民話 語り手と聞き手が紡ぎあげる世界

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「鬼子母神」 リメイク by akira (ライブバージョン)

2012年04月12日 23時20分49秒 | 民話(リメイク by akira)
 みんな 眠くなってきたみてぇだから 
いっちょ 語(かた)っか。(わーい)子供の歓声

 (むかしは 子供も大事な働き手だった。
だけど 子供は 昼間 元気一杯 遊んで 疲れているからな。
単調な作業をしてると すぐ 眠くなっちまう。
そんな時は 眠気覚ましに 語ることが あったということだ。)

 
 今日は鬼子母神でいいか。(フントコショ) 

鬼子母神、漢字 覚えたか。(フント)
鬼っこ、の鬼、子供の子、おっかぁの母っていう字に、神さまの神、だな。(フント) 


 オレがちっちゃい頃、ばあちゃんから聞いたハナシだ。(フント)
いや、じいちゃん、だったかな。(フント)
ほんとかうそかわかんねぇハナシだけど、ほんとのことだと思って 聞かなきゃなんねぇ。(フント)


 むかしのことだ。(フント)


この 最初にいう、むかしのことだ、っていうのは 地域によっていろいろあってな。(フント)
たとえば 新潟県では、(むかし)あったてんがな、って言うようにな。(フント)


 山の近くにあった 村でのことだ。(フント) 
山の奥に 鬼の女 鬼女が住んでいた。(フント) 
この鬼女には 千人もの子供がいてな、それはそれは 可愛がっていたと。(フントコショ) 

 ところが この鬼女は 人間の子供をさらってしまうという おっそろしい鬼でな。(フント) 
村のモンは いつ 自分の子供がさらわれるかと ビクビクして暮らしていたと。(フントコショ) 
 「子供を鬼から守ってください。お願いします」 
村のモンは 朝に夕に 仏さまに手を合わせて 拝んでいたと。(フント) 
(そんな思いが 仏さまに伝わったのかなぁ)(フント) 
仏さまは 鬼を懲らしめようと 鬼の子供をひとりさらって こっそりと隠してしまったと。

(子供があいづちを打つのを忘れる)あいづちは!?
フントッ(ひときわ大きい声で)(小さい子はビクッとする)

 いつものように 鬼が子供たちと遊んでいると、
子供が一人いなくなってることに気がついた。(フント) 
 すると 鬼は 子供がいない って大声をあげ、
目をつり上げ 口を耳元まで裂いて 鬼のような形相で、(フント) 
(あっ、鬼なんだから 当たり前か)(フント) 
どっどっと、こっちの山 どっどっと、あっちの山 
飛ぶように かけまわって(子供を)捜しまわったと。(フントコショ) 

 それを見て 仏さまは 鬼を呼んで言った。(フント) 
 「お前は 千人もの子供がいるというのに、 
たった一人の子供がいなくなっても そのありさまか。
少しは 子供をさらわれた 人間の嘆きが わかったか!」
 「はい わかりました。もう(決して)人間の子供をさらったりなんかしません。 
お願いです。 私の子供を返してください。」
鬼は(土下座して)泣き叫んで 子供を返してもらったと。(フントコショ) 

 それから 鬼は 子供をさらうのをやめてな。(フント) 
今までの罪滅ぼしにと 子供を守る神さま 「鬼子母神」 になったんだと。(フントコショ) 

 おしまい

 (この 最後にいう、おしまい、も 地域によっていろいろあってな、
新潟県では、いちごさかえた、秋田県では、とっぴんぱらりのぷう、って言ったりすんだ。)

 どうだ、みんな、眠気はさめたか。(はーい)
もう ひとふんばり すんべな。(はーい)