この景色も妙義山の帰り道で見た。車で山を下り平地を走っていた時、夕日に照らされた一筋の飛行機雲が見えた。意図したわけではないが、私はその雲を追いかけるように西に向かって走っていた。やがて日が山に入ったが、まだ空は青く、飛行機雲に当たった夕日が一層きれいになった。
昨年NHKで放送されたドラマ「コントレール~罪と恋~」を見てコントレール(contrail)が飛行機雲という意味だと知った。以降、ドラマの内容とは別に、コントレールという言葉の響きが好きになり、さらに飛行機雲を注視することが多くなった。
さて、この日の飛行機雲の行く先には、幅が広くなった二つのクロスする飛行機雲があった。少し前に飛行した奇跡なので、筋でなく白い反物のように横幅が広がっていた。私が追ってる飛行機雲がどのように二つの雲に突入していくのか見届けようと、車を止めた。
西に向かってまっすぐ進む飛行機と飛行機雲。
Xの字にクロスした古い二つの飛行機雲。新たな飛行機雲がXの交点に向かって進んでいる。辺りは暗くなりつつあるが、空のショーはきれいだ。
大分近づいてきた。
右後ろから別の飛行機も近づいてきた。
Xに迫る飛行機とその雲。
突入する寸前。
手前の雲の下に入ったようだ。
もう一つの幅広の雲に重なる。
妻とタロ(犬)が、エンジンが止まった車の中で待っている。外はもとより車内もだいぶ寒くなって来ているだろう。私は観察を終え車に戻った。
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◎以下は、帰宅後「飛行機雲」について調べた内容
contrailとは、condensation(凝結)とtrail(軌跡)の合成語のようだ。日本語の方が見た目の表現で分かりやすいが、英語は科学的な実態を表している。
飛行機雲を人が見られるようになったのは、今から60年ほど前からとのこと。それまでの飛行機は高い空を飛んでいなかった。飛行機雲ができるところは、6000m以上の上空だ。温度もマイナス40℃(上空6000m)ぐらい。ここでは、飛行機のエンジンから出る水蒸気などは、氷の粒になる。それが上空から見ると白い雲のように見える。
さらに、飛行機が空気が薄い高所を飛ぶと、翼の端やプロペラにできる渦の中の空気の膨張などによっても生じる。
飛行機雲ができる理由は、水蒸気と渦巻の二つが考えられるが、実際には、どちらか片方だけではなく両方の原因が重なってできる場合も多いとのこと。
アメリカは航空交通の需要が大きい。このような地域では飛行機雲が気象にも影響しているとの仮説があった。日中は太陽光を、夜は地表からの熱放射を遮るというもの。2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件後、3日間にわたりアメリカ全土における航空機の飛行が禁止された。この時、飛行機雲がない状態では昼夜の温度差が約1℃増加したとの観測結果が得られた。飛行機雲が気象に影響があるという仮説の実証の一つとのこと。