2020年の東京オリンピックには巨額の税金が投入される。都が負担するのか国が負担するのかよく知らなかったのだが、朝日新聞2019-1-30にまとめがあった。
大会組織委員会が昨年末に公表した総予算額は1兆3500億円で、そのうち組織委の負担は6000億円、東京都は6000億円、国が1500億円(新国立競技場整備に1200億円など)だという。
ただ、これで終わりではなく、東京都は五輪関連費として8100億円を見込んでいる。国の負担もこれではすまされず、2013~2019年度に計上した関連予算の総額だけでも2197億円(競技力の強化に1010億円、テロ対策などに214億円など)に上り、まだ予算計上されていないぶん(新国立競技場整備費に充てるスポーツ振興くじ(toto)の収益など)を含めると国の負担総額は2880億円になるそうだ。
気になるのは、会計検査院が昨年、「五輪関連支出」は約8000億円だったと指摘したということ。大会会場につながる道路整備の1390億円、電気自動車などの購入補助569億円などだというが、これがよくわからない。電気自動車の購入補助が五輪関連支出と言えるだろうか。逆に、オリンピックを名目に政府が無理やり補助を予算計上したというのであれば、全体像云々の問題というより、そういうどさくさまぎれのばらまきこそが問題だ。会計検査院は東京オリンピック開催にかかる経費の全体像を明らかにするよう求めたというから、「本当は五輪経費なのに金額を少なく見せるのは許さない」という趣旨だと思うのだが、どうなのだろう。
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追記:「五輪「関連事業」どこまで 国・組織委と検査院、位置づけに開き」(朝日新聞2019-12-5)を見ても、オリンピックに関係ないものまでいろいろはいっているようだ。五輪の費用膨張はもちろん問題なのだが、五輪を名目になんでもかんでも予算を計上した役人(政府の意向を忖度した?)の責任も大きいと思う。
追記2(2020-3-24):新型コロナウイルスの流行終息の見通しが立たず、延期論も強まりつつある(「入国制限が続くなかでオリンピックは開けるのか」)が、会場・ホテルが確保できるかだとか、選手村の分譲延期は入居予定者の生活設計を狂わすだとか、チケット収入がなくなるなどいろいろ問題があるようだ。立候補時のIOCとの念書で、組織委に損失が出た場合はまず東京都が補い、できなかったら国が穴埋めすることになっているという(朝日新聞2020-3-18)。厳しい内容だが、この取り決め自体はやむをえないだろう。開催国のずさんなやり方で費用が膨張したときにそれを組織委にかぶせるわけにはいくまい。だがそれなら逆に、収支が黒字だった場合は、放映権料などの莫大な収入からも都や国に一部が還元される仕組みでないと不公平ではないだろうか。そして今回の東京に限ったことではないが、立候補時には少なめに見積もられた費用がその後際限なくふくらんでいくというのはやはり問題だ。話が広がったが、金銭よりも世界の人々の健康が大切であることは言うまでもない。
追記3(2020-3-25):上記で触れた「収入」について補足。「あまりにも不平等なIOCと東京都の「開催都市契約」 」によれば、剰余金の分配はJOCが20%、IOCが20%で、60%は組織委が「開催国におけるスポーツの全般的利益のために使用する」とあり、間接的な形で国民にも還元されるようだ。2月時点では100億円以上の剰余金が発生すると見込まれていたようだ。新型コロナウイルスで莫大な損失が出ることが危惧されていたが、100億円あるなら大丈夫だろう、と思ってしまったが、開催費用とは桁が違った。今回は延期にしても中止にしても赤字は覚悟しなければならないか。
追記4:「新型コロナ世界的流行でもIOCが東京五輪を中止できない三つの理由」(論座)によれば、IOCは大会が中止になった場合の補償のために保険にはいっているという。一方、開催都市契約第60条には中止以外についても組織委は「本大会の計画、組織、財務、運営にかかわるすべてのリスクを補償対象とする適切な保険を、自己負担で確保し維持するものとする」という規定があって、組織委は所定の保険に加入しているそうだ。それを利用すれば都や国の負担は減るのではないか。
だがそれ以前に、開催費用が予定を大幅に上回っているのに100億円を超える剰余金が出るというのはどういう計算なのだろう。
大会組織委員会が昨年末に公表した総予算額は1兆3500億円で、そのうち組織委の負担は6000億円、東京都は6000億円、国が1500億円(新国立競技場整備に1200億円など)だという。
ただ、これで終わりではなく、東京都は五輪関連費として8100億円を見込んでいる。国の負担もこれではすまされず、2013~2019年度に計上した関連予算の総額だけでも2197億円(競技力の強化に1010億円、テロ対策などに214億円など)に上り、まだ予算計上されていないぶん(新国立競技場整備費に充てるスポーツ振興くじ(toto)の収益など)を含めると国の負担総額は2880億円になるそうだ。
気になるのは、会計検査院が昨年、「五輪関連支出」は約8000億円だったと指摘したということ。大会会場につながる道路整備の1390億円、電気自動車などの購入補助569億円などだというが、これがよくわからない。電気自動車の購入補助が五輪関連支出と言えるだろうか。逆に、オリンピックを名目に政府が無理やり補助を予算計上したというのであれば、全体像云々の問題というより、そういうどさくさまぎれのばらまきこそが問題だ。会計検査院は東京オリンピック開催にかかる経費の全体像を明らかにするよう求めたというから、「本当は五輪経費なのに金額を少なく見せるのは許さない」という趣旨だと思うのだが、どうなのだろう。
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追記2(2020-3-24):新型コロナウイルスの流行終息の見通しが立たず、延期論も強まりつつある(「入国制限が続くなかでオリンピックは開けるのか」)が、会場・ホテルが確保できるかだとか、選手村の分譲延期は入居予定者の生活設計を狂わすだとか、チケット収入がなくなるなどいろいろ問題があるようだ。立候補時のIOCとの念書で、組織委に損失が出た場合はまず東京都が補い、できなかったら国が穴埋めすることになっているという(朝日新聞2020-3-18)。厳しい内容だが、この取り決め自体はやむをえないだろう。開催国のずさんなやり方で費用が膨張したときにそれを組織委にかぶせるわけにはいくまい。だがそれなら逆に、収支が黒字だった場合は、放映権料などの莫大な収入からも都や国に一部が還元される仕組みでないと不公平ではないだろうか。そして今回の東京に限ったことではないが、立候補時には少なめに見積もられた費用がその後際限なくふくらんでいくというのはやはり問題だ。話が広がったが、金銭よりも世界の人々の健康が大切であることは言うまでもない。
追記3(2020-3-25):上記で触れた「収入」について補足。「あまりにも不平等なIOCと東京都の「開催都市契約」 」によれば、剰余金の分配はJOCが20%、IOCが20%で、60%は組織委が「開催国におけるスポーツの全般的利益のために使用する」とあり、間接的な形で国民にも還元されるようだ。2月時点では100億円以上の剰余金が発生すると見込まれていたようだ。新型コロナウイルスで莫大な損失が出ることが危惧されていたが、100億円あるなら大丈夫だろう、と思ってしまったが、開催費用とは桁が違った。今回は延期にしても中止にしても赤字は覚悟しなければならないか。
追記4:「新型コロナ世界的流行でもIOCが東京五輪を中止できない三つの理由」(論座)によれば、IOCは大会が中止になった場合の補償のために保険にはいっているという。一方、開催都市契約第60条には中止以外についても組織委は「本大会の計画、組織、財務、運営にかかわるすべてのリスクを補償対象とする適切な保険を、自己負担で確保し維持するものとする」という規定があって、組織委は所定の保険に加入しているそうだ。それを利用すれば都や国の負担は減るのではないか。
だがそれ以前に、開催費用が予定を大幅に上回っているのに100億円を超える剰余金が出るというのはどういう計算なのだろう。