民話 語り手と聞き手が紡ぎあげる世界

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「再話の方法」 木暮 正夫

2014年02月16日 00時06分08秒 | 民話(語り)について
 「民話の再話に関する教授学的考察」  琉球大学  藤原幸男 (ネットより)

(4)再話の方法

 木暮正夫は、再話の技法として次のようなことをあげている。

①既に再話されたものから再話しない。

②すぐれた採集原話をさがしだす。
 かけている部分は他の地方のものから補い、本質のものと無縁な來維部分はカットして
先祖たちがほんとうに心の種とした伝承の姿を復元して伝えるよう心がけたい。

③再話が創造であるためには、発見がなくてはならない。
 いくらすぐれた原話を選びだしても、その原話の本質を読みとって
自分をはいりこませることができなければ、単なる書きかえである。

④語りの文学である民話には、独自の語り口が生きている。
 民話のもつ豊かなことばとそのテンポやリズムをどう生かすかも、再話のポイントとなってくる。

⑤方言をどうするか。
 方言は生かしたいが、方言を全面的におしだしては読者がとまどう。
地方の原話を普遍的なものに再話するとなると、「共通方言」をつくっていく必要が生じる。

⑥民話には独特の文体(表現方法)がある。
 その文体はテーマの核心に向かって、一直線に語り進められ、
焦点は主人公の動きにのみ絞られている。
周辺のこまごまとしたことには触れず、無用な説明もしない。
これが方言のもち味とあいまって、民話の魅力となっている。
再話にもこの文体を生かさなくてはならない。