民話 語り手と聞き手が紡ぎあげる世界

語り手のわたしと聞き手のあなたが
一緒の時間、空間を過ごす。まさに一期一会。

民話との出会い(日記) 

2012年04月22日 00時51分13秒 | 身辺雑記
シルバー大学に入って、まもなく、クラブ紹介があった。
入ってみたいクラブに赤丸のチェックを入れていた。(七つハつあったかな)
クラブ紹介が進んで、「民話・語り部クラブ」の番がきた。
ノーチェックのクラブだった。
 「ん!?」
二百人近い人を前に、一人で民話を語る。
「すごいな、だけど、オレにはできないよな。」
「うん、できないな。」自問自答する。
「でも、やってみたいな。」
せっかく、シルバー大学に入ったんだから、何か新しいことにチャレンジもしてみたいし、
ダメだったらやめればいいじゃん。         

 そんな気持ちで「民話クラブ」に入った。
前に進むというよりも、いつでもやめられるよう、逃げ腰でのクラブ参加だった。
「やっぱり、オレにはムリかな。」何度、思ったことか。
それでも、やめないで続けてこれたのは、どうしてだろう。

 ひとつは、部員数が少ないので(十四、五人で、参加者は十人を切ることも多かった)やめづらかったこと。
 ひとつは、年を取って、図々しくなったことかな。
若い頃、自分を表現する手段として、「演劇」をやってみたいと思ったことがあった。
でも、できっこないと思ってやらなかった。
けど、年を取って、図々しくなった今なら、できるかもしれない。
 それと、もうひとつ、ライブでギターを弾いていたので、それにプラスになるかもしれない、と思ったこともある。
ギターもひとりで何人もの人の前で演奏する。
民話の語りも同じじゃないか。
 
 そんなことで、やめないでいるうちに、五月頃かな、学校祭の準備が始まった。
「もう、やめられない。やるっきゃない。」
 それからは、持ち前の学習意欲に火がついた。
図書館で、民話関係の本を、借りてきて読むようになった。
月に四度のクラブの勉強会にも、積極的に参加するようになった。

 八月初め、学校祭が終わった。
二年になれば、一年生を指導する立場になる。
今までのように、おんぶにだっこ、というわけにはいかない。
 一年生が入ってくる前、九月、十月がもっとも民話に熱を入れていた時期かな。
図書館から借りた、民話関係の本は百冊を超えただろう。
これで民話のアウトラインは、大体、掴めたかな、というとこまで行った。

 そうして、一年生を迎えた。
指導をするのは大変だ。
知識は詰め込みがきいても、実技、語りはそうはいかない。
 発声、滑舌、早口言葉など、語りの練習は、インターネットを使って勉強した。
 「外郎売り」という歌舞伎の題目がある。
アナウンサー、役者を志す人は、たいがい、勉強しているというので、「よし、これを覚えよう。」と決めた。
 だけど、覚えられない。
何度、挫折しそうになったことか。
しかし、ここでくじけちゃ一年生に顔向けできない。
このことが、どんだけ励みになったことか。
ほぼ二ヶ月かかって、ようやく覚えることができた。

 それと並行して、一年生のための教材作りも始めた。
それをきっかけに、民話を自分なりにアレンジする楽しさを覚えた。
さらに、みんなに読んでもらいたい、とブログ「民話・語り手と聞き手が紡ぐ世界」を作成した。

 民話との出会い、それは遅かったけれど、逆に遅かったからこそ、これだけ夢中になったのかもしれない。