“朝、昼、晩と3食、朝ごはんを食べられたらいいのになぁ、というくらいに朝食が好きな私は、まわりの人の朝食についても知りたくなってしまった”という書き出しで始まるこの本は、“朝食愛”というものがあるとしたら、まさにそれにあふれた一冊。
朝ごはんの空気を見つけにいく (講談社プラスアルファ文庫) 価格:¥ 820(税込) 発売日:2007-04-20 |
朝ごはんに関するアンケートをもとに、様々な職業や年齢のひとの朝ごはんの風景を、写真とエッセイで綴った本です。
どの章も楽しく興味深いけれど、私が印象に残ったのは“いつ自分の朝ごはんを食べるの?”の飯島庸子さんという方の章。
“ふと、「朝ごはんはパン、それともごはん?」とたずねたら、「家族4人、それぞれ、ごはんと味噌汁、納豆の人もいれば、うどん、卵を入れた雑炊の人、パンの人もいる。リクエストされなくても朝の様子で判断して、その人に合いそうなメニューを用意する。10時半頃に、はた、とすごくお腹がすいて、お弁当を作ったりしているうちに、自分は朝ごはんをまだ食べていないことに気づいたりする」という答え。私は何気なく聞いたのだけれど、相当にびっくりしてしまった。”
長い引用になりましたが、著者の堀井和子さんと同じように、私も心からびっくりしました。
家族一人ひとりにそれぞれ違う朝ごはんを用意して、しかも自分は食べるのを忘れてしまうなんて!
章の終りの方で、“庸子ちゃんの子供達2人が、その素晴らしく恵まれた朝ごはん環境をちゃんと認識しているかはわからない。”とありますが、確かに。
おそらく、生まれたときからそうだから、それが当たり前だと思っているのだろうな……。
でもきっと、ひとり暮らしをしたり、結婚して独立したりした時、その幸せに気づいて、朝ごはんへの思いはより一層深いものになるのでは……とも思います。
そのほか、美味しそうなメニューや素敵なキッチンウェアもあり、まさにそれぞれの“朝ごはんの空気”を追体験できる本です。