徒然なるまままに

展覧会の感想や旅先のことを書いてます。

燕子花図 と藤花図 根津美術館

2006-04-15 | 美術
燕子花図 と藤花図 根津美術館
-館蔵屏風絵 -
2005年4月15日から5月7日

根津美術館は、本展終了後、改築工事のため、2009年秋まで3年半にわたり休館の予定です。 というのもあり、暫く国宝 尾形光琳「燕子花図」(かきつばたず)見納めにと、いってきました。「燕子花図」は、昨年秋に鑑賞したばかりなので、やはり今回は、円山応挙「藤花図」(重要文化財 紙本金地著色)に目が行きます。間を生かした構図と、藤の花と葉が応挙らしい細かい筆致で見飽きません。一方幹は墨の濃淡で一筆書きのようにデザイン化されています。昨年国宝「雪松図屏風」を見てから応挙の屏風絵に開眼しました。応挙いいですね。気になったのは、これは丙申初秋写という署名。なぜ初秋に藤の花なのでしょう?これってもしかして萩の花?

展示室の展示品はすくなく、8点だけです。
吉野龍田図 
蹴鞠図 (重要美術品)
桜下麝香猫図 狩野宗信筆
草花図 鶴沢探鯨筆
夏草図 尾形光琳筆
烏図 (シアトル美術館)(4/15-4/26)
夏山山水図 鈴木其一筆(4/27-5/7)

烏図は、あまり日本人好みではないかと。吉野龍田図は、豪華で華やいだ気分になります。

常設展には、高麗茶碗、良寛の書、李朝の焼き物が展示されています。屏風絵だけを見に行くとなると1000円はちょっと高く感じるかもしれません。でも「藤花図」はお勧めです。

P.S.根津美術館の開館時間は要注意です。なんと9時30分から16時30分までです。当然17時までかと思っていて慌てて、普段なら歩く渋谷からの道をわざわざ地下鉄に乗って15時45時ごろ飛び込みました。




コメント (3)
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Gemaldegalerie 絵画館@ベルリン (4) イタリア絵画

2006-04-14 | 美術
  • はじめに
  • ドイツ絵画
  • フランドル絵画(14世紀から16世紀)
  • フランドルとオランダ絵画(17世紀)
  • イタリア絵画(13世紀から16世紀)


    4.イタリア絵画(13世紀から16世紀)
    イタリア絵画は、素晴らしい作品が多数あります。

  • Giotto di Bondone(1267-1337), The Burial of the Virgin, c.1310,
  • Gentile de Fabriano(1370-1427), Virgin Enthroned with the infant Jesus, Saints and a Patron,
    多分San Niccolo in Fabrianoの作品で、この巨匠の初期の作品。盛期国際ゴシック様式の作品。牧草地と木々の中に聖母子が描かれる。


  • Antonio del Pollaiuolo(c.1431-98), Profile Portrait of a young woman, c.1465,
    服装の豪華さからフィレンツェの高貴な若い女性の横顔。


  • Fra Filippo Lippi(c.1406-69), The Adoration in the forest, c.1459, 森の神秘的な濃い緑に精霊から射す金色の光。イエス誕生の瞬間。可憐な顔立ちをしたペールブルーのマリアの衣装。昨年から画集などで何度となく眺めていた作品。グラビア印刷では再現できない神々しい色使いと美しさに圧倒され、鳥肌が立ちます。傑作です。


  • Andrea Mantegna(1431-1506), The presentation of Chirst in the temple, ca.1465-66,


  • Domenico Ghirlandaio
    タイトルはドイツ語で不明ですが。


  • Giovanni Belliniジョヴァンニ・ベリーニ(1430/1-1516), The resurrection of Christ, 1479, フリック・コレクションの《砂漠の聖フランチェスコ》St. Francis in the Desert, c.1480と同時期の作品です。空中で手を広げているイエスが印象的です。あと2点ほど、小品が展示されていました。


  • Titan, Venus with an Organist, c.1550-2, プラド美術館のVenus with an Organistを鑑賞する前にたまたまこの作品を鑑賞してしまいました。明らかに背景が異なります。

  • Raphael, Solly Madonna. c.1502
  • Raphael, Madonna with the Christ Child Blessing and St. Jerome and St. Francis (Von der Ropp Madonna). c.1502
  • Raphael, Diotalevi Madonna. c.1503
  • Raphael, Madonna with the Infant Jesus, John the Baptist and a Holy Child (Madonna Terranuova), c.1505
  • Raphael, Colonna Madonna. c.1508,
    なんと、絵画館には5つのマドンナが並んでいます。昨年来日したのは、Madonna Terranuova。この作品は(母親として)自信のある表情。またColonna Madonnaは、背景が淡い色使い。

  • Francesco Melzi, Vertumnus and Pomona, c.1518-22
    何か違うと感じたのですが、レオナルド・ダ・ヴィンチLeonardo da Vinciとともに旅をしたそうです。たとえば、背景の描き方などにあきらかな影響が見られますし、女性はモナリザに似た描き方をしています。
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    Gemaldegalerie 絵画館(3) 17c.フランドル・オランダ絵画

    2006-04-13 | 美術
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  • ドイツ絵画
  • フランドル絵画(14世紀から16世紀)
  • フランドルとオランダ絵画(17世紀)
  • イタリア絵画(13世紀から16世紀)

    3.Flemish and Dutch Pating 17世紀

    Sir Anthony van Dyck, Jan Brueghel the Elder, Jacob van Ruisdaelも並びますが、やはり、ルーベンス、レンブラント、フェルメールです。

  • Peter Paul Rubensルーベンス (1577-1640), Perseus Freeing Andromeda, 1622
    ルーベンスは、最盛期の優品ばかりならんでいて、珍しく感動しました。この作品は、ペルセウスが''Oh, thou deservest not chains such as these but only the bonds that unite passionate lovers' (Ovid) とアンドロメダ姫を助け出す場面をルーベンスらしくダイナミックに美しい色彩で描く。


    こちらは同時期に描かれたThe Hermitage, St. Petersburgにある同じ題材の作品。
  • Peter Paul Rubens, Perseus Freeing Andromeda, 1620-21


    1622年はルーブルにあるMarie de Medicisへの一連の作品を描いていた時期
    The Landing of Marie de Medicis at Marseilles, 1623-25, Musee du Louvre, Paris


  • Peter Paul Rubens, Landscape with Cows and Wildfowlers, ca.1635/38; ルーベンスには珍しい風景画


    あとはルーベンス特有の上目遣いの女性や男性がならぶ。
  • Peter Paul Rubens, St Sebastian, ca.1618


  • Peter Paul Rubens, Andromeda, ca.1628

  • Peter Paul Rubens, St. Cecilia, ca.1639/40


  • Geritt van Honthorst(1590-1656), The deliverance of the Peter, ca.1616-18,
    使徒行伝12:6-7に基づく場面。明らかにカラヴァッジョの『聖マタイの召命』に影響を受けた作品。1615年にvan HonthorstはUtrechtからローマに旅した。そのとき、カラヴァッジョのスタイルばかりだった。

  • REMBRANDT Harmenszoon van Rijnレンブラント, The Mennonite Preacher Anslo and his Wife, 1641


  • REMBRANDT Harmenszoon van Rijn, The Moneychanger,1627


  • Jan Vermeerフェルメール, The Glass of Wine, 1658-61,
    寓意のある絵です。若い男がピッチャーを手にとって、赤い金の刺繍の入ったドレスを着た、うら若き女性にワインをすすめています。ワインを飲む女性の表情はよくよみとれません。でも男性の表情にはなんとなく下心を感じます。何を言いたいのでしょうか?飲まれるな?ということでしょうか?N.Y.のメトロポリタン美術館のフェルメールも地球を足蹴にした女性を描いてAllegory of the Faithでしたが、寓意を読み取らないといけないのですね。
    フェルメールの細部の表現、光の表現は冴え渡ります。テーブルクロスはコブランかという豪華な刺繍。ステンドグラス、ピッチャーやワイングラス、楽器、そしてよく見ると手前にある椅子の装飾にまで光は差し込みます。


  • Jan Vermeer, Woman with a Pearl Necklace, 1662-64
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    Gemaldegalerie 絵画館 @ベルリン (2)フランドル絵画

    2006-04-12 | 美術
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  • フランドル絵画(14世紀から16世紀)
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    2. フランドル絵画(14世紀から16世紀)

    まず、サイズの小さい絵画を揃えた第5室に2点すばらしい作品が。
  • Jan van Eyck (ca.1390-1441), The Madonna in the Church, 1425,

    ヤン・ファン・アイクは、北方ルネッサンス初期のフランドル絵画の巨匠。15世紀のブリュゴーニュ公フィリップPhilip the Good of Burgundyに宮廷画家兼侍従として使えた。油彩画の技法を完成させた画家とされる。そのヤン・ファン・アイクの作品。

    聖母の表情の清楚さ、ティアラの美しさ、窓から差し込むその光の表現、ステンドグラスのすばらしさ。小品とは思えぬ存在感です。

    ヤン・ファン・アイクの作品は、フリック・コレクションではじめてみて、そして、ルーブルでかの有名な《ニコラ・ロランの聖母》The Virgin of the Chancellor Rolin. (c.1435)を見て、また今回、この小品に出会いました。


  • Petrus Christus (1410-72/3), Portrait of Young Lady, 1470, 29x 22.5cm:この小品、あまりに気品ある若い女性の姿、装飾品のさりがげない豪華さに、それでいて一寸上目使いのクールな表情、ぞくぞくとしました。


    第VI室
  • ロヒール・ヴァン・デル・ウェイデンRogier van der Weyden (1399/1400-1464), The St.John Alatarpiece, ca.1455.

    77cmx48cmの3連ですから小品ではありますが、その表現の繊細さには目を見張ります。アーチ型の装飾(この装飾がなかなか立体的に描かれていて印象的です。)のなかにイエスの誕生、ヨハネの指名、サロメの場面とヨハネに纏わる物語が描かれます。サロメの場面は斬首の場面が手前に、母親に差し出す場面は、奥の部屋に描かれています。このほかにも2点のRogier van der Weydenの祭壇画がこの部屋にならびます。


    第V室
  • Hugo van der Goes (ca.1440-83), The Adoration of the Shepherd, ca.1480;この作品、イエスの誕生に四人の羊飼いが駆けつける場面をいかにも駆けつけるといった風に描きます。

    第6室
  • Hieronymus Bosch (1450-1516), St John on Patmos, c.1505, 表にはSt.Johnが、裏には悪魔が描かれています。

    第7室
  • Pieter BRUEGEL, the Elder ブリューゲル(1525/30-1569), The Ducth Proverbs, 1559; 画面いっぱいに120もの箴言が描かれている。中央の赤い服を着た女性が青いクロークを夫にかける様子からBlue Cloakと呼ばれていたこともある。


    (8日)
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    Gemaldegalerie 絵画館 @ベルリン (1) ドイツ絵画

    2006-04-11 | 美術
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  • フランドル絵画(14世紀から16世紀)
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  • イタリア絵画(13世紀から16世紀)


    1.ドイツ絵画
    13世紀の祭壇画もすばらしかったが、デューラーはアルテ・ピナコテークの作品があまりに素晴らしく、ここの作品は小品のみ。
  • Hans Baldung, a.k.a Grien(1484/5-1545), The mourning of Christ, ca.1516, イエスの死の場面。肌にイエスの傷が 生々しい。白い肌のマグダラのマリアが悲しみの表現が悲しみをさそう。このほかに数点のHans Baldungが並ぶ。

  • Lucas Cranach the Elder クラーナハ(1472-1553),

    The Fountain of Youth, 1546.



    彼の最も有名な絵。画面中央に20人以上の女性が噴水の中で戯れる。不道徳と永遠の若さへの憧れを表している。よくみると画面の左から老女が噴水を通って若返る様子を描いている。背景の風景も左側は荒涼としていて右側は緑豊か。この絵の左右には一対の官能的で魔女のような表情のVenus and Amor(1537と1530)が掛けられています。この絵画館でだれもが立ち止まってしまう展示場所です。

    クラーナハは、初期は「ドナウ派」と呼ばれる画風だった。その傑作の例の
  • Die Ruhe auf der Flucht nach Agpten, エジプト逃避途上の休息、1504
    も展示されている。


    1505年ザクセン選帝侯フリードリヒ賢公に招かれてヴィッテンベルクの宮廷画家になってから画風は一変。
  • Flugenaltar mit den Jungsten Gericht, 1524 祭壇画
  • Johnann Freiedlich I(1503-1554) 肖像画
  • Das Urteil Solomonis 肖像画
    なども展示されていたが、クラーナハいえば、官能的な表現のヴィーナス。異彩をはなつ。警戒すべき女神、魔女として描かれている。

  • David and Bathseba, 1526
  • Apollo and Diana, 1530
  • Lucreteia, 1533
  • Adam and Eve in Paradise, 1531
  • Adam and Eve in Paradise, 1533



    などが並び壮観です。当時の謝肉祭劇の教訓的な主題から影響を受けたとされるが、この魔女のような女性の表現にこんなに多く注文があったとは、時代の要請でしょうか?

  • Hans Holibein the yongerハンス・ホルスバイン(子)(1497-1543), The Merchant Georg Gisze, 1532.


    たぶん婚約用の絵画で花嫁のもとに送られたもの。商人の仕事部屋の様子が詳しく描かれている。N.Y.フリックコレクションやThe Metでみた荘厳な印象の画面に比較すると、かなり立体的に描かれていて温和な印象を感じます。このほかに飾られていたあとの4点の商人の肖像画も同様。

    参考:Sir Thomas More at Frick Collection


    画像はすべてhttp://www.wga.hu/へのソースリンクです。

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    Gemaldegalerie 絵画館@ベルリン

    2006-04-10 | 美術
    Gem"aldegalerie は、1830年にRoyal Musuemとしてオープンした。コレクションの中心は、The Great Elector (1620 - 1688) と Frederick the Great (1712 - 1786)。1890年から1929年まで館長を務めたWilhelm von Bode により絵画館は世界的に有数なコレクションとなった。第2次世界大戦後Berlin-Dahlemとthe Bode Museum に展示されていたコレクションが1997年からthe Kulturforum Potsdamer Platzにまた集まることになった。18世紀までの絵画が展示されている。

    10年ほど前に、the Bode Museumを訪れたことはあるが、Berlin-Dahlemは訪れたことはないし、ほとんど記憶にない。薄暗いBode Museumの建物だけが印象に残っている。昨年のベルリン至宝展も鑑賞していないので、とても楽しく鑑賞できた。

    博物館島から離れているためか、とても空いていた。8$で音声ガイドこみ、$15でほとんどすべての美術館(音声ガイドつき)が入場できる。とは、とても吃驚。

    まだ、展示を統合してから時期が立っていないせいか、整備されていない面も多少見受けられた。たとえば、展示の表示はドイツ語のみ。解説はほとんどありません。音声ガイドは日本語がない。ガイドブックも(英語であれ)もう少し多くの作品が収録されたものがあればと思われます。ガイドブックの説明も、絵の内容の説明に多くが割かれているようです。

    ドイツ絵画、フランドル絵画(14世紀から16世紀)、フランドルとオランダ絵画(17世紀)、イタリア絵画(13世紀から16世紀)について別稿を起こします。なお、ロココのフランス絵画、ゴヤなどのスペイン絵画、トマス・ゲインズバラなどのイギリス絵画にも、いい作品がありました。

  • ドイツ絵画
  • フランドル絵画(14世紀から16世紀)
  • フランドルとオランダ絵画(17世紀)
  • イタリア絵画(13世紀から16世紀)

    なお、今回残念だったのは、ラ・トゥールGeorges de La TourのThe Porridge Eatersが鑑賞できなかったこと。
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    帰国

    2006-04-09 | Weblog
    ベルリンからAF2335,AF275と乗り継いで帰国
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    Melancholy - Genius and Madness in Art 

    2006-04-07 | 美術
    Melancholy - Genius and Madness in Art
    MELANCHOLIE
    Genie und Wahnsinn in der Kunst
    Neue Nationalgalerie, Berlin
    17 Feb 2007 - 7 May 2006

    http://www.melancholieinberlin.org/
    フランス、パリで先に開催されていた表記の展覧会がベルリンで開催されていました。

    2000年にわたって、メランコリーは、西洋の芸術の知的源泉として認識されてきた。それを300点以上の作品を並べて振り返ろうという展覧会です。

    Origin Of Melancholyからはじまり、
    Between Heaven and Hellということで中世のイメージとして、
  • Geertgen Tot Sint Jans, John the Baptist, ca. 1480 – 1485 ヨハネが座り込んで考える人のポーズをしています。遠方の緑の色とヨハネが可愛い顔をして悩んでいるので、眉間にしわを寄せて悩むというよりは「困ったなあ」といった感じでに見えます。
  • Vittore Carapaccio, The preparation for the entombment of Christ, 1505 ベリーニと見まごうような荒野の風景です。
  • ERNST, The Fireside Angel, なぜかここに現代作品があり、ねじれた雑巾のような人体が宙に浮かんでいます。
  • ボッティチェリ, ダンテの神曲を題材にした作品もありました。
  • Oerrheinsch, St. Anthony tormented by devils, ca.1520, 西洋版地獄草子です。妖怪の類がSt. Anthonyに襲い掛かる図です。

    そして、The Picture of Melacholyということでデューラの版画
  • Durer, Adam and Eve, 1511
  • Durer, Night, Death and the devil, 1513
  • Jerome in the Studym, 1514
  • Melacolie I, 1514, 幾何学や数学や彗星は天文学で、考えすぎて悩んでいる姿という解釈だそうです。

    The Children of Saturn
  • Lucas Cranach d.A, Die Melancholie, 1532、Cranachの作品の女性は、神秘的な魔女のような表情をしていてとても印象的です。この作品も靴とか判別するとやはり魔女のようです。

    Melancholy Contemplating the end, Baroque Transcienceではバロック以降、考え込む表情の絵画が並びます。その系譜として
  • Picasso, SKULL, Sea Urchin and Lamp on the table, 1946, ピカソ美術館。友達を戦争で失ったピカソの気持ちを表した作品
  • セザンヌ, Still Life with Skull and Candle Lamp
    の2点なども示されており、骸骨と消えそうなランプというのは人生のはかなさのアレゴリーだそうです。
    The Sound of Melancholy, Music as Remedyというコーナーもありました。
    そして
  • ワトー, Open air party, 1720もこれもメランコリーの部類に入ると。まあ、ちょっと暗いところがワトーにはあります。

    The Longing, The Romantic Landscape as Mirror of the Melancholyということで
  • Caspar David Friedrich, Abbey in an oak forest, 1809-1810、枯れ木の墓場の風景です。
  • Caspar David Friedrich, Monk by the sea, 1808-1810 暗い海辺に女性が一人たたずんでいます。
    等6点のCaspar David Friedrichフリードリッヒの作品が並びます。ドイツロマン派の巨匠の作品が6点もみれてよかったです。

    ベックリン
  • Arnold Boecklin, Selfportrait with the death playing the riddle, 1872
  • Arnold Boecklin, Villa the sea, 1877
  • Arnold Boecklin, the island of death, いいですね。でもこの絵画もさきほどのフリードリッヒの後継者ともおもえます。N.Y.のMETに引き続き2点目です。

    そしてムンク、N.Y.に引き続きみれました、
  • Munch, Evening Laura, Sister of the artist, 1858
  • Munch, Panel from Renhardt- Frinze, 1906-1907,これはテンペラの連作です。このパネルにはMelacholieと題する一枚があります。
  • Munch, Melacolie III, 1902,版画

    The Melancholy of ModernismとしてEdward Hopperが2点も並びます。
  • Edward Hopper, New York Movie, 1939, MoMA
  • Edward Hopper, A woman in the sun, 1961, Whitney Musuem,
    これは、孤独な女性の姿です。

  • SALVADOR DALÍ, PORTRAIT OF ISABEL STYLER-TAS, 1945

    いろいろ悩むことが違うようです。音声ガイド一応借りましたが、英語だとかなり難しい用語ばかりでさっぱり判りませんでした。

    人気だそうで、金曜日なのに2000まで開館(ベルリンは木曜日に2200までも美術館は開館している)を延長したので、滑り込めました。

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    春の東博 天寿国繍帳、庭園開放、見返り美人

    2006-04-06 | 美術
    1日は、国立西洋美術館のあとは、桜満開の東京国立博物館の平常展を楽しみました。(いまごろUPしても桜も散ってしまいましたが)

    国宝・天寿国繍帳と聖徳太子像
    春の庭園開放
    茶の美術
    国宝室 地獄草紙(じごくそうし)
    見返り美人図 菱川師宣筆
    前田青邨筆 神輿振

    国宝・天寿国繍帳と聖徳太子像
    2006/3/14-4/9

  • 《天寿国繍帳(てんじゅこくしゅうちょう)残闕》(国宝)(奈良・中宮寺所蔵、奈良国立博物館寄託)
    と、法隆寺東院絵殿に安置されていた
  • 《聖徳太子像》(重文)(平安時代・延久元年(1069))(法隆寺所蔵)
  • 《聖徳太子絵伝》(国宝)(平安時代・延久元年(1069))(法隆寺献納宝物)
    が一同に会していた。

    奈良時代の技術はすごくびっくり。虫に食われてしまったのでしょうが、よくここまで残ったものです。間近にみることができて、状態がよくわかりました。中宮寺を訪れた際も国宝弥勒菩薩半跏像を遠くに眺めれただけですから、天寿国繍帳を所蔵していたと知識を新たにしました。300円の図録はお値打ちものですね。

    法隆寺宝物館は谷口吉夫氏設計により平成11年に完成したものですが、建物のファサードがすばらしいですね。久々に訪れてまた感激しました。MoMAの設計も谷口吉夫氏設計でしたね。

    春の庭園開放
    2006年3月11日~4月16日
    ソメイヨシノをはじめ、オオシマザクラ、ショウフクジザクラ、枝垂れのエドヒガンザクラなどが咲いている春の庭園開放を楽しんだ。京都御所内の九条邸にあった九条館は、お茶会を催している。目の前にソメイヨシノが咲きほこるなかでお茶会をするとは何と優雅なのでしょうか。(一般の人は逆に楽しめない)

    たまたま<「b>転合庵。小堀遠州(1579~1647)が桂宮から茶入「於大名(おだいみょう)」を賜った折、その披露のために京都伏見の六地蔵に建てた茶室」という説明が目に入る。

    本館第4室に戻ると、その茶入 銘 於大名(美濃)が展示されていました。(6/9まで)かなり大き目の茶入れです。

    茶入 銘 於大名:(解説引用 小堀遠州が桂宮智仁親王より拝領したとした伝えられ中興名物にもあげられた瀬戸茶入面取手(めんとりで)の本歌とされる茶入れ。遠州によって水滴型から現在の形に仕立てられ、彼の伏見屋敷の茶室転合庵とともに伝世した、その後離れ、明治に再び転合庵と一緒になった。)

    本館2階第4室 茶の美術 (2/14-6/4)
  • 鼠志野鶺鴒文鉢 美濃
  • 棒先建水 明時代・15~16世紀(不昧公所持)
  • 竹茶杓 銘 埋火 小堀遠州
  • 彫三島茶碗 銘 玄涛 (朝鮮)(解説引用:三島とは高麗時代の象嵌青磁の系譜を引くもので、印文、彫文のあとに白土を象嵌したもの。彫三島とは彫文様で桧垣文などをあらわしたもので高麗茶碗の中でも日本からの注文によって作られたものとされる。名古屋の関戸家から松永耳庵に伝来した。)
  • 巻子本古今集切 1幅 伝源俊頼筆 (これは2/14-4/9)
  • 志野茶碗 銘 振袖 美濃
    などに目が行きました。

    国宝室 地獄草紙(じごくそうし)
    2006/3/14~2006/4/9
    解説引用:岡山の安住院の伝来。生前に犯した罪業によって堕ちるさまざまな地獄の有様を描いた絵巻。『正法念処経』の経文を解りやすい和文になおして詞書とし,それに対応する絵を添える。平安末期に流行した六道思想に基づくもので,罪人が種々の責苦に苛まれる苦悩と戦慄の模様を,赤と黒を主体とした色調で効果的に表現する。焔火流(ほっかる)・火末虫(かまつちゅう)・火雲霧(かうんむ)(詞書では雲火霧)・雨炎火石(うえんかせき)の四場面が描かれる。 地獄草紙とはいうものの、想像がたくましいというよりは、平安時代の飢饉などときの現実をすこし誇張したぐらいではないかと思いました。

    見返り美人図 菱川師宣筆2006/3/28~ 2006/4/23
    本館2階の江戸浮世絵のコーナーは、春爛漫です。大きく謳ってはいませんが、「今回は、初期浮世絵の名品、菱川師宣筆「見返り美人図」をはじめ、春の到来にふさわしい桜や山吹などをモチーフとする作品を展示します。また春霞のごとく繊細な浮世絵を残した狂歌師・窪俊満(1757-1820)に焦点をあて、彼の春を主題とした作品を多く取り上げます。」
    「見返り美人図の解説引用:菱川師宣の信頼できる肉筆画の中で世にもっとも知られた作品であるが,一人立ち美人図である点では珍しい作例でもある。歩みの途中でふと足を止めて振り返った印象的な姿は,まさに「菱川様の吾妻俤」(ひしかわようのあずまおもかげ)(『虚栗』)と謳われたそのものであろう。 」

    もしかすると見返り美人図は、はじめてみたのかも知れません。この有名な絵を見れて一寸得をした気分です。赤い艶やかな着物が見事です。そのほかにも鈴木春信筆が2点。三十六歌仙・在原業平朝臣、見立山吹の里。また重要美術品の窪俊満の《夜景内外の図》《桜下喫煙二美人》。また歌川広重筆《東都御殿山ノ図》など美人図に相応しい優品でお花見気分です。

    前田青邨筆 神輿振 大正元年(1912)
    2006/3/21-4/23
    実は前田青邨には、そのおおらかな表情がピンとこなくて、あまり好きになれないことが多かったのですが、この《神輿振》の緊張した画面にはぞくぞくとしました。精密な描写、色使い素晴らしいです。出世作というだけはあります。
    (解説引用:第6回文部省美術展覧会第3等受賞し、青邨の出世作となった。1177年延暦寺の僧兵が神輿を奉じ、京に乱入した事件を描く。物語を説明的に描かないで中世の絵物語の模写を通じて学んだ筆法に近代的な視覚を加え、緊張感のある画面構成としている。)

    このほか
    京の舞妓 速水御舟筆 大正9年(1920)
    (解説引用:院展出品作品、細密描写が注目をあびた。空間処理も着物や畳などの空間描写に執着し、大正期の写実的傾向を示す。モデルは当時人気だった君栄という舞妓で祇園の茶屋「吉はな」で写生したのち、2年がかりで完成)
    溪山四時 川合玉堂筆 昭和13年(1938)
    の前で立ち止まりました。
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    ロダンとカリエール @国立西洋美術館

    2006-04-05 | 美術
    ロダンとカリエール
    Auguste Rodin | Euge'ne Carrie're
    2006年3月7日-6月4日
    国立西洋美術館

    4月1日(土)に「ロダンとカリエール」に鑑賞してきました。お花見で上野公園は予想に違わず人出が多く、最もゆっくりと鑑賞できそうだという訳で、「ロダンとカリエール」にさせていただきました。(プラド美術館展の前まで行って会場は大変混雑しておりますという札を見て出直すことにしました。プラド美術館展は、招待券をどこまで配っているかと思うと早めにいかなければならないのでしょうが。)

    オギュースト・ロダン(1840-1917)といえば、パリのロダン美術館を訪れたのが2004年9月。このときは、彫刻家カミーユ・クローデルとの愛憎の物語の話を、NHKの番組で見た後だったので、そんな視点で鑑賞した微かな記憶があります。でも英語の音声ガイドしかなく、庭園がよかったぐらいしか覚えてはいません。
    ウジェーヌ・カリエール(1849-1906)については、プーシキン美術館展で《母の接吻》《指から棘を抜く女》に出会ったのがはじめて。幻想的で朦朧な作品でいいなあと思わず見入りました。

    さて展覧会について、構成に従って、気になった作品をつらつらとメモすると
    Ⅰ. ロダン像とカリエール像
    カリエールによるロダンの肖像、および自画像、またロダンが制作したといわれるカリエールのデスマスクが展示されています。

    Ⅱ. ロダンとカリエールの直接の交流
     印象的だったのは、1900年にパリのアルマ広場で開かれた「ロダン展」ポスター。カリエールがロダンの姿を書いています。また、そのロダン展の目録なども展示されていて、興味深かったです。

    Ⅲ. ロダンとカリエールをめぐる人々の肖像
     肖像のモデルになっているのはジョルジュ・クレマンソー、アンリ・ロシュフォール、ピュヴィ・ド・シャヴァンヌ、ロジェ・マルクス、ギュスターヴ・ジェフロワといった同時代の政治家や芸術家、批評家、詩人など。政治家ジョルジュ・クレマンソー(パリに、クレマンソーという地下鉄の駅がありますね)、画家ピュヴィ・ド・シャヴァンヌぐらいしか判りませんが、ピュヴィ・ド・シャヴァンヌは2月にオルセーを訪れたときに《希望》などの作品を見て、ちょっと最近興味を持っているので、すこしロダン、カリエールと線がつながりました。
     それにしても、ロダンの《アンリ・ロシュフォールの胸像》(1884)には、どうやって喉のあたりの1点で頭部全体を支えているのかと、感心。まあロダンの彫刻には、このあともバランスの取り方が信じられないような作品がいくつかありました。

    Ⅳ. ロダンとカリエールにおける象徴主義
     この展覧会のメインパートです。まず初めに紹介されるロダンの《最後の幻影》(ロダン美術館蔵)(1902年?)は、白い大理石の表面に二人の顔が浮かび上がり、カリエールの絵画との結びつきがもっとも明確に表れる作品。なるほど。
     そのあとに展示されていた、ロダン《アサンブラージュ:洗礼者ヨハネの切られた頭部と右手》(1902)は、同時代のモローがサロメの内面に興味を持ったのに対して、オーソドックスに、宗教的にヨハネをこの主題を捉えています。
     カリエール《母性》(シャルルヴィル・メジエール市立美術館蔵)(1892)。姉は背伸びをして母に頬擦りをしています。幼い妹は母に抱かれながらも、足を伸ばし、姉の動作を見つめているのでしょうか、眠っているのでしょうか。画面右手奥にはもう一人消えそうな少女が描かれています。カリエールは、1885年ごろから茶色を中心とした落ち着いた色調で全体を構成し、輪郭線を消した浮遊するような特異な表現に作風を変化させていきます。この作品でも、朦朧とした世界が母性の暖かさを表わしているともに、はかなさも暗示しているのでしょう。
     カリエール《母の接吻》(ポー美術館蔵)(1898)も、印象的な作品。少女の母に接吻をせがむような様子は、母に守ってほしい少女の心情が表れていて、涙しそうです。
     ロダン《フギット・アモール》が2作品。1つは、1895年以前(静岡県立美術館蔵)。もう1点は1915-1917年の作品。「考える人」と同様に「地獄の門」に使われているパーツ。アクロバティックな造形。静岡県立美術館のHPに解説あるが、「フギット・アモールとは、ラテン語で「逃れ去る愛」を意味する。決して正面から向かい合うことのない一対の男女の主題は、ダンテの『神曲・地獄篇』に謳われた、不貞の罪で地獄に落とされた「パオロとフランチェスカ」に密接に関連している。」とのこと。解説を書いておいてほしかったです。
     Takさんがコメントされているように、カリエールの描いている世界と、ロダンの描いている世界は、母性と女性(アモール)と両極端ですから、両芸術家の性格の違いが感じられます。

    Ⅴ. ロダンとカリエールを結ぶ糸
     ロダンの作品がまず並びます。《考える人》《地獄の門の「マケット」(第三構想)》《「瞑想」と呼ばれる「内なる声」》など。
     そして、カリエールは、《もの思いにふける若い娘》《道行く人々》《一人の女性》の祭壇画がように展示されています。ジュネーブで開催された1896年のシャヴァンヌ、ロダン、カリエールの三人展に出品された作品。《道行く人々》に対して、ピカソが素描を残している。
     ここで、シャヴァンヌ、ロダン、カリエールとさらにピカソが一線に並びます。色彩ではなく、デッサンを重視した作家たちです。内面を描こうとすれば、必然的に色彩は抑えざるを得ないのですね。

    文学などに素養のない私には、もうすこし解説をしてもらえるとありがたかったですが、それでも自分なりにゆっくりと作品と対峙出来た、素晴らしい展覧会でした。

    コメント (1)
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