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チラシの裏

ウルトラマンが泣いている

2013年06月19日 | ノンフィクション
円谷英二の長男で円谷プロ2代目社長、
円谷一の息子(次男)さんが書いた、内幕本ですね。
円谷プロの作品論はいままで多く書かれていると思われますが、
会社の内部事情を一族の人間が書いたというのは初めてでしょう。
※「大人の事情がはじめてあかされる」と帯に書いてありますので。
この人の弟が宇宙刑事シャイダーで主演デビューした故円谷浩です。

円谷英二亡きあとの円谷プロがたどってきた経路を、
親族そして円谷プロの役員としての視点から綴っています。
同族相食む、というか叔父にあたる円谷皐(のぼる・3代目社長)への非難が多く見受けられ、
著者も社長につきますがすぐに解任させられてしまいます。

そんな著者が、
「ウルトラマンのような特撮を制作しても結局は赤字になる。
ウルトラマンというビジネスモデルは破綻しているのかもしれない」
と分析するところが一つのヤマかも。

著者はその後、中国で特撮番組を作ろうとして資金繰りに失敗、
途中まで作った素材は中国でお蔵入りになったまま、
特撮業界から足を洗って今はまったく別の仕事をしているそうです。

ところで35ページに
「国際救助隊サンダーバードはテレビシリーズ32話と映画2本を作ってあとは作られなかった」
と書いてありますが、
たしかにアンダーソンプロはサンダーバードの続きは作らなかったけれど、
「キャプテン・スカーレット」「ジョー90」ほか
「謎の円盤UFO」「スペース1999」まで制作してきたわけですから、
「予算がかかるのでサンダーバードが再開されなかった」ことを恣意的にとりあげすぎです。
こんな話はこの本を読むような人には常識的なことでしょうし、
もしかしたら著者は円谷一族ではあるけれど
特撮番組自体にはあまり興味がなかったのかもしれません。

個人的には、ウルトラマンメビウス終了後に、
とある会社が円谷プロを買ったのは、
バンダイから金を引き出す道具に円谷プロを使うため、
と勘ぐっているのですが。


■ウルトラマンが泣いている 円谷プロの失敗
円谷英明著 講談社現代新書

怪奇大作戦 Theme Song(full)



※外国の方がアップしたもののようですが、
途中「呪いの壺」の次に欠番扱いの「狂鬼人間」のカットが出てきます。
「呪いの壺」は傑作だなあ
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