のんのん太陽の下で

初めての一人暮らしが「住民がいるんだ・・・」と思ったラスベガス。
初めての会社勤めが「夢を売る」ショービジネス。

イチジク

2008-08-21 | KA
 車のカギの電池を変えてみました。昨晩思いたち、帰宅してからまた出掛け、二店目でその電池を見付け、二つ入りで8ドルもするものしかなく…。でも、これで開閉できれば少しは安心です。待ち切れずに買いました。そして今朝、変えてみました。しかし、動きません。がっかりです。

 代役の日が入る週は、少しリズムが狂います。その日は“休み”の様なものですが、私にとっては出続けていた方が、身体が良く動きます。そして、週末明けのように、代役の日明けはさらに緊張するのです。
 しかし、ショーに出ているアーティストを横で見ているよりは、自分がショーに出ている方が断然楽しく、代役の日明けは、舞台に立つ喜びを改めて感じられます。

 「バナナを食べるほど、お腹は空いていないかな。」と、ショーの間に今日はイチジクを二つ食べました。ここ最近イチジクを見かけるようになり、よく買います。旬のものには何か特別なエネルギーが含まれている気がします。
 二回目のショーのために着替え始めようとすると、やはりお腹が空いている気がしてきました。普段はこんなにギリギリにものを口にしないのですが、今日は身体を動かして動いているようでしたので、思い切って食べました。イチジクのエネルギー、バナナのパワー、舞台に立つ喜び、みんな揃って身体を良く動かしてくれました。

日本人のお二人

2008-08-20 | KA
 お二人は、案内して下さった方にお礼を言いながら現れました。渋い縦縞の浴衣をきれいに着こなす姿はとても美しく、趣がありました。
 KAを観に“3日間の強行軍”といらして頂いたのに、今日は代役の日。ショーも途中で少し止まってしまいました。
 代役の日は、少し早目に帰り支度が出来るので、私はすっかりお化粧を落として着替えてしまい、ショーを終えたアーティスト達を待ち受けました。そして、楽屋に戻って来るアーティストをロビーに呼んで、彼らと写真を撮ってもらいました。お二人はその度に、「ありがとうございます。」と手足を揃えて深々とお辞儀をしました。私は、特にお礼を言う時に、日本語で言いたくなることがよくあります。「Thank you.」の後にいくら言葉を付け足しても、「ありがとう。」に込められる気持ちの方が大きいのです。
 お二人の謙虚で誠実な姿を拝見しながら、今日はお会いできて本当に良かったと思いました。年が同じということを聞き、さらに嬉しくなりながら、日本人として、私もお二人のように美しく生きていきたいと思いました。

ゾンジー、急デビュー

2008-08-19 | KA
 カウンセラー役のヨークはしばらくアウトになるようで、彼の代役の練習を急いで行いました。そして本日デビュー。今まで、ほんの数回ステージングはしています。でも今日、こんなに詰めて練習をして、急いでデビューさせることもないのではないでしょうか。

 先日、シルクドソレイユ創設者のギーさんがいらしたときに、チーフアーチャー、私の父役がいなくなって淋しい、とおっしゃったそうです。そのうわさはありましたが、本日、週頭のミーティングで正式にその話が出ました。ということは、父役は必ず復活するということでしょう。父が戻ってくれば、私の身体をおかしくするシーンはなくなります。キャラクターも元のように戻せます。早く、早く戻ってきて欲しいです。

 ラスベガスは、時々秋の気配を感じるようになりました。
 ショーが終わって外に出ると、今晩は少し涼しさを感じるぐらい。帰り道、とても気持ちが良かったです。気温を調べてみました。28度。出掛けた時より10度も下がっていました。

ナスも車も難続き

2008-08-18 | 日記
「それ、うどんこ病じゃないですか。」
「ああ、そうかもしれない。それにしても懐かしい。畑をしていた祖母が“うどんこ病”ということをよく言っていた気がする。」
 我が家のナスの葉は、白くなってしまいました。アブラムシ、うどんこ病と難続きです。Japanese Eggplantが実る日は来るのでしょうか。

 用事を終えて帰宅し、車のカギを掛けようとすると、手ごたえが何もありません。もう一度中に入ってカギを掛けてみたり、外に出てまたカギを差して回してみたり、いろいろ試してみましたが、どうも壊れたようです。何もしていないのに、どうしてまた…。夕方であったこともあり、すぐにディーラーに行くことにしました。
 ディーラーでは、調子の悪かった助手席側の窓も調べて頂きました。そして出てきた見積もりにビックリ。車を維持することは大変なことなのだと改めて分かりました。ドアのカギは、取り寄せるのに6週間ほど掛かるそうです。しばらくは、助手席側の窓を閉じたまま、カギの掛からない車を心配しながら使用しなくてはいけません。無事に過ごせますように。

ベッキーの壮行会

2008-08-17 | 日記
 21日のショーを終えると、ベッキーはアジアへ旅立ちます。ボーイフレンドの出演している、マカオのショー『ZAIA』のグランドオープニングを観るため、そしてもう一つはシンガポールでのトライアスロンの大会に出るためです。シンガポールまで応援には行けないので、彼女のために何かをしたいと思い、考えていました。栄養管理も含め、トレーニングスケジュールのことなどもあると思ったので、彼女に訊くと、なんと居酒屋での集まりがいいと。これは私も嬉しいことです。仕事のない早い時間の方がいいと言うので、休みの今日、集まりました。
 ベッキーの親しい友達を呼んだので、私にとってはいつもと違う顔ぶれ。そして英語に事欠かない一人を除いて、全員英語が母国語でしたので、私はキョロキョロすることになりました。フランス語を話す人たちの中に居てキョロキョロするのも、早い英会話の中に居てキョロキョロするのもあまり変わらない感じで、おかしくなりました。
 ベッキーの充実感あふれる笑顔を中心に、みなで楽しい時を過ごせ、お腹もいっぱいになり、満ち足りたひとときでした。

 夜は誘われて映画を観に行きました。フランスの大道芸人が、ワールドトレードセンター建設のニュースを目にしてから、二つのビルの間を綱渡りをすると心に決め、友達と綿密な計画を立てて、夢を実現する話です。ユニークで自由な彼の発想と、空を歩く彼の姿はとても美しく、『Man on Wire』、観ることが出来て良かったです。

映ってる!

2008-08-16 | KA
 ミュージックボックスと呼ばれるシーンで、私はお化粧のセットを持っています。そこにある鏡、小さな傷がたくさんついてしまったのか、もう随分と前から全く鏡の役目を果たせていませんでした。
 ところが今日、いつものようにお化粧セットの配置を整えると、なんと鏡に自分の顔が映っているではありませんか。思いもよらないことに嬉しくなって、ピカピカの鏡を見ながらニコニコとしていました。
 そのシーンが終わって舞台の中に入ると、隣の窓に居たジュリアに話しかけられたので、そのことを話し、「小さなことかもしれないけれど、とっても幸せな気分にしてくれたの。」と言うと、彼女も「分かる、分かる。私もペンディラムをするときに紙ふぶきが少ないとがっかりするし、何も入っていなかったら、もう、一日中げんなりしてしまうわ。でもね、たくさん入っていると、とっても幸せなのよ。小さなことが本当に幸せにしてくれるわよね。」と。
 お蔭でフルートも気持ち良く回りました。小さなところから始まった私の幸せを、少しはおすそわけできたかもしれません。
 たぶん、鏡をきれいにしてくれたのは彼、というプロップスの方にお会いしたので話すと、やはりそうでした。お礼を言って、幸せを伝えました。私に、もしかしたらみなさんにも、幸せを運んでくれた彼に感謝です。

お寺で京劇

2008-08-15 | 日記
 この一週間ぐらい、私がいつもトレーニングルームに居る時間に、京劇のアーティスト達が何かを練習していました。昨日尋ねると、私の住まいの近くのお寺で明日披露するとのこと。でも、それがどういう機会でなのか、彼らは全く分からないようでした。ただ、毎年この時期に何かをしているということでしたので、お盆と関係があるのかな、と思いました。
 せっかく近いところでのことなので、行ってみることにしました。お寺がそこにあることを知らず、見つけるのに少し時間が掛かりました。たくさんの車が道端に停まっているところを見付け、それほど大きくない仏像を見付け、その建物がお寺と分かりました。外観は日本のお寺のようではありません。ドアを押して中に入る人がいたので、一緒に入ってみると、ガラス越しに何か行っているのが見えました。案内は中国語です。町内会館のホールで何かを行っているような、そんな感じでした。
 良く見ると、上座には僧侶の方々が一列に椅子に座っています。中央には空間があり、その空間をコの字型に人が囲んで床に座っています。様子が良く見えた時には、一通りの儀式の様なものが終わったようで、中央の空間で余興が始まりました。まずは女の子のお琴の演奏。
 演奏が始まって僧侶の方々の方を見ると、テーブルに並べられた幕の内弁当の様なものを召し上がっていました。食べることに集中している僧侶の方々を前に、女の子はすこし居づらいようでした。気付くと周りを二重三重に囲んでいる方々にも、日本のお弁当の様なものが配られ、人々は食べ始めました。女の子はさらに居づらそうに…。
 そのうちにガラス越しに見ている私達の方にもお弁当を持った方がいらっしゃいました。「どういうことだろう。」と思っているうちに、私のところにもお弁当を持って来て下さいました。「いや、私は…。」「どうぞ、どうぞ。」と、ほぼ正方形の黒の紙箱の上にお箸が輪ゴムに留まったお弁当が差し出されました。手にすると、『幕の内弁当』と箱の上に書いてありそうな、懐かしさを覚えるものでした。ちなみに中身は、白米と赤米で炊いたお赤飯、野菜の煮びたし、いんげんのピーナッツ和え、シイタケの煮物、さつま揚げの様なもの、たくわんなどでした。
 さてさて、一番最後と言っていたKAのアーティスト4名による京劇が始まりました。これは多分孫悟空です。この狭い空間で、2メートルぐらいある棒を伸び伸びと回し、人は空を宙返りし、殺陣も見事に決まりました。このようなことを、ちょっとした練習で出来てしまうとは、本当にすごいです。京劇と共に歩んできたであろう彼らの人生を垣間見たような気がしました。

 せっかくいい気持ちで出勤をしたのに、英語の時間にとても落ち込みました。英語の5文型の考え方は日本だけのものなのでしょうか。目的語と補語という考えは全く通じませんでした。
 それでも、慰めてくれた人のお蔭か、京劇の影響が残っていたのか、お弁当の力か、どなたかが客席からエネルギーを送って下さったのか、舞台では気持ち良く舞うことができました。考えられる様々な“お蔭”に感謝いたします。

お助け人

2008-08-14 | 日記
 カナダ人の友人が日本を訪問しています。ジャパンレイルパスを買って旅に出るというので、行く先々に、お助け人を紹介することにしました。
 そのうちの一人に、バトンの先生のお嬢さん、彼女は英語が堪能なので、彼女を紹介させて頂こうと連絡をすると、今、東京とのこと。でも、その先生は、「私ではお役に立てないでしょうか??」とその役を引き受けて下さったのです。必要と思われる英文を用意して待っています、と快く。
 そして私は、その地で困ったことがあったら助けて頂ければ、と思っていたのに、先生は友人に会って下さって、「こんな縁を作ってくれてありがとう。」とメールを下さいました。さらに、明日も友人を迎えに行って、案内して下さるとのこと。本当に有り難いことで、心が休まりました。
 その先の地に選んだお助け人からも、「もしなにかございましたら、もちろん喜んでお助けいたしますので、いつでもお気軽にお声かけ下さいませ!日本は昨年に比べ酷暑が続いております。。。ご友人の方が快適に素敵な旅行になりますように。」と、素敵な返事を頂きました。
 友人に探したお助け人、私にとってもお助け人となりました。みなさんに肖れますように。

逃げていいかな?

2008-08-13 | KA
 彼は少し恥ずかしそうに近づいていきました。手にしているたくさんのカードの中から一つを選びだすと「ノリコ!」と言って、私に差し出しました。「私に何かくれるものがあるの?ありがとう。」と言うと、彼も「ありがとう。」と。そして、すぐにそれが何のカードであるかが分かりました。
 彼は、一ヶ月ほど前に母親を亡くし、帰国するに際してみなで支援をしました。カードを開けると予想通りそのお礼でした。時が経ち、ほんの少しは悲しみも和らいできたところではないかと思います。でも、英語が決して得意ではない彼が、一枚ずつこのカードを書き、一生懸命にそれを書いているときには、またいろいろなことが思い出され、あれだけの枚数を書いているうちには、きっと涙も出たのだろうと思うと、私も目頭を押さえることになりました。
 
 カウンセラー役のヨークがアウトでした。昨日バランスがあまり良くなかったのを思い出しました。ステージマネージメントにそのことを言われ、スレイヴケイジではスカートを奪われないということを告げられました。以前も彼がアウトの時がありました。その時のことを思い出し、舞台に立っている他の人は何をするのか分かっているのか確認すると、これからみなに連絡します、とのことでした。それなら安心です。彼らの反応に私が反応しようと思い舞台に立ちました。
 ところが、そのシーンになると、彼らはスカートを奪わないだけで、私を捕らえようともしないのです。私は逃げ出せそうな感じ。そして、逃げ出そうとする私の行動にも反応しない感じ。上手くいきませんでした。
 ステージマネージメントがみなに伝えたことが、“スカートを奪わない”ということだけと分かったので、二回目のショーでは私が何かをしてみました。今度は少しすっきりしました。
 私の父役がいなくなり、カウンセラー役がアウトになると舞台が淋しいので、彼の代役を作っていたのですが、最近その練習もありません。彼のインパクトは、父役がなくなってからさらに必要なものとなっているのですが、代役のことはどうなっているのでしょうか。ヨークの具合が早く良くなることを祈ります。

笑顔と人の力

2008-08-12 | KA
 衣装部屋のトップに、笑顔で手袋を持って行きました。「私の新しい手袋、とても面白いのですが、ご覧になったことありますか。」と、思い切り笑いながら差し出すと、彼も笑ってから、まだ在庫があるだろうから、と新しいものを用意して下さることになりました。そしてこの“面白い手袋”は、モントリオールに送り返すと。この方との付き合い方を発見した気がします。

 一回目のショー、花火の上がるタイミングが少しおかしいと思うと、打ち上げ花火の一番最後のものが上がらず、さらにグルグル回る花火は出ずに、グルグルとその機械だけが回って迫上がってきました。そして、「お願い!!!」と叫んだ私達の気持も通じず、最後の縦横の花火も出ませんでした。締まりがなく、お客様もどうしていいものやら…という感じ。
 KAの舞台装置は凄いと言われています。そして、その舞台装置に人間が加わるから面白いのだと思います。でも、花火は花火…。我々アーティストがどうすることもできないことでした。

 ショーが終わってから、エリカの家にオリンピックの開会式を観に行きました。彼女は「あんなに素晴らしいものを観たことがない。」と、録画したものをみんなに見せる機会を作ってくれたのです。
 観ながら、古谷野先生がバトンの団体演技について語る時に、マスゲームと集団美のことをおっしゃっていたことを何度も思い出しました。
 個々の顔が映り、「その笑顔。」と呟くと、エリカが「そうなのよ、ね、ね。」と。中国らしいと言ってしまえばそれまでですが、たくさんの時間を費やし練習をし、この素晴らしい機会にこうして参加をしたということは、今のこの笑顔にとどまらず、一人一人のこれからの人生にどれだけの誇りとなるだろうと思うと、本当に素敵なことだと思いました。一人一人の笑顔と誇りは、集まることでさらに大きくなり、人の力を十分に見せてくれました。