情報と物質の科学哲学 情報と物質の関係から見える世界像

情報と物質の関係を分析し、心身問題、クオリア、時間の謎に迫ります。情報と物質の科学哲学を提唱。

実在とは何か 実在の意味が違う量子力学と古典物理学

2019-05-08 09:06:14 | 情報と物質の科学哲学
実在という概念に対する量子力学の考え方:
(1)測定前の電子のスピンや光子の偏光の量子状態は未確定
(2)測定によって量子状態が確定し実在化
(3)測定値は特定の値の中からランダムに生じる
(4)その確率は波動関数ψの絶対値の2乗に比例する
 
このように測定に依存する物理量の実在性という概念は、
量子力学特有のものです。
 
古典物理学では測定と無関係に確定した物理量が実在します。
 
「測定前の粒子の位置は、未知でも粒子は特定の位置にある。」
アインシュタインが生涯固執したこの主張は、量子力学では
認められません。
 
量子力学における「実在性」には次の2種類があると考えるべきです:
(粒子の検出前) 粒子は情報的に実在している
(粒子の検出後) 粒子は物質的に実在している

アインシュタインはパウリに対して
「月は見ていないときにはないのか?」
という有名な問いかけをして、物理量の実在に対する量子力学の
考え方を批判しました。
 
アインシュタインは「観測者に無関係な実在論」に生涯固執しました。
そのため彼は古典物理学者に分類されています。

パウリは、
「針の先で何人の天使が踊れるか」というような何も知り得ない
ことに頭を悩ますべきではないとアインシュタインに忠告しました。
 
アインシュタインは、マッハの思想に基づいてニュートンの絶対空間と
絶対時間を否定しました。
それにも拘わらず、彼は量子力学に対してはマッハの思想を無視したのです。
ボーアらコペンハーゲン派は、そのことでアインシュタインを厳しく
批判しました。
 
中世のスコラ哲学者たちは、「針の先で何人の天使が踊れるか」について
真剣に議論しました。
このような形而上学的議論を批判するときに、この例え話が使われます。
 
(以下、『集英社国語辞典』から引用)
 スコラ哲学:中世ヨーロッパで成立した哲学
  カトリックの教義を信仰をもって受け入れ、ギリシャ哲学の助けで
  信仰の哲学として体系化
  「スコラ」は教会や修道院付属の学校の意
 形而上:形がなく、感覚ではその存在を知ることのできないもの
  時間・空間を超えた、抽象的、観念的なもの
 形而上学:
  【哲】事物の本質や存在の根本原理を思惟・直観などによって
     究めようとする学問
(引用終わり)
 
『岩波理化学辞典』には「物理量」という単独の項目はありません。
これは、『岩波情報科学辞典』に「情報」という単独の項目がないの
と同じです。
「物理量」や「情報」という用語は、多様に使われるため一義的な
説明ができないからでしょう。
『岩波生物学辞典』には生物に関係する情報の項目があます。
 
ニュートン(阿部良夫訳)『自然哲学の数学的原理』、大思想文庫11、
岩波書店(1935) からニュートンの絶対空間/絶対時間に関する記述を
引用します:
「絶対時間」
絶対の、真の、数学的時間は、それ自身として基本性によって、他の対象に関係なく、一様に流れてゆく。それはまた、継続期間ともよばれる。
「絶対空間」
絶対の空間は、基本性により、他の対象に関係なく常に等しく且つ不動でありつづける。
(引用終わり)
詳細は、パソコンサイト 情報とは何か 情報と物質の関係から見える世界像 を是非ご覧ください!


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