[シンガポール 22日 ロイター] - 世界各地から原油タンカーがぞくぞくとアジアに集結している。石油輸出国機構(OPEC)の減産を契機に原油に価格差が生じて裁定取引が可能になったほか、タンカー運賃も値下がりし、たとえ長距離を輸送してもアジアでの販売に妙味があるため。
米WTI原油と北海ブレント原油の価格差は、OPECとロシアなどOPEC非加盟国が日量180万バレルの減産で合意する前の昨年11月にはほぼゼロだったが、現在は2.40ドルとなっている。
コンサルタント会社アイビー・グローバル・エナジーのディレクター、タシャール・バンサル氏は「OPECの減産で長距離輸送での裁定取引に道が開かれた。そのため(アジアは)遠方からの輸入が増え、OPECからの供給減少の穴を埋めている」と述べた。
BMIリサーチも顧客向けノートで「OPECの減産でアジアの原油市場に歪みが生じた」と指摘した。
<OPECはシェア低下>
アジアには米国、英国、ブラジル、さらには戦火のたえないリビアからも原油が集まっている。トムソン・ロイター・オイル・リサーチ&フォーキャストのデータによると、2月のアジアへの原油流入は3500万バレル(日量126万バレル)と、昨年10月の1040万バレル(同33万6000バレル)から大幅に増加した。
OPECは通常、アジアの石油需要の70%程度を満たしているが、昨年10月以降でシェアを5%失った計算だ。
コンサルタント会社クリストル・エナジーのディレクターのキャロル・ナフル氏は「現在の石油市場では、OPECはさらなる減産でシェアを失う恐れがある」と話す。
OPEC諸国とアジアの顧客との関係はどちらかと言えば良好だが、日本や中国、韓国など北アジアに拠点を置く精製業者は需要を満たすために他の供給元に乗り換えるのをためらわないだろう。
米国、英国、ブラジルからアジアへの原油輸出は軒並み急増。タンカーの運航計画からすると、この流れは3月も続きそうだ。
BMIは、OPECの減産、とりわけ中質油とサワー原油での減産により、油質が同等の地中海原油はアジア市場に参入する機会を手に入れたと指摘した。
<裁定取引は続くか>
石油大手で最初にアジアへの長距離輸送に乗り出したのはBP(BP.L)。昨年に約6隻のタンカーで米国産原油約300万バレルをオーストラリア、タイ、日本へと3万キロメートルにわたって輸送した。中国国際石油化工聯合(ユニペック)やトラフィギュラなどもメキシコ湾から中国へと米国産原油を輸送している。北海原油をアジアに持ち込んでいるのはビトル、マーキュリア、トラフィギュラ、グレンコア、シェル、ユニペック、ソカーなど。
ブラジルは国有石油公社(ペトロブラス)の原油がアジアに流入し、OPEC加盟国であるアンゴラ産原油からシェアを奪っている。
原油商社ストロング・ペトロリアムのマネジングディレクター、オイスタイン・ベレントセン氏は、アジアでの裁定取引が続くかどうかは運賃と価格差次第とみている。
指標となる中東から日本へのスーパータンカーの運賃はワールドスケールレートが71ポイントと、過去10年間平均の約76ポイントを下回っている。
アジアで裁定取引がいつまで可能かははっきりしない。ベレントセン氏は、OPECの減産にもかかわらず原油は供給過剰だが、今年第3・四半期には需給が均衡すると予想。「その時点で裁定取引がまだ有効かどうかは分からない」とした。
以上、ロイター記事
石油あまり現象で、OPECは減産し価格を吊り上げたいのだろう。
値上がりした段階で原油を売るため、シンガポールにタンカーが集結しているようですね。
ところで石油はなくならないですね。アメリカも自国生産始めたし、日本も安い石油を買ってほしいものです。電気代ももっと安くなるはずです。