コラム(22): 第三者委員会は責任回避の隠れ蓑
第三者委員会の信頼性
企業や組織に重大な問題が生じた際、自分たちで検証せず第三者委員会【※1】に依頼するケースが多くなっています。
【※1】利害をもつ当事者とは関係の無い第三者による委員会。不祥事などの問題が発覚した場合に、疑惑告発者と疑惑対象者の双方に関係の無い第三者が、疑惑調査などを担うこと。
先日も組織的な利益の水増しが明らかになった東芝も第三者委員会の報告により、現社長をはじめ歴代経営陣が退任しました。この報告に対し各方面から「利益水増しの経緯を語っていない」「トップと監査法人への追及が甘い」などの指摘が出ています。
第三者委員会に検証させると客観的に事実が把握されるかに見えますが、実際は検証される側に都合のいい報告書になりがちです。その理由は、依頼する側が人選しているところに問題があると思います。
朝日新聞による捏造記事問題
その典型が朝日新聞の慰安婦捏造問題です。この時の第三者委員会はメンバーの人選に偏りがあり、正論を述べる人が少数意見となって検証の意味をなさず【※2】、第三者委員会の結論がその後の改善に何の役にも立ちませんでした【※3】。
【※2】委員の一人である外交評論家の岡本行夫氏は、「(朝日新聞は社の)方向性に沿うように『角度』がつけられて報道する」と事例を挙げた上で「新聞社に不偏不党になれと説くつもりはない。しかし、根拠薄弱な記事や、『火のないところに煙を立てる』行為は許されまい」と指摘した。
【※3】朝日新聞が慰安婦報道の内容を長年検証しなかったため、知る権利を侵害されたとして、損害賠償を求めた訴訟が起された。第1回口頭弁論で朝日新聞社は「記事が正確でなければ、読者や全国民に賠償責任を負うとの主張は不適切だ」として「紙面で明らかにする法的義務ははない」と主張した。
第三者委員会を設置した朝日新聞が報告を真摯に受け止めているなら、「角度をつけた報道」は是正されなければなりません。しかし、その後も朝日新聞の偏向報道は続いているわけですから、第三者委員会の指摘は何の意味も無かったことになります。
結局、自分たちで検証せず、他人まかせにして責任逃れをしただけなのです。
沖縄の第三者委員会
地方自治体レベルとなると第三者委員会として任命した側の恣意的意見がそのまま採用されることになり客観性は全くなくなります。沖縄の辺野古埋め立て問題をめぐる第三者委員会は、任命された当初から結論が決まっていました。
翁長知事は「法律的な瑕疵(かし)の有無と埋め立て承認基準の適合に関する判断を検証するため、法律の専門家と環境分野の学識経験者を委員とした」として6名を人選しましたが、そのメンバーの中には自分の顧問弁護士も入っていたのです【※4】。
【※4】沖縄県民の声(狼魔人日記さんのサイトから):「公正・中立の立場」を自らが強調しなければならない「第三者」とは何だろう。顧問弁護士が第三者とは恐れ入った。
報告書では、国の埋め立て承認申請や県の承認手続きに法的瑕疵があったと結論付けました。あたかも客観的に判断したかのように演出しただけだったのです。
第三者委員会は隠れ蓑
このように第三者委員会は、問題を起こした組織が記者会見の席で、謝罪や詳細説明をせず、責任追及をされないために利用されます。根底には責任逃れの卑怯な気持ちがあるのです。
過ちや問題の本質を一番よく知っているのは自分たち自身のはずです。それをしっかり検証し、反省することが組織としての責務です。
自分に検証能力が無いのであれば、潔くお引き取り願いたいものだと思います。
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