★湯木美術館 サイト
秋季展『松平不昧没後200年 不昧の茶道具と近代数寄者 ―その書とデザイン―』
※9月1日(土)~12月9日(日) 後期)10月24日(水)~12月9日(日)
後期も行った。(これで、今年の訪問は4回。年会費の元は会報を送ってもらう特典こみでトントンって感じ~)
掛け物と木製の類が展示替えになってましたね。
(湿気を嫌うものは保存を配慮して、展示期間は長くしないと以前に伺ったことアリ)
で、今回よかったもの。
ケース2の「待合掛板」 不昧公筆。
杉板に待合における3カ条を記した案内板。
「案内があったら、露地からどうぞ」「再び鐘を鳴らしたら、また入ってね」など内容はごくフツー。(現代と同じ)
箱書きで見かける、あの書体だったので、「へぇ~」と思った。たぶん、直筆なのでしょう。
片輪車蒔絵香合は出雲松平家伝来だけど、トーハクにある本歌の写し。
ケース6の掛け物は今回、3つともよかった。
書状「銭たらずの文」。
茶入「広沢」の買い取りを打診されたけど、今年は銭の工面がつかないからやめておく~という内容。
最後の和歌がおもしろい「広沢の月の詠めも金なくて たにやミ くものかいものそす」(正月13日)
これも直筆なのだろうなぁ。
お殿様なのに、非常に金銭感覚が細かくて感心した。
(今年のお金の使い途まで書いて、「だから、そちらに回せない」という事情も暴露)
不昧公って、財政難の中で出雲松平家を継いで、借金とかきれいにして黒字に転じて、さらに茶道具を買い漁った方だからねぇ。
これくらいお金にきっちりしておかないと、そういうことは出来なかったのでしょう。
ちなみに、生涯で茶会300会以上、茶道具には11万両を投じて800点購入したんだって~
結局、茶入「広沢」は姫路の酒井宗雅が購入するんだよねぇ。
今は北村美術館所蔵。好きだな。あの茶入。
そして、酒井宗雅に送った書状「井筒の文」。
宗雅から「井戸を作った」と手紙が来たようで、「じゃあ、こんど見に行くね」という返信。
だけど、井戸の前の石の置き方とか釣瓶の拵えとか図説げ細かく教示しているのが、さすが茶の師匠。
3つめは「しるこの文」。
お茶を一服どうぞ~のお誘いの文なんだけど、「お菓子は例のしるこをつけますヨ」とおしるこで釣ろう?としているのがおもしろい。
いずれも初めて拝見するものではないけれど、やっぱり何度もみても嬉しくなってしまう掛け物。
そして、左端は「入佐山画賛」 不昧公筆
お山に月がかかった絵を描き、わきに和歌を一首「山をいて うきよをめくり また山に いるさの月をミのたくひなる 沢庵」
沢庵和尚が但馬で詠んだそうな。
(参勤交代の途中で但馬を通った時にでも描いたのかしら)
ケース7
利休のケラ判がある黒大棗がよかった。お仕服は太子間道。
あと、酒井抱一が下絵を描いた朱盃。ここではよく見かけるけど、やっぱいい。
ケース9(茶室)
ん? 置き方が上下逆?
と思ったら、茶室の構造に合わせて、亭主が客に出した場所を意識しての展示。
なので、見学者は亭主畳の勝手口から見ているわけだから、折敷の手前に煮物あり。
折敷は遠州好みの溜め塗縁高。鈴木表朔朔。飯椀汁椀は二代喜三郎作。
煮物椀は片輪車蒔絵 佐野長寛作。
えかったです。
今回は掛け物がよかったので、後期も訪れてよかった。
やはり、不昧公の書いたものからは人柄がうかがい知れて、いい。
これらを見ることが出来ただけでも、神戸からわざわざ大阪に出てきた価値があった。
今回は日曜日の10時過ぎに訪れたけど、やっぱり何組が訪れていた。
最近、貸し切り状態になること、少ないなぁ。
来年は夏場も訪れたい。
★湯木美術館バックナンバーリスト
2018年10月 秋季展『松平不昧没後200年 不昧の茶道具と近代数寄者 ―その書とデザイン―』(前期)
2018年5月 開館30周年展『湯木コレクション選 その2 古筆と茶陶/吉兆庵 大師会の茶道具』
2018年1月 早春展『千家に受け継がれる美の形』
2017年9月 開館30周年記念『古筆と茶陶 名品をすべてご覧いただきます=その1= 湯木コレクション選-吉兆庵光悦会の茶道具-』
2017年5月 春季展『ひと目でわかる京焼300年の歴史 江戸時代のやきもの―仁清・乾山窯と後期京焼の食器を中心に―』
2017年2月 早春展『わび茶のすがた 江戸時代後期の千家と大名の茶道具』
2016年11月 秋季展『茶道具と和歌 -ものがたりをまとった道具たち-』(後期)
2016年10月 秋季展『茶道具と和歌 -ものがたりをまとった道具たち-』(中期)
2016年7月 夏季展『茶人のたしなみ 茶事へのいざない―夏の茶道具―』
2016年6月 春季特別企画展『茶陶いっき見‼ やきもの百花繚乱 ―宗旦・宗和・遠州とその時代―』
2016年2月 春季展『おしゃれな名品たち―茶道具の文様・めでたいデザイン―』
2015年11月 秋季特別展『禅僧と茶道具―大徳寺を中心に―』(後期)
2015年10月 秋季特別展『禅僧と茶道具―大徳寺を中心に―』(前期)
2015年6月 夏季展『小さな茶道具の豊かなデザイン―香合・羽箒・炭斗をみてみよう―』
2015年4月 春季特別展『茶道具の創出(クリエイト)・再生(ルネサンス)・世界化(グローバル)-逸翁と吉兆庵のコレクションから-』
2015年3月 春季展『楽歴代と千家歴代の茶道具-利休のデザインと展開-』(後期)
2015年2月 春季展『楽歴代と千家歴代の茶道具-利休のデザインと展開-』(前期)
2014年11月 秋季特別展『大名家の茶道具コレクション-遠州と不昧の蔵帳から-』後期
2014年9月 秋季特別展『大名家の茶道具コレクション-遠州と不昧の蔵帳から-』前期
2014年7月 夏季展「酒井抱一の短冊で一年と楽しむ -待合掛と茶会の道具たち-」(短冊の方)
2014月7月『酒井抱一の短冊で一年と楽しむ -待合掛と茶会の道具たち-』(茶会の道具)
2014年6月『海を渡ってきた茶道具-名物記・茶会記に現れた唐物・南蛮・高麗-』
2014年2月『激動期の茶の湯』(前期)
2013年12月『湯木貞一の眼差し 茶の湯と料理の器』後期
2013年9月『湯木貞一の眼差し 茶の湯と料理の器』前期
2013年7月『吉兆庵湯木貞一の茶事-五月雨の茶事・朝茶-』
2013年6月『茶の湯の漆器―利休と不昧のデザイン―』2期
2013年4月「茶の湯の漆器―利休と不昧のデザイン―」1期
2013年1月「江戸時代の千家のわび茶 宗旦の高弟とその子孫たち」
2012年10月「関西数寄者の茶道具」(前期)
2012年5月「名物記に載せられた茶碗と名碗たち -高麗・樂・国焼を中心に-」2期
2012年3月「名物記に載せられた茶碗と名碗たち -高麗・樂・国焼を中心に-」1期
2012.2月「千家名物とその周辺-利休・少庵・宗旦の茶道具
2011.12月 秋季展「茶道具の琳派」
2011.8月 夏季展「夏の祭釜と茶道具」
2011.6月 「日本<茶>料理の開拓者 吉兆庵湯木貞一生誕110周年記念展」三期「湯木貞一の茶道具 - コレクションから」
2011.5月 「日本<茶>料理の開拓者 吉兆庵湯木貞一生誕110周年記念展」二期:「数寄者との交流 - 小林逸翁・松永耳庵・松下幸之助」
2010.9月 『上方豪商の茶』
2010年5月 『釜と水指』
2010年3月 『茶の裂地』
2009年11月 『棗と茶杓』
2009年5月 『千家十職-茶道具と懐石の器』
2008年10月 『茶道具と器にみる四季の花』
2008年3月 『茶碗を愉しむ』
2007年11月 『風流と美』
秋季展『松平不昧没後200年 不昧の茶道具と近代数寄者 ―その書とデザイン―』
※9月1日(土)~12月9日(日) 後期)10月24日(水)~12月9日(日)
後期も行った。(これで、今年の訪問は4回。年会費の元は会報を送ってもらう特典こみでトントンって感じ~)
掛け物と木製の類が展示替えになってましたね。
(湿気を嫌うものは保存を配慮して、展示期間は長くしないと以前に伺ったことアリ)
で、今回よかったもの。
ケース2の「待合掛板」 不昧公筆。
杉板に待合における3カ条を記した案内板。
「案内があったら、露地からどうぞ」「再び鐘を鳴らしたら、また入ってね」など内容はごくフツー。(現代と同じ)
箱書きで見かける、あの書体だったので、「へぇ~」と思った。たぶん、直筆なのでしょう。
片輪車蒔絵香合は出雲松平家伝来だけど、トーハクにある本歌の写し。
ケース6の掛け物は今回、3つともよかった。
書状「銭たらずの文」。
茶入「広沢」の買い取りを打診されたけど、今年は銭の工面がつかないからやめておく~という内容。
最後の和歌がおもしろい「広沢の月の詠めも金なくて たにやミ くものかいものそす」(正月13日)
これも直筆なのだろうなぁ。
お殿様なのに、非常に金銭感覚が細かくて感心した。
(今年のお金の使い途まで書いて、「だから、そちらに回せない」という事情も暴露)
不昧公って、財政難の中で出雲松平家を継いで、借金とかきれいにして黒字に転じて、さらに茶道具を買い漁った方だからねぇ。
これくらいお金にきっちりしておかないと、そういうことは出来なかったのでしょう。
ちなみに、生涯で茶会300会以上、茶道具には11万両を投じて800点購入したんだって~
結局、茶入「広沢」は姫路の酒井宗雅が購入するんだよねぇ。
今は北村美術館所蔵。好きだな。あの茶入。
そして、酒井宗雅に送った書状「井筒の文」。
宗雅から「井戸を作った」と手紙が来たようで、「じゃあ、こんど見に行くね」という返信。
だけど、井戸の前の石の置き方とか釣瓶の拵えとか図説げ細かく教示しているのが、さすが茶の師匠。
3つめは「しるこの文」。
お茶を一服どうぞ~のお誘いの文なんだけど、「お菓子は例のしるこをつけますヨ」とおしるこで釣ろう?としているのがおもしろい。
いずれも初めて拝見するものではないけれど、やっぱり何度もみても嬉しくなってしまう掛け物。
そして、左端は「入佐山画賛」 不昧公筆
お山に月がかかった絵を描き、わきに和歌を一首「山をいて うきよをめくり また山に いるさの月をミのたくひなる 沢庵」
沢庵和尚が但馬で詠んだそうな。
(参勤交代の途中で但馬を通った時にでも描いたのかしら)
ケース7
利休のケラ判がある黒大棗がよかった。お仕服は太子間道。
あと、酒井抱一が下絵を描いた朱盃。ここではよく見かけるけど、やっぱいい。
ケース9(茶室)
ん? 置き方が上下逆?
と思ったら、茶室の構造に合わせて、亭主が客に出した場所を意識しての展示。
なので、見学者は亭主畳の勝手口から見ているわけだから、折敷の手前に煮物あり。
折敷は遠州好みの溜め塗縁高。鈴木表朔朔。飯椀汁椀は二代喜三郎作。
煮物椀は片輪車蒔絵 佐野長寛作。
えかったです。
今回は掛け物がよかったので、後期も訪れてよかった。
やはり、不昧公の書いたものからは人柄がうかがい知れて、いい。
これらを見ることが出来ただけでも、神戸からわざわざ大阪に出てきた価値があった。
今回は日曜日の10時過ぎに訪れたけど、やっぱり何組が訪れていた。
最近、貸し切り状態になること、少ないなぁ。
来年は夏場も訪れたい。
★湯木美術館バックナンバーリスト
2018年10月 秋季展『松平不昧没後200年 不昧の茶道具と近代数寄者 ―その書とデザイン―』(前期)
2018年5月 開館30周年展『湯木コレクション選 その2 古筆と茶陶/吉兆庵 大師会の茶道具』
2018年1月 早春展『千家に受け継がれる美の形』
2017年9月 開館30周年記念『古筆と茶陶 名品をすべてご覧いただきます=その1= 湯木コレクション選-吉兆庵光悦会の茶道具-』
2017年5月 春季展『ひと目でわかる京焼300年の歴史 江戸時代のやきもの―仁清・乾山窯と後期京焼の食器を中心に―』
2017年2月 早春展『わび茶のすがた 江戸時代後期の千家と大名の茶道具』
2016年11月 秋季展『茶道具と和歌 -ものがたりをまとった道具たち-』(後期)
2016年10月 秋季展『茶道具と和歌 -ものがたりをまとった道具たち-』(中期)
2016年7月 夏季展『茶人のたしなみ 茶事へのいざない―夏の茶道具―』
2016年6月 春季特別企画展『茶陶いっき見‼ やきもの百花繚乱 ―宗旦・宗和・遠州とその時代―』
2016年2月 春季展『おしゃれな名品たち―茶道具の文様・めでたいデザイン―』
2015年11月 秋季特別展『禅僧と茶道具―大徳寺を中心に―』(後期)
2015年10月 秋季特別展『禅僧と茶道具―大徳寺を中心に―』(前期)
2015年6月 夏季展『小さな茶道具の豊かなデザイン―香合・羽箒・炭斗をみてみよう―』
2015年4月 春季特別展『茶道具の創出(クリエイト)・再生(ルネサンス)・世界化(グローバル)-逸翁と吉兆庵のコレクションから-』
2015年3月 春季展『楽歴代と千家歴代の茶道具-利休のデザインと展開-』(後期)
2015年2月 春季展『楽歴代と千家歴代の茶道具-利休のデザインと展開-』(前期)
2014年11月 秋季特別展『大名家の茶道具コレクション-遠州と不昧の蔵帳から-』後期
2014年9月 秋季特別展『大名家の茶道具コレクション-遠州と不昧の蔵帳から-』前期
2014年7月 夏季展「酒井抱一の短冊で一年と楽しむ -待合掛と茶会の道具たち-」(短冊の方)
2014月7月『酒井抱一の短冊で一年と楽しむ -待合掛と茶会の道具たち-』(茶会の道具)
2014年6月『海を渡ってきた茶道具-名物記・茶会記に現れた唐物・南蛮・高麗-』
2014年2月『激動期の茶の湯』(前期)
2013年12月『湯木貞一の眼差し 茶の湯と料理の器』後期
2013年9月『湯木貞一の眼差し 茶の湯と料理の器』前期
2013年7月『吉兆庵湯木貞一の茶事-五月雨の茶事・朝茶-』
2013年6月『茶の湯の漆器―利休と不昧のデザイン―』2期
2013年4月「茶の湯の漆器―利休と不昧のデザイン―」1期
2013年1月「江戸時代の千家のわび茶 宗旦の高弟とその子孫たち」
2012年10月「関西数寄者の茶道具」(前期)
2012年5月「名物記に載せられた茶碗と名碗たち -高麗・樂・国焼を中心に-」2期
2012年3月「名物記に載せられた茶碗と名碗たち -高麗・樂・国焼を中心に-」1期
2012.2月「千家名物とその周辺-利休・少庵・宗旦の茶道具
2011.12月 秋季展「茶道具の琳派」
2011.8月 夏季展「夏の祭釜と茶道具」
2011.6月 「日本<茶>料理の開拓者 吉兆庵湯木貞一生誕110周年記念展」三期「湯木貞一の茶道具 - コレクションから」
2011.5月 「日本<茶>料理の開拓者 吉兆庵湯木貞一生誕110周年記念展」二期:「数寄者との交流 - 小林逸翁・松永耳庵・松下幸之助」
2010.9月 『上方豪商の茶』
2010年5月 『釜と水指』
2010年3月 『茶の裂地』
2009年11月 『棗と茶杓』
2009年5月 『千家十職-茶道具と懐石の器』
2008年10月 『茶道具と器にみる四季の花』
2008年3月 『茶碗を愉しむ』
2007年11月 『風流と美』
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