赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

社会運動の限界 コラム(452)

2022-08-17 13:25:51 | 政治見解


コラム(452):社会運動の限界


何らかの社会問題を前にして、その解決を目指す複数の人々が集合的におこなう行為を社会運動と呼びます。ただ、社会運動と一口に言っても、その内容は様々で、かつては労働運動や社会主義運動が社会運動の典型でしたが、現在では 環境運動、女性 やマイノリティの運動、地域問題の解決を目指す住民運動、消費者運動など、様々な価値観のもとに社会運動も多様化しています。

世界中を見渡せばそれらの社会運動も盛り上がりを見せているようですが、わが国に目を転ずればさほどの広がりは見えてきません。これには、高齢化社会だからとか若者が立ち上がらないからだとかの様々な意見があるようですが、本当のところは、わが国における社会運動の主体が、自分の利益のために、すなわち、職業として社会運動から利益を得るために活動しているところに原因があると思います。

この精神性の卑しさが民衆の共感を得ることができず、社会を動かす一大ムーブメントにならないのはない原因だと思います。


韓国の慰安婦問題から見えること

このことを端的に理解させてくれるのが、お隣の韓国の慰安婦問題です。これを見ていると社会運動の基本が「利益」にあることを教えてくれるものであり、それが日本にも大きな影響を与えているのがわかります。

2015年12月28日、当時のバイデン米副大統領の仲介のもとに、「最終的かつ不可逆的な解決」の確認のもとに日韓の合意がなされました。それでも、韓国政府は日韓合意が法的拘束力のない政治的合意であるとして、ソウル日本国大使館前の慰安婦像の移設は行われず、その後も世界各地に慰安婦像の設置を黙認しています。そして2018年には、日本政府の資金拠出により設立された「和解・癒し財団」の解散を一方的に表明しました。

これに深くかかわったのが後に韓国の国会議員になる尹美香(ユン・ミヒャン)氏で正義記憶連帯(正議連)を動員して反日活動を展開していました。しかし、財団の寄付金を私的流用したことが明らかとなり、逮捕されるに至っています。要は、慰安婦を口実に金儲けをするための社会運動をしていただけだったわけです。また、尹氏が集めた慰安婦は実のところ米軍相手の慰安婦だったのを日本軍慰安婦に仕立てたようでもあります。

現在、韓国世論が慰安婦問題についてはどのような見解であるかはわかりませんが、正議連は未だに慰安婦問題を取り上げ日本大使館前で抗議活動をしています。この意味するところ、慰安婦問題は日韓の政治問題ではなく、職業として、ここから飯の材料として、これ以外に収入を得るものがないから続けているといえます。金のなる木は手放さない、これが、今日の社会運動の基本だということをしっかりと教えてくれています。


日本の社会運動も主催者にはカネのなる木

翻って、日本の社会運動を見ても事情は全く変わりません。現在、メディアは熱心に統一教会問題、とりわけ統一教会と自民党国会議員の関係性を暴こうと必死です。この問題、私は、内閣改造とお盆で終わりかと思っていたのですが、いまだ継続し、一段とエスカレートさせようとしています。

メディアは愚かですから目の前の出来事に条件反射的に飛びつきますが、この問題、メディアが飛びつくようにたきつけた勢力が存在することは理解しておかなければなりません。

彼らの目的は、政権交代などは当面は無理と諦めていて、最も憎き存在である安倍元総理の名誉を地に貶めることが利益なのです。考えてもご覧なさい、安倍元総理が構築した「日本を守る」というシステムがいかに軍事的に攻めにくくなり、また内政的にもサイレント・インベージョン を遠ざけたかを。

これまで、彼らは、朝日新聞を使ってモリ・カケ・サクラで仕掛けてきましたが安倍元総理を追い詰めることはできませんでした。しかも、国葬になったらさらに爆発的な人気となることは誰にもわかります。

そうさせないために、現在、統一教会問題にからめて安倍叩き、自民党叩きを強めていますが、これは安倍叩きの首謀者にとって利益(金銭授受が約束される)です。しかも彼らは表にでず、プロ活動家やメディアを巧妙に利用して扇動します。それだけメディアは彼らに完全に篭絡されていると言えます。


職業としての社会運動

また、彼らは「国葬反対」で暗躍しています。国葬で安倍元総理に対する共感性が上がるのを阻止したい意向がありありと見えます。

先日、安倍元首相の「国葬」に反対する市民団体が(最初から国民を名乗っていないところが受けますが)、「国葬」の差し止めを求める裁判を東京地裁に提訴しました。すぐに却下されたため抗告したもようですが、この市民団体の代表は藤田高景氏で社民党から何度も国政にチャレンジし、いまも「村山談話を継承し発展させる会」(略称・村山談話の会)の理事長です。いわば、反政府活動を職業にしているプロ活動家なのです。

藤田氏は、その思想的立場もわかりやすく、ロシアのウクライナ侵略問題も、中国の中央広播電視総台の取材に「西側、特に米国にこの衝突の責任がある」と述べています。昔、培ったマルキシズムが体に染みついていて離れないようです。

さらに、特筆すべきことは、日本の社会運動は旧ソ連時代からマルキシズムの悪影響を受け、現在では狡猾な中国と、怨念丸出しの半島出身者によって異様な思想性を醸しだしています。

ツイッターで偶然見かけた過激派集団中核派に所属する杉並区議の洞口朋子氏の写真には、ハングルがいっぱい並んでいる写真が掲載されました。「なんて書いてあるの?」という突っ込みが数多くありましたが、中核派に限らず、日本における過激派には半島出身者が多く存在するのではないか、やくざと同様に職業として選択したのではないかと思います。そういえば、沖縄の反基地闘争にもハングルをよく見かけています。


マルクス崩れの社会運動家の終焉

かつての日本では、マルクス主義を信奉する人をわりと格好がいいとみなしている時期がありました。職業としてメディアなどに従事して、粋がって反体制を標榜していましたが、ソ連の崩壊で行き場を失いました。中国に乗り換えた人もおりましたが、日本国民の反中意識が高まるにつれ彼らのマーケットは縮小し、飯が食えない状況になっています。

したがって、彼らが、みんながみんな、統一教会の問題を取り扱っても、安倍元総理の問題を扱って批判しても、彼らを支持する読者も動画視聴者も限られており、その上、無料の民放で映像を流されれば飯の食い上げになります。他者と差別化できる人しか生き残れなくなります。

一部には、マルクス主義に見切りをつけて、環境問題、ジェンダー問題、マイノリティ問題などの取り組む動きがみられますが、所詮その発想はマルクス主義です。

例えば、環境問題は、労働運動における「資本家階級」を「人間」に置き換え、「労働者階級」を「自然(地球)」に置き換えただけで、基本の対立構図は一緒です。気候変動をネタに人びとを脅せば金を儲けできるとふんでいるだけで、環境対策で利益を独占する世界の政治的指導者、提案者と利益の独占という点で一致します。

かつて、イスラム研究者の飯山あかり氏が「SDGs 言うやつみんなカネ目当て」という川柳を読んで大受けして以来、なぜか日本ではSDGsという言葉が使われなくなりました。

朝日新聞などは地団駄踏んでいることだとは思いますが、自分の利益目的、金目的で社会運動、政治運動を起こそうとしても、その胡散臭さが顔に出ている以上、普通の日本人は騙されなくなりました。騙されるのは、社会運動や政治運動に便乗して自分も金儲けしようと思う人間だけです。

おそらく、これからの時代、マルキスト崩れのジャーナリスト、環境運動家、ジェンダーフリー論者、マイノリティ問題などを扱う人の中で、生活のための手段にしている、金目当ての社会運動家、あるいは政治運動家は人びとの共感を得られず、衰退の道をたどらざるをえないでしょう。しかし、急いで転向しようとしても、長年にわたって薫習【※1】された体質は残念ながら変えることはできません。


【※1】薫習(くんじゅう):仏教用語。香が物にその香りを移して、いつまでも残るように、みずからの行為が、心に習慣となって残ること。




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