[ニューヨーク 14日 ロイター] - 米フロリダ州オーランドの同性愛者向けナイトクラブ「パルス」で49人が殺害された銃乱射事件は、オマル・マティーン容疑者の単独犯行とされている。それが本当であれば、過激派組織「イスラム国(IS)」支持者の関与が疑われる米国の事件においては、例外的なケースだろう。
12日に発生した米国史上最悪の乱射事件を機に、当局者からは「ローンウルフ(一匹狼)」型の攻撃に対する警告が改めて発せられている。それは通常、ネット上の暴力的なプロパガンダを通じて過激化し、犯行計画を練る孤独な個人といったイメージを喚起する。
だが、2014年以来、米司法省が起訴したIS関連の事件約90件をロイターが検証したところ、起訴された者の4分の3は、2人から10人以上の共犯者で構成される集団に属しており、直接顔を合わせて犯行計画を練っていたとされている。
裁判記録によれば、直接の会合が行われていない事件でも、被告はほぼ必ず、ショートメッセージや電子メール、交流サイトなどを介して他のISシンパと接触していた。完全な単独犯行の容疑で起訴されている例は10件に満たない。
過激主義の問題やテロ対策の専門家によれば、「一匹狼」というイメージは、個人が似たような考えを持つ人々との直接の交流、いわば「狼の巣」を通じて過激化していく例がどの程度あるのかを見えにくくしてしまうという。
「ネット上でのやり取りに注目するあまり、我々は非常に人間的なつながりが生まれていることを見逃している」とフォーダム大学(ニューヨーク)の国家安全保障センターを運営するカレン・グリーンバーグ氏は指摘する。
米当局は13日、犯行中にISへの忠誠を表明していたマティーン容疑者が何らかの支援を得ていたかどうかを調査したが、関係者は、他に実行犯はいなかったと考えていると強調している。
連邦捜査局(FBI)のコミー長官は、マティーン容疑者の真の動機は依然として明らかではないが、外国のテロリストグループに刺激されたと見られる有力な兆候が見られ、同容疑者の過激化の一因はインターネット上にあることを関係当が「強く確信」していると話している。
<集団のダイナミズム>
法執行機関によるホームグロウン(自国育ち)の過激主義対策の取り組みでは、集団のダイナミズムに対する関心が強まっている。ニューヨークで開催されたテロ対策に関する会議で、コミー長官は、過激化した可能性のある個人がネット上で目立った動きを見せていない場合、捜査官がそうした個人を特定するには、家族や友人たちの協力が必要になる、と述べている。
「外出して、小人数のグループと接触するとしたら、その姿を目にするのは誰か。同じコミュニティの人々だ」と同長官は言う。
2月、FBIは新たなウェブサイトを立ち上げた。ティーンエイジ世代の若者に過激主義の危険性を教え、親やコミュニティの有力者に、若者の問題行動に関して介入や通報のタイミングを判断する一助とすることが狙だ。
司法省は、IS関連の事件90件のうち、約半数で有罪判決を勝ち取っている。それ以外の事件はまだ審理中であり、罪状の一部については法廷で立証されておらず、被告側から異議が申し立てられている。共犯者間の関係は、ちょっとした知り合い程度から大の親友、夫婦やいとこ、ルームメイトから大学の同級生まで、多種多様である。
いくつかの事件では、そうしたグループに、同一のコミュニティ出身の被告が複数含まれている。たとえば、ミネソタ州で行われた広域捜査では、ソマリア系米国人10人がIS支援を計画した容疑で告発されている。
そのうち3人は今月行われた公判で有罪判決を受け、他にも6人が罪状を認めている。
12月にサンバーナーディーノで14名が殺害された事件では実行犯が夫婦であったように、共犯者同士がもっと親密な関係であるケースも見られる。
FBIのおとり捜査員と気づかずに協力してしまい、起訴される被告も増えている。潜在的な攻撃者を特定するにあたって、連邦当局がソーシャルメディアに比較的分かりやすいエサをまくよりも、現場の捜査員による情報活動に頼る比重が増えているためだ。
専門家によれば、直接顔を合わせることによって過激主義的な傾向が加速され、グループが暴力的行動に向かう場合があるという。また、こうした接触によって、本来であればジハード(聖戦)主義の魅力になど影響を受けなかったであろう人が引きこまれてしまうこともある。
ブランダイス大学で過激主義の研究を専門とするジッテ・クラウセン教授は、「本当の一匹狼は通常、精神に障害がある。
だがジハード主義者のなかで真の精神障害者は非常に少ない」と語る。
専門家のなかには、ネット上のプロパガンダは、「火をつける」というよりも、すでに燃えている火を「かき立てる」だけという見方もある。
「Match.comのような(恋人探し)サイトが、利用者同士がまったく会えないように作られていたらどうだろうか」と語るのは、ノースイースタン大学で過激主義組織を研究するマックス・エイブラムス教授。「実際に直接会うことに代わる関係構築など存在しない」
<不安に「つけ込む」>
グループのあり方が重要な役割を果たしていることを示す事件の1つが、ニューヨーク地域の6名の被告をめぐる件である。
検察官によれば、ネイダー・サアデ被告と友人であるニューヨークシティ大学の学生ミュンター・オマル・サレー被告は、2013年に、世界の終わりが近づいていると確信した。
20歳の若者2人は、友人たちによる「小さな軍隊」を作ろうと決意し、21歳の学生サミュエル・トパーズとサレーの友人である16歳のイムラン・ラバニなど、さらに4人の仲間を集めたという。
捜査官によれば、彼らは数カ月かけて、シリアでISに合流するか、米国内で爆弾攻撃を行うかを議論したという。
当局がこのグループに気づいたのは、トパーズの母親が息子の行動への心配を募らせた末に、2015年初頭、FBIに通報したことがきっかけだった。
ドミニカ共和国出身でカトリック教徒の母親と、イスラエル出身でユダヤ教徒の父親に育てられたトパーズは、大学を除籍になっており、自由な時間のほとんどを、2人の同級生、ネイダーとその兄アラーと共に過ごすようになっていた。
裁判記録によれば、トパーズはイスラム教に改宗し、海外渡航を口にするようになったと彼の母親はFBIに供述。母親は、サアデ兄弟がトパーズの不安感に「つけ込み」、彼を巻き込んだと述べている。
10月にISに対する物質的な支援の提供を共謀した罪を認めたアラー・サアデ被告は、この5月に懲役15年の判決を受けた。
弟のネイダー、トパーズ、ラバニも罪状を認めており、判決を待っている。
ニューヨークで手製の爆弾によるテロを計画していたとされるサレーは、2015年6月に逮捕された。彼はラバニと共に、2人を尾行していた法執行機関の調査車両を攻撃した。サレーともう1人の被告ファリード・ムムニは罪状を否認している。
判決の際、アラー・サアデは裁判官に対し、強制送還による両親不在のなか、弟への愛情ゆえに行動していた面があると話した。
「自分が弟を救えたかもしれない。もっとできることがあったはずだ」
以上、ロイター記事
世界で一番悪い国はアメリカである。
中東の人からみたら、どれだけアメリカ軍から殺されたであろうか。日本も同様だ。多くの一般市民が狙われた。
アメリカは悪魔である。
その報復は自然原理であり、いわゆる因果応報です。
これから、本格的にアメリカ国内でテロが多く発生するでしょう。