帯とけの古典文芸

和歌を中心とした日本の古典文芸の清よげな姿と心におかしきところを紐解く。深い心があれば自ずからとける。

帯とけの枕草子〔二百十七〕みじかくてありぬべき物

2011-11-02 00:23:22 | 古典

  
        
                    帯とけの枕草子
〔二百十七〕みじかくてありぬべき物



 言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」のみ。「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。



 清少納言枕草子〔二百十七〕みじかくてありぬべき物
 
 文の清げな姿

 短かくていいもの、急なもの縫う糸。げす女の髪。人の娘のしゃべり声。灯の台。


 原文
 みじかくてありぬべき物、とみの物ぬふいと。げす女のかみ。ひとのむすめのこゑ。とうだい。

 心におかしきところ
 身近くあっていいもの、急なもの縫うときの糸。げす女の髪(愛用のかつら髪)。若い女たちのおしゃべりの声(独りは寂しい)。灯台(明るい)。



 言の意味は戯れる、又、聞き耳によって異なるもの。

「みじか…短か…長くない…みぢか…身近…遠く隔たっていない」「じ…ぢ…耳で聞いては区別できない」「ありぬべき…あるのが適当…あるのが相応しい」「げす女の髪…短ければ働きやすい…かつら髪にしている」「人の娘の声…人の娘たちのおしゃべり短いほうが好い…人の娘たちの声身近でしていたほうがよい」「灯台…短い(低い)方が適当…身近に置くのが適当」。 


 伝授 清原のおうな

 聞書 かき人知らず (2015・9月、改定しました)


 原文は、岩波書店 新 日本古典文学大系 枕草子による。