エレベーターなしでショー

　ＫＡの劇場、舞台下手に一つエレベーターがあります。そこには、ショーのどのタイミングでどの役の人がそのエレベーターを使うのか、名前が書いてあり、急いで上下に移動しなければならない人だけが使えることになっています。私の名前はそこにはないので、ショーの間にエレベーターを使うことはありません。でも、例えば地階一番下から９階まで一気に上がらないといけない人達は、エレベーターを使うのです。
　今日は、３０分前のコールが掛かった時でしたでしょうか、「エレベーターが使えないのでショーの変更があります。」というアナウンスも同時にありました。確かに、できないところは出てきます。普段エレベーターの人も階段を使わなければならないことも出てきたり、放送を聴いていると様々な変更がありました。そして、もしかしたらショーの途中で使えるようになるかもしれないので、その都度“エレベーターなし版のショー”を行うか、“通常のショー”を行うか放送するとのことでした。
　もちろん、私はエレベーターをいつも使いませんから、私自身の移動に影響はなく、そのままいつも通りに行えばいいのですが、もし一回目のショーが終わってもエレベーターが使えなかったら、海を泳いだカメさんをどういう風に砂浜に戻すのだろう、とか、木を登って行ったナナフシの手足だって下ろせないだろうな、とか、自分が裏で手伝っているときのことを考えてしまい、エレベーターの前を通るたびに直っているのか気にしていました。
　結局、一回目のショーは、最後まで“エレベーターなしのショー”を行いました。そして、お辞儀をして戻る時に、エレベーターが動いているのが見られました。ということは、二回目のショーのためのプリセットは、通常通りに行えます。ほっとするのと同時に、一回目、注意を払いながら通常ではないショーをしたみなさんに拍手を送りました。