私が20歳の時に母は死んだ。大学のある東京から呼ばれて帰ったその前夜、「元気にやってるかと」訊かれ、頼まれて風呂を焚いて、入れた翌朝のことだった。
病弱で、私が三歳の時に脳腫瘍手術で聴覚での音の識別を失った母。掌に字をなぞって伝え、声が返ってくる僅かな対話は、母の眼差しに包まれていた日々だった。家で出した葬式には、母が筆談で相談にのっていた近所の人が寄り添ってくれて、喪主の私に、涙が出たのは一年 . . . 本文を読む
もし今、あなたの子どもが医師、看護師、福祉師士で、コロナ感染者の現場に出かけるとしたら、止めますか?
もし今、あなたが仕事で人ごみに出かけなければならないとしたら、行きますか?
もし今、子どもや親に食べさせるもがなく買い物の行列に並ばなければならないとしたら、
子どもを一緒につれてゆきますか?・・・
その時その時、それぞれの立場で、求められていることがある。不要不急とは、その時どの立場をと . . . 本文を読む