赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

Ⅲ.中東情勢の変化(2023年の国際情勢予測):230104情報

2023-01-04 00:00:00 | 政治見解



Ⅲ.中東情勢の変化(2023年の国際情勢予測):230104情報

『Ⅱ.ウクライナ戦争の行方』のつづき)

ウクライナ情勢と連動している中東の動向について、専門の方に予測をしていただきました、

付随的に申し上げると、昨年の後半に中国とサウジアラビアが、残念なことに戦略パートナーシップ協定を結んでしまった。そうすると、サウジアラビアは石油を人民元建てで、全部ではないにしても、人民元建てで部分的に中国に売ります。中国としては非常に楽になります。

中国としてはロシアからも安い原油天然ガスを輸入することができるし、サウジからも買うことができる。しかも、それは人民元建てで部分的には買える。自分の国ではっきり言って輪転機を刷れば油が手に入ります。今までアメリカにしかなかった特権です。

ですから、これは習近平政権のサバイバルにとっては非常に有利な条件でもあります。

ここで中露は一体化してくる。そしてロシアとイランは軍事的な協力もしている。しかし、中国とサウジアラビアは仲良くなりましたが、ここで大きな矛盾が生じてきます。それはイランとサウジアラビアというのは決定的に仲が悪いわけです。そこのところの問題です。

トランプさんはイランを敵として、やっぱりあくまでサウジアラビアをアメリカの同盟国としてしっかりとこの同盟関係を再構築していくんだということで、中東外交がうまくいった。トランプはサウジアラビアと、まず第1にイスラエル、そして第2にサウジアラビアをがっちりアメリカに引きつける。そしてイラン敵視政策をやるということによって、非常に中東外交が安定しました。アラブの4つの国がイスラエルを承認する、外交的に承認するというところまでいったわけです。

もう第2期このトランプ政権が生まれていれば、恐らくサウジアラビアも私はイスラエルを国家承認したと思います。そこら辺まで日程が上がっていたぐらい対アラブ外交もうまくいっていた。だから、イランを悪役にしながら、中東情勢はアメリカ外交の側から見れば、西側の外交から見ても非常に安定していた。

その真逆をやっているのがバイデン政権です。バイデンはサウジアラビアを敵視している。なぜ敵視しているのか。それはバイデンが嫌いな二酸化炭素を一番出す国だからです。

サウジアラビアは世界最大の石油生産国ですから、これを燃やせば全部二酸化炭素が出る。そして原油、天然ガスなんてものが要らない社会に早く移行するんだと言っていますから、サウジアラビアからすれば、自分の国の富の源泉を全部否定されているわけです。

そして、ムハンマドという皇太子が、カシオギというサウジアラビアの反体制的なジャーナリスト暗殺の犯人だと決めつけることによって、サウジアラビアとバイデン政権の外交関係は徹底的に悪化していきました。ですから、石油の値段が上がっちゃって困りますよと言って、バイデンさんがサウジアラビアに泣きついて増産してくださいと言っても、そういう話は聞いておこうという程度で、はっきり断らなかった。アメリカの完全に期待を裏切られたわけです。

それはそうですね。ここまで敵視されれば、反石油外交をやって、お前の国の皇太子、一番の実力者は殺人者だとまで言っていたわけですから、嫌われるのが当たり前ですね。そういう愚かな外交をバイデン政権がやったために、アメリカの中東外交はガタガタになってしまいました。

しかし、中露の側が一方的にポイントを得ているかというと、必ずしもそうではなくて、中露の側がポイントを得ているんですけども、イランとサウジアラビアは仲悪いわけです。これは不倶戴天の敵です。トランプさんはイランを悪者にすることによって、実際現政権は悪者なんですけども、サウジアラビアをがっちりこちら側に抱き込んだということです。

そうすると、この中露としてはイランとサウジの関係をどう調停していくんだという非常に頭の痛い問題を抱え込んだことになります。

ただ、中国とサウジアラビアの戦略的な提携関係で、一番頭が痛いのは我々にとって、恐らく中国がサウジアラビアの核武装に陰で協力するであろうということです。

イランは核武装に向けて着々と準備を進めています。そして、ロシアのバックアップもあるということ。そうすると、今度はサウジアラビアもイランに対抗して何とか核兵器を持ちたいということですから、今度は中国がそれを応援することになってきます。中東で非常に危険な核のゲームがもう既に始まってしまっています。

ここら辺が中東情勢を見る、重要な視座であるということです。



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