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「江戸の卵は一個400円」 その15

2015年05月27日 01時23分06秒 | 雑学知識
 「江戸の卵は一個400円」 モノの値段で知る江戸の暮らし 丸太 勲 光文社新書 2011年

 「江戸の子供たちは勉強好き」 その2 P-80

 寺子屋は私塾だから、入門に規則や決まりはなく誰でも入ることができた。多くは6~7歳になると、二月の初午の日に入門の手続きをした。そして、就職が決まれば卒業というケースが多かった。
 授業は朝5つ半(午前9時)から始まり、年少組はお昼まで、年長組は家でお昼をすませて8つ(午後2時)まで勉強した。やんちゃ盛りの子供たちだから、先生の見えないところでいたずらしている者や、それが見つかって立たされている者の様子を描いた寺子屋風景の戯画も多い。
 その子供たちの手習いの成果を占める年に一度のイベントが「席書(せきがき)」で、この日は親や近所の人も参観した。子どもたちはその前で、学んだことをお手本を見ずに清書し、書きあがったものが壁に貼り出された。子供たちの成果はもちろん寺子屋の評判にもかかわるので、師匠も大いに張り切った。
 寺子屋に決められた授業料はなく、入門時には各家庭の事情に合わせて「束脩(そくしゅう)」と称する入門料を納めた。庶民は200~300文(4000~6000円)、お金持ちなら一分(3万2千円)程度だった。月々の月謝は200文、そのほかにも筆や硯箱、紙は自分持ち、机も入門する寺子が用意した。