杉並区の施設は学校、児童館、図書館、地域区民センターなどおよそ600か所あり、40~50年前の高度経済成長期に主に建設された施設の老朽化による建て替えの時期を一斉に迎えています
平成29年7月1日号の広報すぎなみ9ページ上段には第1回目として「シセツサイヘンってなあに?」とした記事が掲載されました。
http://www.city.suginami.tokyo.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/034/164/sg2206-1.pdf
区では「杉並区立施設再編整備計画」として、どういった建物があるかをまとめた施設白書をまとめたうえで、
- 平成24年3月
杉並区基本構想10年ビジョン策定、持続可能な行財政運営を推進するため、(仮称)区立施設再編整備計画の策定に取り組むこととし、平成24年度から具体的な検討に着手 - 「区立施設の再編整備の基本的な考え方」の取りまとめ
- 平成25年9月「計画(素案)中間のまとめ」の公表、区議会、地域・関係団体等へ説明
- 平成25年11月「計画(素案)」の修正・公表、区議会に報告、区民アンケートの実施
- 平成25年11月~12月 地域・関係団体等へ説明、地域説明会等の実施、区議会へ報告
- 平成25年12月15日 区民意見交換会の実施
- 平成26年1月「計画(案)」の公表、区議会へ報告、地域説明会等の実施、区民等の意見提出手続き実施
- 平成26年3月上旬「計画(案)」の修正・公表、区議会へ報告
- 平成26年3月下旬「杉並区区立施設再編整備計画(第一期)・第一次実施プラン」の決定
- 平成28年9月「第一次実施プラン(改定案)」の公表、区議会へ報告、地域・関係団体等へ説明、地域説明会等の実施、区民等の意見提出手続の実施
- 平成28年11月 「第一次実施プラン」の改定
という手順を踏んでいます。
と、ここまで区の手順を確認をして来たものの、私にはこの動きが区民の皆様にはどれ位伝わっているのか?という疑問が常にありました。
区民の方の中には、児童館廃止と言われている事(正しくは機能を維持したうえで発展的に再編成)や学校の統廃合の計画発表によって本計画を耳にした方も多いのだろうと考えています。全体の計画の必要性を認識しないまま、ごく日常的に使用してきた施設が一方的に区によって奪われてしまう、と捉えられてしまっているのではと危機感を区に訴えてきました。
私の中では、
1,区立施設の老朽化は避けられず、今後の需要を踏まえて建て替えていく必要がある。全ての建物をそのままの用途・規模で建て替えをすることは出来ない。
2,今後の人口動態の予測は難しいものの、大局的な動向を踏まえると少子高齢社会・人口減少社会となると捉え、納税者が減り福祉需要が増える。
ランニングコストを抑える意味で建物の床面積を減らすといった抑制的に考えることも必要。
3,これを機に既存の事業を改めて見直し、本当に公がしなくてはならない事業であるのか、区民を含めた議論が必要。
4、施設再編は杉並区だけに起きている問題ではなく、全国的な課題。
5、施設再編にかかる財政負担を見据えた計画とするためには公会計システムと連動する事が必須。
等々と考え、一般質問や委員会などでも提言を重ねてきました。
最も重要なのは、区役所や議会内の内向きな議論に終始せず、区民周知に努めるべきだと考え、その一つの方法として、広報すぎなみに区民が興味を持って読んでいただけるよう、また余りに大きな本計画の必要性などを十分理解してもらえるよう数度に分けて記事を作り理解を深めてもらうなどの工夫をしながら、連載をして欲しいという訴えが、このほど実った形となります。
2年ほど前から私が取り組んでいる、杉並区立中央図書館の改修を好機と捉え、区民意見聴取の上で建物のポテンシャルを活かし、省エネ性能を取り込み、図書館サービス基本方針を踏まえた今後30年間にわたって区民に実り多い施設となるように熟慮すべきという区への訴えも、この動きと連動しています。
これに関しては、区で既に昨年度区民意見聴取のためのワークショップを開催し、本年度は設計にどう生かしていくのか検討をしてくれています。
今後とも、本計画が区民にとって有益なものとなるよう、区民周知に努めご意見をいただきながら進んでいくよう、提言を続けていきます。
以下、杉並区立施設再編整備計画の区の取り組みを転載いたします。
http://www.city.suginami.tokyo.jp/guide/kusei/saihen/1005293.html
計画の基本的な考え方 9つの基本方針に基づき再編整備に取り組みます
1.施設設置基準の見直し 7地域の継承と46地区の基準の転換
- 区民の通勤、買い物などの日常行動圏域として駅勢圏中心に設定した7地域は、施設配置の地域バランスを確保する観点から、今後とも施設整備の基準として継承します。
- 児童の通学区域を基準に設定した46地区に基づく施設配置の基準は、少子高齢化の進展や施設の効率的な運営の観点から見直し、今後は「地区」の枠にとらわれず、施設の複合化・多機能化等を進めることにより必要なサービスを提供する考え方に転換します。
2.複合化・多機能化等による効率化の推進
- 施設の複合化・多機能化のほか、改築時の規模のスリム化や廃止により施設規模の縮小を図るとともに、民間活力の導入、適切な維持管理による施設の長寿命化等に取り組み、施設運営の効率化を進めます。
- 廃止した施設・用地は、他施設への転用のほか、売却・民間活力の導入も視野に入れ、有効活用を図ります。
3.学校施設と学校跡地の有効活用
- 学校は、地域に開かれた公共空間としての機能を一層拡充する観点から、学童クラブや小学生の放課後等居場所事業の実施など施設の複合化・多機能化を進めるため、既存校の余裕教室や学校敷地の活用を推進するとともに、改築時には児童生徒数の推移などを踏まえ施設規模のスリム化を行います。
- 統合に伴う学校跡地については、災害対策やまちづくりなどの地域の視点と、全区的な行政需要への対応という視点の両面から活用策を検討します。
4.児童館の再編と子育て支援事業の新たな展開
- 0歳から18歳までの児童の健全育成を図ることを目的に設置された児童館は、限られた施設スペースの中でサービスの充実を図ることがもはや限界を迎えていること、「子ども・子育て支援新制度」の本格施行(平成27年度予定)に向け、各種の子育て支援サービスに関する利用相談や情報提供等の地域拠点を整備する必要があることを踏まえ、学校や新たに設置する地域子育て支援拠点等で機能・サービスを段階的に継承し、充実を図ります。
5.ゆうゆう館の再編
- ゆうゆう館(旧敬老会館)は、保育園を併設する施設の一部で保育施設への転用を図るとともに、順次、多世代が利用できる施設へと転用・再編を進めていきます。
- 再編にあたっては、身近な地域で高齢者が気軽に集まることができる、ゆうゆう館の機能と役割も継承します。
6.地域コミュニティ施設の再編
- 7か所の地域区民センターは、地域コミュニティの拠点と位置付け、集会施設である区民集会所と区民会館、ゆうゆう館、一部の児童館を対象に、施設の有効活用や地域コミュニティの活性化の観点から、乳幼児親子を含む子どもから高齢者まで、多世代が利用できる施設へと段階的に再編します。
7.誰もが利用しやすい施設整備の推進
- 子どもから高齢者まで便利に快適に利用できるよう、だれでもトイレやエントランススロープの設置など、バリアフリーに配慮した施設づくりを推進します。
- 施設整備にあたっては、内装や間取りの変更が容易な工法(スケルトン・インフィル)を採用するなど、区民ニーズの変化に応じて用途を柔軟に変えて活用できるような施設づくりを進めます。
8.緊急性の高い施設の優先整備
- 区民の安全・安心を確保するため、老朽化や耐震性等の課題により更新の緊急性の高い施設については、優先的に施設の再編整備に着手します。
- 当分の間、需要が増加することが予測される保育施設や高齢化の進展により今後も確実に需要が増加する特別養護老人ホーム等について、優先的に整備を行い、子どもから高齢者まで誰もが安心して暮らすことができる環境整備を進めます。
9.国や東京都、他自治体等との連携
- 特別養護老人ホームや保育施設をはじめとした新たな施設の設置及び既存施設の更新に際しては、国・東京都との連携による国公有地の活用を検討します。活用にあたっては、定期借地のほか区有地との交換も視野に入れ、財政負担の軽減化を図ります。
- 広域的な施設については、近隣自治体との共同運営の可能性についても検討していきます。
以上