資した。
「17日に米ダボス会議で中国の習近平国家主席が初めて演説します。そこでトランプ新政権に対する注文を口にしたら、株価は暴落する恐れがあります。そこが絶好の買い場でしょう。トランプ氏が20日の就任式で具体的な経済政策を示せば、株価は再び上昇します。トランプ相場“第2ステージ”の幕開けです」(倉多慎之助氏)
下落局面で、海外勢が大量保有する銘柄を買う投資術は有効かもしれない。
18日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で原油先物相場は反落した。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で期近の2月物は前日比1.40ドル安の1バレル51.08ドルで取引を終えた。外国為替市場でドル安の流れが一服し、ドル建てで取引される原油の割安感が後退した。原油価格上昇を背景に米国でのシェール生産が増え、需給改善が遅れるとの見方も相場の重荷だった。
18日は石油輸出国機構(OPEC)が月報を公表した。2017年のOPEC産原油への需要が前年比90万バレル増の3210万バレルになると予想し、年後半には供給過剰が解消するとの見方を示した。
ただ、市場では「仮に減産合意が完全に実現しても、供給が予想される需要水準を上回る状況は続く」(米クリッパーデータのマット・スミス氏)と年内の需給改善に懐疑的な見方があった。
月報によると米国の増産を背景に17年の非加盟国生産量は前年から増える見通し。米エネルギー情報局(EIA)が前日夕に公表した月次リポートでは、2月の米シェール日産量が1月から増えると予想されていた。
一方、16年11月末の減産合意を受け、インドネシアを除く加盟13カ国の原油生産量は同年12月の時点ですでに前の月から減っていた。
ガソリンは続落。ヒーティングオイルは3日続落した。
ニューヨーク金先物相場は反落した。ニューヨーク商品取引所(COMEX)で取引の中心である2月物は前日比0.8ドル安の1トロイオンス1212.1ドルで終えた。
外為市場でのドル上昇がドル建ての金価格を押し下げた。朝方発表された16年12月の米消費者物価指数(CPI)の前年同月比の上昇率が2年半ぶりの伸びとなり、米連邦準備理事会(FRB)の利上げが意識されたことも重荷になった。
通常取引終了後の時間外取引では下げ幅を一段と広げた。取引後の米東部時間14時に公表されたFRBの地区連銀経済報告(ベージュブック)は、物価上昇圧力の高まりを指摘した。為替相場がややドル高方向に振れ、金には一段の下げ圧力がかかった。
銀は続伸。プラチナは続落した。