リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

新型コロナワクチン:日本の「ワープスピード作戦」はどうなったのか?

2021-04-27 | 一般
昨年安倍首相がワクチンができるから東京オリンピックの延期は一年でいいと決断した時、そんなに早くできるはずはないとの懐疑論が多かった。現に日本では7月までにワクチンがいきわたるのは絶望的な状況だが、世界を見渡すと現にワクチンはでき、接種が進んでいる国もある(朝日新聞2021-4-25)。
人口の6割が接種を終えたイスラエルの場合、国民が臨床試験を引き受けるような形で接種が進んだ。
人口の4割が接種したチリはいったん減った感染者がまた増加傾向にあるという。大半が中国のシノバック製のワクチンを使っているという。有効性は67%で、日本も承認しているファイザー製より低いが、集中治療室の利用が減るなど一定の効果は出ているという。これまで中国製のワクチンはデータが公表されていないので危ないのではないかとの懸念もあったが、そういう話は出ていない。低いが一応効果はあると思っていいのだろうか。
ハンガリーはロシア製や中国製のワクチンの接種を進めていてEUの中では接種が進んでいる。
中国製を使っているUAEでは、政府職員のほかホテルやレストランなど5業種の人は、ワクチン接種しないと自腹で1~2週間ごとにPCR検査を受けて陰性証明を提出しなければならなくなって、接種率が上がっている。だがこれは「(中国製)ワクチンはあるが国民が接種したがらない」状況での接種率の押し上げであり、そもそもワクチンがなく、接種したくてもできない日本では参考にならない。

さて、予想外にワクチンが早くできたのは、本物のウイルスを使わずに遺伝情報からワクチンを作るという新しい技術のおかげだ。そしてアメリカのファイザー社のワクチンの場合、あのトランプ大統領の「ワープスピード作戦」のおかげもあるようだ。有望なワクチン候補に1兆円規模の資金を投じたという。緊急使用の許可すらない段階から交渉して、ファイザーなどと計8億回分を契約し、すでに2億回の接種を達成したという。(だがバイデン大統領が接種を呼びかけるなか、共和党支持派にワクチン接種を避ける傾向がある(朝日新聞2021-4-24)というから皮肉なものだ。)政府が支出した1兆円がどう使われたのか気になるが、治験の終了を待たずに最終治験と並行して製造を始める、治験に失敗した場合(政府資金を得たが承認が得られなかった場合)は、承認済みの他社製ワクチンの製造に切り替える、という契約であり(47 NEWS 2020-8-20)、「政府によるワクチンの購入保証を製薬会社が得たことで、リスクを気にせずに開発に集中できた」(朝日新聞2021-4-23)との側面もあるという。
だが日本だって開発と並行して生産態勢を整備するのに1377億円の予算を組んだ(過去ブログ)。アメリカの1兆円に対して1377億円。少ないがそれほど見劣りはしない数字だと思う。巨額の資金を投じて整備した生産態勢は今どうなっているのだろう。

追記:ワクチン遅れとは別に、日本の対策のどこがぬるいのか、ニューヨーク駐在を終えて帰国した記者の記事が参考になった(朝日新聞2021-5-2)。厳しいロックダウンをまねしろとはいわない。だがニューヨーカーはだれでもPCR検査を受けられるところが市内150カ所もあり、コンビニ感覚で検査を受けられるという。出張前後や体調の異変を感じたときに手軽に受けられるという。
また、市内の展示場が1000床の臨時病院になったという。(そういえば中国の武漢では、短期間に新規の病院を作ったという話があった。)日本の場合、医療従事者の不足もあって、場所を作ればいいという問題ではないのだろうが、臨時病院の医療従事者をどうやって確保したのかなど、参考になる情報はないだろうか。

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