大善人へ身魂磨き

善でありたいと思う。日々精進。感情の渦に呑み込まれそうな時もあるけれど最後には明るく静かな大海原に和合したい。

星に縁のある神仏 5 アイヌ伝説

2021-03-07 05:34:00 | 神話・物語・本から

皆んながよく知る七夕伝説とは違いますが、アイヌにも、女神の星として鷲座(彦星)の伝説があるので紹介します。


………


昔、北海道に怠け者の兄と働き者の弟が母親と一緒に暮らしていました。3人の生活は兄がお金を使い切るので貧しいままでした。


母は2人を心配しながら病気で亡くなりました。やっと兄も後悔して、弟と一緒に毎日天の神様に祈りました。

「どうかお母さんに会わせてください」

ある日みすぼらしいお婆さんが2人を訪ねてきました。


「母に会いたいのだね。それなら、私を船に乗せて川の向こう岸まで渡しておくれ。そうすれば、会わせてあげよう。」


しかし、いくらこいでも船は向こうにつきません。疲れた兄は癇癪をおこします。

「嘘つきばあさん!もう漕ぐのはやめた!」


でも弟は一人でふねを漕ぎ続けます。

その時です、お婆さんは女神の姿になり弟の手をとり

「さあ、一緒においで」


2人は空にのぼりました。鷲座の彦星はこの女神の星と言われています。


……  ここまで。


これを読んだ時、この兄弟は2人なのですがイザナギ様の鼻から生まれたスサノオ尊おひとりの姿に重なりました。鼻の穴は2つありますから。ふーっと鼻息から。人の性格にも善悪あるように、この兄弟はスサノオ尊の荒魂と和魂を表しているのかな?と。


なかなか辿り着けない川、天の河は、あの世とこの世を隔てる三途の川。彼岸と此岸の間。


スサノオ尊には養育係として、姉にワカヒメ様がおり、ワカヒメ様はスサノオ尊に、弓矢の使い方などを教えたりしたそうです。


それでは、そのワカヒメ様を見ていくと、

イザナミ様とイザナギ様の最初のお子様ヒルコ様であり、古事記では水子ということで葦でできた船にのせられて川に流されてしまいます。


その後古事記にはヒルコとしてはでてきませんが、ワカヒメ様と同一神のようで、服織りの織姫様のことです。


また、アマテラス様より初めに生まれているにも関わらずアマテラス様の妹神とされているのは、私が想像するのに、、、これは、双子が生まれたら昔は最初に生まれた方を妹にすることにも繋がるかもしれません。


双子は、天界では魂としては陰陽として捉えられているのかも。ひとりの合わせ鏡とも?初めに陰がありあとが陽。つまり、あとから生まれたアマテラス様が陽(姉)であり、ワカヒメ様=ヒルコ様は陰(妹)なのかな?と。


雛祭りで人形を川に流すのは人形を身代わりとする厄祓いの意味があります。イザナミ様とイザナギ様の最初のお子様ヒルコ様は古事記では身体が不完全だったとありますが、一説では厄年にお生まれになり、水子(=音の響きからヒルコ)となり川に流されたと言われています。しかし、実はお亡くなりになっておらず、重臣のカナサキ様によりヒルコ様は大切に育てられます。カナサキ様とは、海上交通の守護神、住吉大神です。


厄年にお生まれになったヒルコ様=ワカヒメ様は、「天の節の厄払い」が終わるとイザナギ様とイザナミ様の元へ呼び寄せられ、 再び 本当の家族と一緒に暮らすことになったとも言われています。



養父のカナサキ様はワカヒメ様に歌や琴を教えました。ウタ(和歌)は、まじないの一種であり、この言葉の並べ方で様々なことを実現させてしまうのだとか。琴は弦つながりで、弓矢などの武器にもつながります。


ワカヒメ様がスサノオ尊に弓矢を教えて差し上げたという記述もあり、それは、カナサキ様がワカヒメ様にした英才教育の賜物だったのかもです。


ワカヒメ様=織姫様が琴座を意味し、また、ワカ(和歌)ヒメ様とも呼ばれることに妙に納得です。


また、カナサキ様(ワカヒメさまの養父)は、野鳥のカササギと響きが似ています。このカササギは、白と黒を合わせ持つ鳥で、七夕伝説に出てきます。7月7日の七夕の日に天の川で羽を広げて二人を橋渡しする話しもあります。


一年に一回しか会えないのに雨が降るのは、育ての親のカナサキ様(海上交通の神様、住吉大神)が鳥(カササギ)になって一年の成長を見守り今年は繋げられないと判断すると、雨を降らせ川を増水させるのかもしれません。羽のある生き物は天からの遣いとも言われますから。




カササギ画像


前置きが長くなりましたが、


アイヌ伝説でいいたかったことは、このワカヒメ様は、兄弟の亡くなったお母様にあたるのではないでしょうか。


スサノオ尊に矢の使い方を教えたりした、優しいお姉様ワカヒメ様です。弟のことを心配しながら亡くなったため、この世の未練からなかなか彼岸に辿り着けません。


そして2人に、あちらの世界へ旅立つ手伝いをお願いしたのかもしれません。2人がふねを漕ぐ行為は成仏を助けてもらう行為と重なり、最後には弟の努力の甲斐あり彼岸に到達できたけれど、改心(会心)しきれない兄は連れて行けず弟だけを連れて昇っていったのではないかと。兄は、まだ地上(此岸)で修行しなさい!っていうことかな?と空想しました。







星座の神話の絵本より



先祖への線香は御成仏の手伝いとなるのと重なります。


ギリシャ神話では、鷲座は大神ゼウスが変身した姿だとされています。ゼウスはワシに化け、トロイの美少年を天上へ連れ去ったという話しがあります。



カササギと色が似ていますね。


ギリシャ伝説 鷲座画像より

また、アラビア語で鷲座はアルタイル=飛ぶ鷲の意味があり、琴座はベガ=落ちる鷲の意味があるようです。古来より2つの星は強い繋がりがありそうです。


この星に関して、様々な伝説が世界中に古代から存在するのは不思議です。星には強い意思(意志)があり、宇宙の壮大な何かを伝説は暗示しているのかもです。


おわり


【画像はカササギ、鷲座、ギリシャ神話の鷲座、アイヌ星伝説の検索より】