<大王製紙エリエールレディスオープン最終日◇21日◇エリエールゴルフクラブ松山(愛媛県)◇6545ヤード・パー71>
2打のリードを持って迎えた最終18番。残り30センチのウイニングパットを沈めた原英莉花に笑顔はなかった。涙を流しながら、ギャラリーからの祝福の拍手に頭を下げ、右手を上げてガッツポーズ。アテストを終え、優勝インタビューを迎えても、こみあげるものを止めることはできなかった。
「この1年間ずっと苦しくて…自分の思う通りに運べなかった。体の痛みもあったなかで、優勝にたどり着けたと思ったらすごくうれしかったです」。表彰式を終え会見場に現れた時は、普段通りの明るく元気な笑顔を見せたが、勝利の後に見せた涙の理由について聞かれると、再び声を詰まらせた。
昨年は「日本女子オープン」、「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」と公式戦2冠を達成する飛躍の一年になった。しかし一転、年を越した後は勝てない日々が続いた。それを阻害していたのは「何かしら不安を抱えていた」という“自信の喪失”。起点は、その年の12月に出場した海外メジャー「全米女子オープン」頃までさかのぼる。
海外の強豪、そして難コースを目の当たりにした原の心中に「自分に足りないものが目につくようになった」という思いが込み上げる。そこからは、その足りないものを埋めるための練習や、クラブ変更を重ねるなど試行錯誤することになったが、これが迷路の入口になってしまった。さらに今年4月に出場し、トータル9オーバーで予選落ちした「ANAインスピレーション」後には、その後も苦しめられるギックリ腰を発症。「ANAの後は腰のこともあって、自分でもよくわからない感情になりました」。ここが一番苦しかった時期だと、今振り返る。
そこからは腰をケアしながら国内ツアーを戦い、8月には「AIG女子オープン」(全英女子)にも出場。しかし納得いくような結果が出ず、「もう勝てないかもしれない」という考えすら頭をよぎった。一時は症状がおさまった腰痛も、寒くなったことで「昨日、きょうもしんどかった」と再び不安材料に。「スポーツをするうえで一番大事。もしかしたらゴルフができなくなる怖さもあります。そこと付き合いながらやらないといけない。体が資本」ということを痛感した。
この愛媛での優勝争いも、そんな苦しみを象徴するような戦いになる。前半はなかなかチャンスも訪れず、一時は4人がトップに並ぶ大混戦に。しかし、そのなかでも「いつかバーディが来ると信じて、楽しくプレーしよう」と自信を持って勝機を待ち続けた。そして17番パー5で、ビッグプレーが生まれる。
ここでのティショットは右に曲がり、池ポチャを覚悟したほどだったが、「奇跡だと思って歩測したら、あと一歩(で池に入っていた)」とギリギリ残って、最悪の事態を回避。すると残り214ヤードから7番ウッドを振り抜き2オンに成功し、8メートルのイーグルパットを決めた。これで2打のリードを奪うと、何度も力強く右こぶしを振り下ろした。「2パットでバーディをと思ったら入ってくれた。うれしかったですね」。まさに勝負を分けるホールとなった。
「長かった」と感じさせた通算4勝目は、「長かった一日」を乗り越えてつかみとったもの。感想を聞かれた時には「幸せです。ゴルフを続けてよかった」という言葉しか出てこないほどの万感の勝利だった。そして今回のできごとについて原は「来年への希望になる1勝」と表現する。暗中模索のすえ、ようやく光が差し込んできた、そんな気分だったのではないか。来週は1年前に通算3勝目を手にしたメジャー大会を迎える。「勝つ気で挑みたいなと思います」。失いかけた自信を取り戻し、今は連覇への意気込みを力強く宣言できる。(文・間宮輝憲)
貼り付け元 <https://www.alba.co.jp/tour/news/article/no=177332?page=2>
以上、アルバニュース
2年間勝てずに苦悩していた原英莉花、勝負の世界は厳しいですね。
ジャンボ軍団の妹分の西郷真央についても初優勝が中々掴めていない。
こういう壁を乗り越えた時にゴルフのスタイルが決まることでしょう。大きく羽ばたいてほしいものです。