狩江のお祭りと文化論

~愛媛県西予市明浜町狩江地区のお祭りや、四季折々の風景、暮らしを独自の観点からお伝えいたします~

御船練り 徹底研究④ 御船解体新書

2010-09-15 21:22:04 | お祭り
これまでの説明である程度の練りの歴史はお分かりになったと思います。

さて、次は豪華華麗、御船の本体に迫ってみました。
まずはそのきらびやかな装飾を、一般公開前にご紹介いたします。

写真は御船前部の船腹のあたりです。(三ノ間口、さんのまぐちといいます)
黒と朱の色で船体は統一されていますが、2代目御船では菱形の模様を取り入れ
より華やかさを出しています。初代はここにシュロの毛を張っていました。

御船練り 徹底研究③ 練りの変遷

2010-09-12 20:11:42 | お祭り
さて、門之脇区の御船が建造・奉献されたのが明治27年です。
船大工の宇都宮房太郎氏によってつくられました。それ以前は御船自体は存在して
いません。しかし隣の吉田町では、早くからこの御船はありました。約300年ほど
前の絵巻物にその姿が描かれています。それは前回にも紹介したように
殿様の許可がないと、御船は建造できなかったようです。
 現在の御船の練りが、御船・三味線・踊り子などの様式で行われるようになったのは
この明治27年以降となります。
しかし、慶応2年に新調された裃・袴があることから、江戸の時代においても
なにがしかの様式で練りが行われていたと考えられます。ただその文献が今
残っていないので、黎明期における練り様式は想像の域を出ません。
貴重なのは写真の裃・袴が保存よく残っていることで、初代御船よりも30年ちかく
古いものです。

いずれにしても地域によってその練りは独特の文化を開き、ここの練りの特徴は
巡航の際にその専用の三味の曲があること、台船に御船を乗せ、そこで歌舞を披露
することです。時代によりそれは変遷してゆきますが、できるだけその特徴は
後世に残してゆきたいものです。

御船練り 徹底研究② ”お船のルーツは御座船にあり”

2010-09-09 21:31:39 | お祭り
さて御船練り徹底研究、今回はその御船の原型を解明してみました。

門之脇の初代御船は、故宇都宮房太郎氏が明治27年に建造し寄贈されたものです。
江戸時代が終わって約20年ちかく経っています。この狩浜地区は江戸の時代
吉田藩の配下にありました。吉田町では、殿様のお膝元であった為、比較的はやくから
御船が存在していました。それが狩浜にも伝わってきたのは明治となった頃で
これは殿様の許可が必要であった為の差と考えられます。ただし、御船の練りは
袴などの製作時期からみて、すでに江戸末期にはあったようです。

その御船の形ですが、吉田町のそれとほとんど変わりません。
そしてその姿、かたちは、伊達博物館に展示されている参勤交代の絵巻物に
でてくる「御座船」(ござぶね)とそっくりです。
「御座船」とは、藩主が移動したりする時に使う専用の船のことです。
その為、外観内装とも豪華絢爛、約31mの長さがありました。
船は矢倉で囲まれ、朱と黒の華やかな大型船でした。
当時の参勤交代には、御座船以下約250隻の船団でもって、なおかつ漕ぎ手だけで
3458人!の大船団がこの宇和海を渡ってゆきました。(宇和島藩の例)
そんな藩の象徴のような豪華華麗なる御座船を、当時の人たちが祭りの練りにしたのも
なんとなく分かるような気がします。
そのように御座船をルーツとして、やがて明治となり、時代が変わって周辺の地域にも
御船が広まったと思われます。


御船練り 徹底研究①

2010-09-07 20:25:35 | お祭り
ご存知のように2代目御船は現在、ほぼ外観が出来上がり、10月3日の
お披露目舟おろしイベントに向け、最後の仕上げにかかっています。
今回の記念行事(10/3)にさきがけ、御船練りについてみなさんにいろいろな面から
知っていただきたく、ちょっとタイトルは仰々しいですが、シリーズでお伝えします。

「御船練り」。
これは門之脇区の秋祭りで使われる御船、および衣裳、三味、道具
そして歌舞などを総合したものを言います。昭和57年5月、旧明浜町の無形民族文化財の
指定を受けています。文化的価値として、その御船(明治20年代建造)や御船係りが
着用する裃、袴(慶応2年製作)の文化財的なもの。そして唯一の特色である
三味が奏でる「みちびき」「川入り」の曲に合わせた巡行スタイル。海上での
歌舞と三味太鼓の演奏が他の吉田町や宇和町に見られない特色のあるものとなって
います。
 「みちびき」の曲は、旧道を巡行する際に演奏され、神社の石段を上がるときは
アップテンポになります。また「川入り」の曲は、台船に乗せられた御船が
大川を上がってゆくときに演奏されました。現在は昔のカマトコ(地名)と言われた
場所の近くで歌舞が披露されます。