「江戸っ子はなぜこんなに遊び上手なのか」 その10 中江 克己 青春出版社 2016年
歌舞伎から生まれた流行色 その2
瀬川菊之丞の二代目は美貌で知られ、女形(おやま)としてたいへんな人気を集めていた。代々「路孝(ろこう)」の俳号を使っていたが、明和3年(1766)、中村座で上演された『八百屋お七恋の江戸染』のなかで、菊之丞が下女お杉に扮したとき、やや緑みのある茶色だったが、女性のあいだで評判となって流行、「路孝茶」と呼ばれた。
初代尾上菊五郎が使った茶色も人気になった。濁った緑系の色だが、灰みの萌黄色にも見える。これは「梅幸茶」と呼ばれたが、梅幸は菊五郎の俳号だった。
四代目松本幸四郎が鈴ヶ森の長兵衛の合羽に、灰みのある暗い納戸色(灰みがかった藍色)を使い、評判に成った。屋号を「高麗屋」と称したことから、色名は「高麗納戸」といわれた。
歌舞伎から生まれた流行色 その2
瀬川菊之丞の二代目は美貌で知られ、女形(おやま)としてたいへんな人気を集めていた。代々「路孝(ろこう)」の俳号を使っていたが、明和3年(1766)、中村座で上演された『八百屋お七恋の江戸染』のなかで、菊之丞が下女お杉に扮したとき、やや緑みのある茶色だったが、女性のあいだで評判となって流行、「路孝茶」と呼ばれた。
初代尾上菊五郎が使った茶色も人気になった。濁った緑系の色だが、灰みの萌黄色にも見える。これは「梅幸茶」と呼ばれたが、梅幸は菊五郎の俳号だった。
四代目松本幸四郎が鈴ヶ森の長兵衛の合羽に、灰みのある暗い納戸色(灰みがかった藍色)を使い、評判に成った。屋号を「高麗屋」と称したことから、色名は「高麗納戸」といわれた。