赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

中国の政治の真相――中国幻想(2) コラム(106)

2015-12-26 00:00:00 | 政治見解



コラム(106):
中国の政治の真相――中国幻想(2)



中国共産党内の暗闘

中国の政治は個人の利益の奪い合いが基本で、国家や国民のためではないと言っても過言ではありません。共産党幹部が発する「中国のため」という言葉が空疎に聞こえるのはそのためです。

中国は共産主義体制ですが、平等な社会をめざすどころか、共産党幹部による富の独占はすさまじい格差社会を生み出しています。最近は、中国経済の減退で奪い合いは一層激しさを増しています。また、同じ派閥内でさえも分かち合う気持ちは無く、ひとり占めをしようとします。時折、収賄事件で摘発され処罰されることがありますが、これは政治の浄化が目的ではなく、自分たちが取ろうとした利益を、他の者が奪ったことに対する腹いせにすぎません。

最近、中国の政治の方向が見えにくいのは、この暗闘が原因で、国内政治が脇に追いやられているからです。


軍部も私欲に走る

中国政府は、軍部を中国共産党中央軍事委員会の下に置いて、さらに軍区に分けて管理し、反乱を防ごうとしています。軍事委員会委員長でもある習氏は軍部の贈収賄を摘発せず優遇しています。日本の評論家の多くは習氏が軍を完全に掌握したと推定しているのですが、実際には軍部の半分も掌握できていないのが現実です。習氏が軍部を摘発をしようものなら、反乱が起きる可能性が大きいからです。

軍部では腐敗が横行し、軍事予算の65%が不正使用され、そのうちの15%が私腹を肥やすのに使われ、40%がシャドーバンクなどの投資に流用されています。


PM2.5や大事故対策よりも経済活動優先

北京市では重度の大気汚染に見舞われ、周辺の天津市、河北、河南、山東、山西4省などにも汚染が広がっています。製造業を中心とした経済活動が公害を生む原因になっていますが、経済破綻を恐れ経済活動を優先的に進めています。また、天津や深圳の大事故の後の防止策などは全くなされていません。こうした中国政府の対応に、多くの中国市民は文化の遅れを感じずにいられないのです。


人権弾圧


一方、異民族や人権派に対する弾圧は凄まじいものがあります。自分たちの政権が転覆される恐れがあるからです。最近の重大事故に対する国民の怒りと連動すると、天安門事件のようことが起きかねません。さらに軍部がこれを支援すると中国ではいっきに内乱が生じます。

したがって、異民族や人権派への弾圧は激しく、この10年で220万人の人が検挙され、現在でも50万人近くが拘束されています。国際世論を意識して文化人や有名人を釈放することがありますが、通常は処刑されるか、役人に賄賂を渡して釈放されるようです。

処刑された数は今年だけで15万人、この10年で80万人に上ると見られますが、近年、弾圧の度合いはますます高まっており、極めて危惧される状況が続いています。


このような中国の真実に世界のマスコミはしっかりと目を向け、正確に伝えていくべきだと思います。



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