標高330mのモノローグ

富士山の10分の1、東京23区最高峰の10倍の山間に暮らして20年。地域の自然や思いを綴ります。

より安全な駅のホーム利用には、点字ブロックよりホームドアが必須

2017-11-26 19:25:15 | 日記
Yさん、いつもコメントありがとうございます。
昨日の記事に関して、ホームの点字ブロックの上を歩いていて、貴重な体験談を頂きました。今日はこれに関することですが、補足しホームドアのことについて述べます。


点字ブロックの利便性とリスク。立場によって様々。

今から40年前の話です。日本で発明された点字ブロックが敷設されてから、10年ほど経った頃に聞いた話。

「日本には、視覚障害がある人たちが街中を歩くのに便利なものがあるということで、フランス(たぶん)から点字ブロックについての調査団がやってきた。さまざまな角度から検討したところ、当時フランスでの点字ブロックの導入は止めたとのこと」

「その理由は、子供、高齢者、足の不自由な人や車いすの人はじめ、ハイヒールを履いた人、雨の日など濡れた路面などの様々な条件で支障がある。視覚障害がある人にとっては良いかもしれないが、その他の人にとっては、歩きにくい、車いすの操作がしにくい、躓く、転ぶなど危険な面もあるからということだった」

視覚障害がある人にとっては外出しやすくなり、バリアフリーとなったが、その他の人にとっては、バリアとなるということだ。世界に点字ブロックは広がっているが、当時の調査団が残した課題は今でもある。

Yさんの体験も、まさに点字ブロックがバリアとなった。

視覚障害がある人のホームからの転落事故がいつまでたっても、なくならない。この事故は点字ブロックの問題というより、別な要素もあるが、場合によっては点字ブロックがバリアになりうる。ホームは視覚障害がある人に限らず、構造、音などの環境に危険が潜んでいる。通常なら、柵のない崖ぶちのようなところを何メーターも歩くなど考えられない。混雑したホームのヘリを人を除けながら、点字ブロックとヘリの数十センチの幅を、人によってはスマホを見ながら歩いている。ホームという特別な環境に慣れてしまっていて、リスク管理ができなくなっている。

たとえば視覚障害がある人が、点字ブロックを確認したうえ、ホームの端で入線してくる電車をまっているとしよう。自身が乗る電車が入ってきたと思って、乗ろうとすると電車のボディーを確認できない、つまり電車は入線していない場合がある。何故なら、乗ろうとする番線に入ってくる電車の走行音やブレーキ音よりも、その先の電車の音の方が大きく聞こえる。乗ろうとするホームに来る電車の音は、ホームの下に入ってしまい、籠ってしまう。勘違いしやすい。このことを理屈で分かっていても、慌てている時や考え事をしていた時は、とっさに動いてしまう。ロボットなら故障しない限り、他の情報も分析し、乗るべき車両が来たと判断できるだろう。残念ながら人は常に自分自身をコントロールできるわけでない。


多くの人にとって安全なホームドア

こうした、危険を回避するためには、ホームドアの設置だ。最近は、電車が走行しない深夜にホームドアを設置する技術がある。先日も予定より前倒ししてホームドアの設置がされるという、明るいニュースが流れた。これは、視覚障害がある人だけでなく、多くの人にとって安全をもたらすことで、喜ばしい。

今から26年程前のことだが、東京メトロ南北線が開通し、当初からホームドアが設置されていた。この直後、視覚障害がある人の歩行訓練を行う歩行訓練士の発案で、大手のアルミ関係の企業が、首都圏のある私鉄に、営業しながら可能なホームドアの設置を設計図まで作って提案したことがあった。しかし、当時は全く聞き入れてもらえなかったという。

この時、この私鉄が勇断を持って取り組んでいたら、もっと早く安心・安全な鉄道利用ができる世の中になっていたと思われる。

しかし、今は、駅のホームは、点字ブロックより安全な方法が普及しつつある。さらに、推進していってほしい。

また、一般の歩道などでも点字ブロックに代わる誘導方法を見い出し、あらゆる人が安心して、安全に活用できるユニバーサルデザインの街づくりを目指していかねばならない。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする