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「知らざあ言って聞かせやしょう」 はじめに その4

2017年02月07日 00時12分20秒 | 伝統芸能(歌舞伎など)
 「知らざあ言って聞かせやしょう」 心に響く歌舞伎の名せりふ 赤坂 治績 新潮新書 2003年

 はじめに その4

 戦前までは、歌舞伎を見ることはもちろん、演じることも庶民の生活の一部でした。たとえば、『蛙茶番』『村芝居』『田舎芝居』『芝居風呂』『質屋芝居』(以下いくつか省略)などの古典落語があります。近代までは歌舞伎が芸能の中心に座っていたので、歌舞伎を題材にした落語がたくさん作られたのです。これらのほとんどは、素人が歌舞伎を演じる時のゴタゴタを描いたものです。
 このように、歌舞伎は庶民の生活の中に浸透していたので、多くの人が歌舞伎のせりふを知っていて、あらゆる会話に登場しました。たとえば、「雉子も啼かずば討(撃)たれまい」という諺があります。実は、この諺は『鈴ヶ森』にせりふとして出てきます