赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

②トランプ大統領就任演説——政策重視の就任演説は異例

2025-02-02 00:00:00 | 政治見解
②トランプ大統領就任演説
——政策重視の就任演説は異例



昨日に引き続き、トランプ大統領の就任演説の内容について、国際政治学者の解説を、許可を得てお伝えします。


トランプの就任式は議会の中でやりました。議会の中の円形ホールがあるのです。私も見学で行ったときにそこを見ましたが、アメリカの議会中央に塔があるのですが、その真下に円形のホールがあります。



そこまで人数が入れるような大きなところではありません。1985年にレーガンが第2期目の就任式をそこでやっているのですが、史上2回目の円形ホールにおける就任式でした。あそこに入ったとしても、詰め込んで数百人という感じだったのではないでしょうか。

私もライブ中継で見ていましたが、そのあとにトランプは下の階でトランプ支持者だけが集まっているところへ行って、また演説をやっています。

その後、2万人収容できる大アリーナにMAGA運動【※1】をやっている熱狂者たちが集まっていたのですが、そこに行っても演説していました。その2万人集めたアリーナでも何本か大統領令にサインして、サインをした万年筆を来ている聴衆にプレゼントして、そういうパフォーマンスもやっていたのです。これはサインを見せるという大変いいパフォーマンスだったと思います。

【※1】MAGA運動:Make America Great Again(アメリカ合衆国を再び偉大な国にする)は、アメリカの政治において用いられる選挙スローガン。1980年の大統領選挙においてロナルド・レーガンが使用したのが最初で、近年では、2016年の大統領選挙と2020年の大統領選挙、および2024年の大統領選挙においてドナルド・トランプが使用した。近年は単なる選挙スローガンを越え、広くトランプを支持する勢力や人々を「MAGA」と呼ぶことがある。

大統領就任式は公式のものですから、トランプが「こういう政策をやる」と言ったら、嫌な顔をして聞いている民主党の政治家もいるわけです。

一番はバイデン前大統領であり、ハリス前副大統領でしょう。まさに苦虫を噛み潰したような顔をしていましたが、直前の大統領ですから近くで座っていました。それと、クリントン元大統領、オバマ元大統領とブッシュJr.も来ていたのです。ブッシュJr.も共和党だけど、トランプとはだいぶ考え方が違うので、あまり面白くなかったのではないかと思います。

私の気付いたところで、ビル・クリントンの素行がおかしかったのです。彼もトランプの近いところに座っていたので、トランプを撮っているカメラにはビルクリントンも視野に入るような形で映っていました。そのビルクリントンが口を開けている時間が多かった気がします。だから、呆け始めているのかもしれません。

また、座っている席付近をキョロキョロと見回していたので、呆け症状が出ているのではないでしょうか。当日のバイデンは就任式の途中で前大統領に変わったわけですが、彼は変な素行で徘徊することなく一応ちゃんと座っていたので、お薬が効いていたのかなという感じです。

まだ呆けていないオバマがやったことやバイデンが政権時代にやったことを全て覆すようなことを言ったので、彼らは内心腑煮えくり返るような気持ちで見ていたのでしょう。

トランプはそれを承知で堂々と、そういうことを言いました。そして、支持者だけが集まっている就任式のあとの会場が、ちょうどその下の階だったと思いますが、そこへ行ったときは「これでも今日は抑えて演説した」と言っていましたが、奥さんや副大統領からは「もう少し柔らかく話してください」と言われていました。だいぶ抑えて、あの程度であるということをトランプは冗談めかして言っていたのです。


矢継ぎ早の大統領令ということですが、ホワイトハウスのホームページで私が確認したところは46本まで確認できました。初日に100本やっても足りないから200本出すと言っていたので、本当はもっとやったのでしょう。100本は完全にやったのではないかと思いますが、ホワイトハウスのホームページを見ますと、どういう大統領令が出たのかという一覧表が出ています。私が確かめられたのは、リサーチしている時間ギリギリのところまでで46本確認しました。

その中でも代表的なこととして、2020年の大統領選挙のときにハンター・バイデンのラップトップパソコンが出てきて、彼の悪事が露呈しましたが「あれはロシアの工作である」と言った51人の元諜報機関の幹部並びにトップたちがいました。この51人に関して、セキュリティクリアランスを全部凍結したそうです。

今後重要な情報は見られないようにしたということは、当然の対応でしょう。このうちの何人かは起訴しないといけないような人たちです。

それから痛快なことですが、パリ協定を離脱しました。これは大事なところです。それとWHO(世界保健機構)も離脱します。WHOも武漢コロナのときに酷かったのですが、まさにチャイナの子分のようなことをやっていました。

それと面白かったのは、TikTokが事業継続になる可能性があることです。1月19日にアメリカの企業に売っていなければTikTokの利用禁止となるはずだったのですが、TikTok事業継続に75日間猶予を与えると言いました。要するに、この75日の間にアメリカの企業が株の半分を買えば、今後とも利用できるようになります。

TikTokはトランプも相当利用していたのです。TikTokを禁止にするとFacebookの独占場になってしまうので、良くないと思うバランス感覚もありました。TikTokの親会社がチャイナで危ないということはトランプ政権自身が警告したことです。

だけどプラスマイナス両方あるということで、これはチャイナとの様々な交渉材料となることも考えて、あえてこういうことをしたのではないかと思います。大統領選挙のときも上手くトランプはTikTokを使っていました。これは習近平の方から見ても、この話を取引材料に使おうとしているのではないでしょうか。

元々チャイナの企業ですから「トランプをBANして出させるな」と言ったらTikTokが利用できなくなってしまいます。しかし、TikTokはBANしなかったわけですから、これは今後の米中の軍事・経済両方でタフなネゴシエーションが始まりますけど、そのときの交渉材料にしようと両方で思っているのかもしれません。それで、こういうことをやったのではないかなと思います。

トランプ政権は1期目からかなり発動されているということもあるのですが、チャイナに対する高関税は2期目の初日で発動しませんでした。

メキシコとカナダに関して2月1日から25%の関税を発動する可能性を示唆しています。チャイナから既に関税で何億ドルもの収入があると言っていました。初日に出さなかったというところは面白いことです。

以前、申し上げたフェンタニル問題で進展があります。フェンタニルの原材料輸出をチャイナが抑え始めたのではないかという情報がありました。それが本当なら、この辺りを上手く協力させるということで、すぐに居丈高な態度は取らないでしょう。これも交渉材料にしていこうということなのではないかと思います。

それから非常に大事なことですが「2021年1月6日事件」で無実の人たちが牢屋に入れられています。その無実の1500人を恩赦するという大統領令にサインしましいた。その他いろいろ私の確かめたところで46本ということですが、おそらく100本は約束通りトランプはサインしたと思います。いろいろなニュースソースを見ても、何本の大統領にサインしたのかというのは、残念ながら確かめることはできませんでした。

特に2万人集まったビッグアリーナの大集会は、すごい盛り上がりでMAGA支持者は熱狂していました。ようやく「これでアメリカは自由な国に戻った。元のまともな国に戻った。常識の通じるアメリカに戻った」という安堵感と喜びが爆発したような会場だったと思います。



短いですがイーロン・マスクの演説が非常に印象的でした。彼は子供のように、はしゃいでいた印象です。戦いに勝つというのはこういうことだと言って、すごく嬉しそうでした。これで秘密警察政治と言いますか、ゲシュタポ政治から解放されるということです。

これは私も同感なのですが、まさに近代文明であり彼らから言えば「西洋文明(Western Civilization)を今度の選挙は守った」と言っていました。私もその通りだと思います。そして、マスクは「皆さん、これからアメリカの星条旗を火星に立てるのです」と言って非常に興奮していた印象です。それと誰にでも夢と希望を与えるようなことをやらないといけないということを強調していました。彼の演説も非常に演説だったと思います。

続く


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