わたしのワンピース | |
にしまき かやこ | |
こぐま社 |
ラララン ロロロン~♪
わたしのワンピース
にあうかしら?
雨の中を歩いたら雨水玉もよう。
お花畑を歩いたらお花のもよう。
小鳥いっぱいのところを歩いたら鳥になって空を飛んで
お空もようになって、夕焼けもようになって、星もようになって、
ずっとずっと「にあうかしら?」のフレーズが続いていたような記憶がある。
二階にあがれば絵本棚に手垢にまみれてまだそのままあると思う。
思うが、確かめに階段を上がる元気がない。
雨上がりを歩いたら
この絵本を思い出した。
雨の水玉模様のワンピースのページが浮かんだ。
子供たちがうんと小さい時、眠りにおちるまで
ふたりのまんなかに寝そべって毎晩何冊かの絵本を読んでやった。
絵本を読んでやれば、うんと良い子に育つような気がしていた。
母も愚かに若かった。
今もこうして絵本をしっかり思い出すところを見ると
絵本タイムを一番喜んでいたのは、この母だったのかもしれない。
娘にはその気になってこのワンピースを作ってやってまでいる。
絵本は白だけど無地のピンクの木綿布で
小さなお花の刺繍を散らしてお花もようのワンピース。
娘はうまく言えなくて
わたしのヤンピース
と言っていた。
最近、時々この頃の事を思い出して独り笑いをする。
あぶないなぁ~
認知症になって過去に記憶が戻ってしまう時、
どうやら一番幸せな時に留まるっぽい。
私の脳内はいつか、この子育て時期に帰ってしまうかもしれない。
いや、ほぼ確信する。