映画『ペット・セメタリー』2019年版予告編。
アメリカン・ホラー小説界の帝王、スティーヴン・キング原作による『ペット・セメタリー』、1989年に一度映画化され、2019年に2度目の映画化がされています。
亡くなってしまった愛する人を、もし蘇らせることができたなら、しかし、その蘇った人は
「元」のままではなかったとしたら......。
この発想の意地の悪さね。怖くて切なくて、悲しい物語。
私はこの原作、割と好きなんです。キングの作品の中でも、傑作の部類に入ると思う。
さて、その映画版ですが、
これは圧倒的に89年版の方が良いです。
原作に割と忠実だし、蘇ってきた3歳くらいの男の子の演技が上手い!これは当時としては驚異的でしたね。
この男の子がねえ、怖いんだけど、でも
可愛らしいんだ。これがまたなんとも
哀れさを強調するかたちになっていて、なんというか、観ていてちょっと鬱になる。可愛いから鬱になるなんて、この映画しかないんじゃなかろうか。
怖くて悲しくて哀れ。89年版『ペット・セメタリー』はそんな映画でした。
それに比べて、2019年版......。
89年版との違いを出すために、新たな展開を加えたりして、それは割と上手くいっていたと思う。蘇るのが男の子ではなくて、その姉だという展開は、なかなか上手くいっていた。
途中までは。
特に納得いかないのがラストの展開。あまりにお手軽な展開でビックリしてしまった。おいおい、これじゃ一家は幸せになりました、チャンチャンで終わってしまうじゃないか!それでいいの?
いや、いやいやいや、そんなわけないでしょ!それで良いわけないでしょ!あれが幸せなわけないじゃないか!そこのところ、もう少し掘り下げられなかったのかねえ。あれじゃあっさりし過ぎて、拍子抜けとしか言いようがない。
あのラストじゃダメだ。なんとかもう一ひねり出来なかったものか。
惜しいなあ、残念。
観るなら絶対89年版。ただ、軽い鬱になること請け合いなので、その点
お気をつけあれ。
そうそう、2019年版である意味一番よかったのは、名優ジョン・リスゴーの姿を久々に見ることができたことです。
ジョン・リスゴー、一時期は映画に出まくっていたのですが、ここ20年くらい姿をお見掛けしていなくて、思いがけないところで旧友に出会ったような感じでしたね。
以前はもう少し険しさがあったのですが、いまではすっかり丸くなって、良いおじいちゃんになっていました。主人公の隣人役で出ています。ジョン・リスゴーに会いたい方は、2019年版も併せてご覧あれ。
作品としては、89年版の方が断然良い。これ何度でも協調させていただく。
観るなら89年版!