リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

恐妻家と美少女戦士と女性差別

2021-05-02 | 一般
私は女性の地位向上とか男女平等に関しては意識が高いほうだと自負している。国民的アニメとなってしまって誰も批判しない「ドラえもん」でさえ、しずかちゃんの描き方に古さを感じていらいらしてしまう。もっとも、新聞などを見ていると「これもだめなの?」と思うことが多く、その方面の人に言わせれば私も化石人類に分類されてしまうのだろう。だから最近のディズニーアニメは「男なんて必要ない」みたいな点を強調しすぎている気がして居心地悪く感じてしまう。
アニメの話はさておき、今回は、この手の議論であまり取り上げられていないと思われる二つのトピックについて考察してみたい。

●恐妻家
差別用語なのか、IMEで変換できない。「かかあ天下」ともいう。昭和までは完全に父親が一家の主であって、女性はその下に置かれていたはずなのだが、そのわりに「妻に頭が上がらない」男の話は定番だった。財布のひもを妻が握っているという話もよく聞いた。こうした現象は女性差別の文脈ではどう考えたらいいのだろう。
すぐに思いつく説明はこうだ。「女性の社会進出を阻む家父長制社会にあって、家庭内という限られた場面において女性に主導権を持たせることによって差別構造を隠蔽していた。男性は仕事人間で家庭のことは顧みなかったので、家庭内で主権がないことは苦にならなかった。」
それにしては財布のひもを妻に握られて小遣いが雀の涙というのは苦にならないはずはないと思える。これもすぐ思いつく説明は、「たいていの中流サラリーマンにとって衣食住の必要経費を除いたあとの可処分所得はたいした額ではなく、仮に夫が財布のひもを握ったとしても小遣いを大幅に上げる余裕はなかった」というものだ。あるいは、小説などでありがちな設定では、「妻に財布のひもを握らせる代わりに、(浮気なども含めた)家の外でのフリーハンドを得る」というのもある。だとすれば、やはり「限られた家庭内での自由と引き換えに、女性に社会的自由を与えない」という説明が成り立つ。
いかがだろうか。

●美少女戦士
「美少女戦士セーラームーン」というアニメがある。セーラー服姿の少女たちが戦うアニメだが、スカートが超ミニなこともあって眉を顰める向きもあるように思う。だがセーラームーンの主な視聴者層は女児だと聞く。女の子が喜んで見ている(そしてセーラームーンを見て育った女性が特に問題視しているわけでもない)のであれば、とやかく言うことではないような気がする。
だが戦争ものに美少女が登場するアニメは多い。だがそれにしても、男女同権の昨今、軍隊に女性がいるのも珍しくなくなってきているはず。女が男と同じように戦うのは、男女平等の最たるものではないか。戦う女性が美少女・美女ばかりなのが気になるが、登場人物を美化するのは男だったそうだ。戦士たちが現実の兵士ではありえない長髪なのも気になるが、それをいったら男性ヒーローの目にかぶる髪だって現実の戦争では命取りになるはずだ。
そんなわけでかわいい女の子が戦うアニメもセーフと思い続けてきたのだが、あるとき(全く別の文脈なのだが)「若い女性を消費の対象とする土壌」というような表現を見て迷いが生じている。そんなことをいったらそもそもアイドルというものは成り立たなくなると思うのだが、ジェンダーの専門家はどう思っているのだろう。

関連記事:
「女の子は生まれつきピンクが好きなのか?」

追記:女性兵士とジェンダーについての考察を読んだ(朝日新聞2024-4-17夕刊)。「女性兵士の増加はジェンダー平等でいいことだと片付けるのではなく、国家や軍が女性に門戸を開く背景にどんな動機があるのかと考えることが大切」という。男性兵士の不足というのは各国で共通だが、たとえばロシアに侵攻されているウクライナでは徴兵逃れする男性を卑劣だと思わせる思惑があるという。性的マイノリティに優しいというイメージを演出する「ピンクウォッシュ」の場合もあるという。手放しに「ジェンダー平等」と褒めるのではなく、こういう背景まで考えることが大切という指摘はもっともだが、あるべき姿として、たとえば国会議員や経営者のように兵士も女性が50%になることがジェンダー平等として目指すものなのか、という問いについての答えはなかった。ただ、「女性兵士や女性自衛官が増えていくという現象は、不可逆」と断言しているから、方向性としては正しいということなのだろう。


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