自称米子のプロモデラー

模型、フィギュア、ジオラマを製作するブログ

幕末のリボルバー ル・フォーショーを作る Part11

2024-04-14 08:01:40 | Gun

鳥取県日野郡黒坂にある「泉龍寺」にある「因幡二十士」の慰霊碑に取り付ける「河田佐久馬」の拳銃の製作としてこの記事をアップしてきました。

その製作も終わり、レプリカも納品して全て完了したのですが、ある日、見知らぬメールが届きました。

ある芝居の舞台監督からでした。

その内容は、「幕末の芝居をするのですが、その時代に実際に使われていた拳銃を役者に持たせたいのですが、モデルガンとか発売されていません。ネットで幕末の拳銃を製作されているのを見て連絡しました。ぜひ一丁譲っていただけませんか?」と言う様な内容でした。

「ただ、予算がないので大した金額は払えません。」と言われました。

その内容から、小さな劇団で、素人が集まって自由な芝居をしている趣味の劇団からと思いました。

それなら大きな金額は無理だろうな、と思い、一般的なモデルガンと同じくらいの価格で見積もりしました。

本当は、複製したパーツを磨き、バリ取りし、組み立て調整して、さらにリアルな鉄の塗装仕上げするので、手間がかなりかかります。

なので、最低でも6〜7万円位は欲しかったのですが、「予算がない」と言われていたので、仕方が有りません、

「ま〜私が作った銃が舞台で使っていただけて、喜んでいただければそれで良いか」と思い舞台用に製作しますと返事を出しました。

すると、その舞台監督から電話が有り、とても感謝されました。

そこで、どんな芝居でどんな方が出演されるのか聞いたところ、主演は「上川隆也さん」共演が、「風間杜夫さん」「中村梅雀さん」などなど、それを聞いて「エ〜!!」となりました。

物語も、「手塚治虫先生」の「新 陽だまりの樹」でした。

手塚先生の物語と聞いてまた「エエエ〜!!!!」でした。

「めちゃくちゃ有名な俳優さんばかりじゃないか〜」

しかも手塚先生の原作だし。

これならもう少し拳銃の製作代金を上げても良かったのでは?とは思いましたが、大好きな手塚先生の物語の舞台で、私が作った拳銃を使ってもらえると言うだけ、でもう十分満足か。

驚きましたが、なんだかワクワクしてきました。

なので、かなりしっかりと銃の製作をしました。

銃は外観は全く「泉龍寺」に納品した物と変わりませんが、色々バージョンアップしました。

先ず壊れやすいフロントサイトや、リアサイト、エジェクターロッドなどをアルミや鉄で補強し、頑丈にしました。

それと、一番変えたのが「引き金」です。

このレプリカ銃は、可動する部分は無いので、引き金を強く引くと引き金自体が折れてしまいます。

そこで引き金を焦茶色のアクリル板で製作し、フレームに穴を開けてスプリングを仕込んで可動する様に加工しました。

銃を扱ったことの無い人は、引き金を引くな!と言っても必ず引きます。

ましてや、舞台でセリフを喋っている最中に「引き金を引かないで」と言っても絶対に引くと思ったので、多少面倒でしたが動く様に加工しました。

それで、この拳銃は誰が使うのか?

この方です。

風間杜夫さんです。

この写真は衣装合わせの時の写真です。

最初は、この坂本龍馬が使っていたスミスアンドウェッソンのNo,2で稽古されていた様です。

舞台監督いわく、「出っ張りの少ない銃で稽古してました。」との事でした。

銃が完成してからは私の作った銃で稽古されています。

この様な場所で稽古されていました。

しかし、この時は2019年。

コロナがこれから蔓延する直前で、本来なら全国公演する予定だったそうです。

福岡、広島、大阪、東京など。

なので大阪公演の時は必ずチケットを取って見にゆこうと思っていたのですが、、コロナの蔓延につき、全公演が中止になりました。

残念でなりません。

ただ、この舞台、無観客でビデオ撮影し、DVDの発売がされました。

パンフレットとセットで販売もされたので早速買わせて頂きました。

それにCSの「日テレプラス」で、何回か放送もされました。

これが風間さんの銃を使っているシーンです。

天井に向けて発泡するシーンですが、多分引き金をしっかり引いておられると思います。

可動の引き金にしていなかったら絶対に折れていたでしょう。

役に没頭したら、引き金は引かないで!と言っても守れるわけがないので、可動式にして正解だったと思います。

実際は火薬の使用とか出来ないのですが、音響で演出されていました。

本来は銃口から火を吹いて欲しかったでしょうけどね。

電気発火方式で発火させる方法はあるのですが、今回はそこまでの必要がなかった様です。

この拳銃を送り出し、稽古場に届いた時、皆で見ていただいた様ですが、美術担当の方も関心されていたそうです。

風間さんも、「こちらの方が軽くて良いや」と言われていたそうです。

しかしながら、この舞台は幻になりました。

公演されたなら、舞台監督に話して風間さんや上川さんに会えたかもしれないのに残念です。

それと、上川さんは鉄砲好きの様で、コルトの「51ネービー」などモデルガンをいくつか持っておられる様です。

最初に風間さんが使っておられたスミスアンドウェッソンの銃も上川さんの私物だったのでは?と思いました。

本当に実際の舞台を見たかったですね。

いつか再公演出来ないか?

もし同じスタッフで公演があれば、必ず見に行くのですがね〜。

今回製作したル・フォーショーですが、一般の方も一丁買わせてくれないかと、問い合わせがあり、4人の方々にガレージキット状態でお分けしました。

その方々も自分で組み立てて楽しまれた様です。

作りにくいのですが喜んで頂けた様です。

 

長々と続きましたが、ル・フォーショーの話はこれで終わることにします。

長々と読んでいただき有難うございました。

次は何の話にしようかな?