「ほたるいしマジカルランド」寺地はるな著
大阪北部に位置する蛍石市。
その山手にある「ほたるいしマジカルランド」は老舗の遊園地。
様々な部署で働く人々のお話。
月曜日 萩原紗英（はぎわらさえ）
演技の勉強に役立つといわれ、マジカルランドのアルバイトを始めた。
後に試験を勧められ正社員になりインフォメーションを担当する女性。
火曜日 村瀬草（むらせそう）
メリーゴーランドが好きなのに配属されたのは地味なエリア。
身分はまだバイトのままで不満を抱いている。
水曜日 篠塚八重子（しのつかやえこ）
清掃部門に所属する女性。
人付き合いが苦手であり、何かと夫に罵倒される毎日の末、息子を残して離婚。
再婚して息子の母親となった女性から息子の様子を知らされる。
木曜日 山田勝頼（やまだかつより）
園芸部門に所属。イルミネーションイベントが始まる頃に退職予定。
家を出た一人娘とは思春期を境に疎遠になっている。
金曜日 国村佐門（くにむらさもん）
社長の息子で次期社長と噂される。
クールな印象を持たれているが、実は考えを伝える語彙力が弱く反応が遅いと自覚している。
土曜日 三沢星哉（みさわせいや）
「働かなくても生活ができる恵まれた人間」と自覚している。いい年をして家にいるのは体裁が悪いと言われ、アルバイトでメリーゴーランドを担当している。
人との付き合いはメリットが有るか無いかではかる。
日曜日 すべての働くひと
担当部署の人たちと、彼らに関わった人たちとのその後の関係が語られている。
表の顔だけでは分からない様々な事情。
関わる人達によって前向きに変わる情景。
読後感があたたかい。